2017年01月06日

The NET 網に囚われた男  英題:THE NET

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監督:キム・ギドク
出演:リュ・スンボム、イ・ウォングン、キム・ヨンミン、チェ・グィファ、イ・ウヌ

韓国との国境近くの村で妻と幼い娘と共に貧しいながらも平穏な日々を送る漁師ナム・チョル。いつものようにモーターボートで漁に出るが、網がエンジンに絡まってしまい、思うように船を操縦できず韓国側に流されてしまう。韓国の警察に拘束され、スパイ容疑で厳しい尋問を受ける羽目になる。あげく、脱北させようと、ソウルの繁華街・明洞に連れて行かれる。目を閉じて、決して周りを見ないようにするチョル。
チョルの監視役である若い警護官オ・ジヌは、チョルの様子を見ているうちに、スパイなどではなく、真に家族の元に帰りたがっている漁師だと信じるようになる・・・

東京フィルメックスの折に、時間的に映画を観ることができなかったのですが、キム・ギドク監督のQ&Aに参加しました。「憂鬱な映画をお見せして申し訳ない。これが南北の現実です」と開口一番。北と南、どちらがいい悪いを描いたわけでもなく、暴力的なシーンの裏に語りたい真実があるとも語っていました。キム・ギドク監督作品を初めて観た友人からは、あまりにつらい場面が続いて、目を閉じていたとも聞かされていました。きっと重く残忍な映画なのだろうと思っていました。実際に映画を観てみたら、これまでのキム・ギドク作品に比して、それほど暴力的でも残忍でもなく、物語の流れも実にわかりやすいものでした。
確かに執拗に尋問する場面が続いて、つらいものがありました。この尋問にあたっているのが、キム・ギドク作品でお馴染みのキム・ヨンミン。嫌な奴を実にうまく演じています。
そして、本作で何より癒されたのが、チョルを温かく見守る若い警護官オ・ジヌ。先日、韓国KBSワールドの「芸能街中継」を見ていたら、オ・ジヌを演じたイ・ウォングンが若手注目俳優として取り上げられていて、本人も出演。「カンヌでレッドカーペットを歩けたのが嬉しかった」と無邪気に語り、キム・ギドク監督と共に歩く姿が映し出されました。ドラマや映画に引っ張りだこで、私も今後注目したい俳優です。

さて、本作ですが、繁華街に連れていかれたチョルは、裏通りで逃げ惑う若い女性に出会います。家族を養うため、身を売るしかない事情を知ります。自由に見える資本主義社会の抱える闇の部分。
やがてチョルはスパイ容疑が晴れて、北に帰ることができるのですが、南を見てきたことで、北でも執拗な取調べを受けることになります。政治に翻弄される庶民を象徴しているようでした。
かつて、韓国を旅した時に、イムジン河越しに北朝鮮を眺めたことがあります。
韓国のガイドさんから、こちらから見える部分の家は綺麗に作ってあると説明を受けました。いかに酷い状況かも語られましたが、同じ民族のことを、そこまで悪く言うとはと悲しくなりました。南北統一どころか、南北分断による歪みはいつになったら修復することができるのかと暗澹たる気持ちになったのを思い出しました。(咲)


第17回東京フィルメックス上映時の記録は、こちらでどうぞ!
*舞台挨拶およびQ&A(テキスト)
http://filmex.net/2016/news/the_net

*舞台挨拶(動画)
http://filmex.net/2016/news/broadcast/1119the_net_ba

*Q&A(動画)
http://filmex.net/2016/news/broadcast/1119the_net_qa

配給:クレストインターナショナル
2016年/韓国/112分/カラー/1:1.85/5.1 SRD
公式サイト:http://www.thenet-ami.com
★2017年1月7日(土)よりシネマカリテほか全国順次公開
posted by sakiko at 09:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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