2016年12月11日

ニーゼと光のアトリエ(原題:Nise da Silveira: Senhora das Imagens)

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監督・脚本:ホベルト・ベリネール
プロデューサー:ホドリーゴ・レチェル
出演:グロリア・ピレス(ニーゼ)、シモーネ・マゼール(アデリナ)、ジュリオ・アドリアォン(カルロス)、クラウジオ・ジャボランジー(エミジオ)、ファブリシオ・ボリベイラ(フェルナンド)

1944年リオデジャネイロ郊外、ニーゼ・ダ・シルヴェイラは赴任してきた精神病院のドアをたたき続ける。ようやく重いドアが開いて中に通される。病院は男性医師ばかりで患者は劣悪な環境にあり、暴力的な治療が続けられていた。敢然と立ち向かうニーゼは疎まれて、作業療法の部署へ回される。物置同然の部屋を片付け、ユングに傾倒していたニーゼは芸術療法を試みようとする。患者に絵具と筆を持たせて決して無理強いせず、思うままに絵を描かせてみた。

実在した女医が旧弊な男性中心の精神病院で果敢に戦った様を描いて、2015年の第28回東京国際映画祭でさくらグランプリと主演女優賞を受賞しました。主演のグロリア・ピレスは子どもの頃から活躍しているスター女優だそうです。これまで観る機会はありませんでしたが、圧倒的な存在感です。実際にモデルのいる患者役の俳優さんたちも作られた演技くささはなく、病院での撮影は俳優の動きにカメラがついていったという監督の言葉にうなずきました。
患者を尊重し、臆することなく新しい治療法を進めたニーゼの仕事ぶりとに感心すると共に、愛する夫と猫のいる自宅でのくつろいだ様子にホッとしました。仕事を続けるにはやはり家族の理解と協力が必要ですし、彼女を励ました夫の存在に嬉しくなりました(作品の最後にニーゼご本人の映像も紹介されます)。
ぜひこの偉業を知らせたいと構想から13年、作り始めて4年かかってようやく完成した作品です。ホベルト・ベリネール監督はどこにそんな強い思いを秘めていたのかしら、と思うような穏やかな笑顔の方でした。画像は昨年の映画祭でのQ&Aのときのものです。右がホベルト・ベリネール監督、左がホドリーゴ・レチェルプロデューサー。(白)


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ロボトミー手術やショック療法が正しいものとされ、暴れる患者を人間扱いしない精神病院がほとんどだった1940年代。そこにニーゼは絵や彫刻芸術など、アートをもちいる療法など画期的な改革案を導入するが、彼女の前に男性社会の厚い壁が立ちはだかっていた。非人間的な医学常識に挑む勇気を持った精神科医の苦闘を描く。
現在では普通に行われている絵画を描く療法や音楽療法。その分野に果敢に挑戦した、実在のブラジルの女性精神科医ニーゼを知らしめるため、この作品を作ったと監督は語っていた。(暁)

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2015年東京国際映画祭授賞式で

2015年/ブラジル/カラー/ビスタ/109分
配給:ココロヲ・動かす・映画社○
(C)TvZero
http://maru-movie.com/nise.html
★2016年12月17日(土)渋谷 ユーロスペースほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 20:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ブラジル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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