2016年11月13日
この世界の片隅に
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代
企画:丸山正雄
プロデューサー:真木太郎
声の出演:のん(北條、浦野すず)、細谷佳正(北條周作)、尾身美詞(黒村径子)、稲葉菜月(黒村晴美)、牛山茂(北條円太郎)
広島の海沿いの村で家族総出で海苔づくりをして育った浦野すずは、見染められて18でお嫁に行くことになった。第2次大戦中のことである。呉の嫁ぎ先に行くのに「北條」という姓も覚えていないのんきな娘だった。呉は軍港として賑わい、高台の北條の家からも良く見えた。夫の両親、たびたび子連れで戻ってくる義姉のいる家で嫁として忙しく働き、何かとかばってくれる夫にも情愛がわいてくる。久しぶりに会った妹に「頭にハゲができている」と言われ、ずいぶんと気遣いをしていたのかとやっと気づく。物資がどんどん乏しくなる中、誰もが工夫して毎日の食卓を整え暮らしている。そんなすずたちの上空にも、ついに敵機がやってきた。
戦時下でも営々と働き、食べて、つつましく生きてきた人達の生活がここにありました。
こうの史代さんの原作漫画に出会った片渕須直監督が、映画化したいと決心。綿密なリサーチを重ね、すずの暮らした町や村の風景ばかりでなく、そこに住んだ人達まで再現しているそうです。細やかに描かれた背景、暮らしの道具や食事づくりの工夫などにも、当時を知る人がどんなにか懐かしく思うことでしょう。呉を知らない私も故郷の原風景のような気がしました。
ふんわりとした絵柄に、のんきな子どものままのようなすずの表情、生き生きとした声をあて命を吹き込んだのんさん、全ての相乗効果でかけがえのない1本ができました。クラウドファンディングで全国からの協力のもと6年の歳月をかけてスクリーンにお目見え。東京国際映画祭で観せていただき、監督とのんさんの舞台挨拶もきけました。戦後生まれの私の胸にも深く刻まれた1本です。(白)
2016年/日本/カラー/126分
配給:東京テアトル
(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
http://konosekai.jp/
★2016年11月12日(土)よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
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