2016年10月23日
フランコフォニア ルーヴルの記憶 原題:Francofonia
監督:アレクサンドル・ソクーロフ( 『エルミタージュ幻想』)
出演:ルイ=ド・ドゥ・ランクザン ベンヤミン・ウッツェラート
第二次世界大戦中の1939年、ルーヴル美術館長のジャック・ジョジャールは、館内の美術品をナチス・ドイツから守るため、パリ郊外の城へ密かに運びだすよう指示する。その翌年5月、ナチス・ドイツがパリに侵攻。
将校ヴォルフ・メッテルニヒが、芸術品の管理のためジョジャールの元を度々訪れるようになる。ふたりは敵同士のため心を開いて語り合うことなかったが、美術品を守る使命で繋がってゆく・・・
ナチス・ドイツの侵攻から、いかに美術品を守ったのかのドキュメンタリーかと思ったら、それだけではありませんでした。見物人のいないがらんとした美術館で、ナポレオン1世が、「これも自分が集めてきたもの」と感慨深く美術品を眺めている。そばには、フランス共和国のシンボルの女性マリアンヌがいる。まるで亡霊のように。もちろん、当時のアーカイヴ映像も出てくるのだけど、なんとも不思議な構成。
一方で、監督の祖国ロシアのエルミタージュ美術館が、ルーヴルのように保護されず、ドイツの攻撃目標となった事も当時の映像と共に語られます。
ルーヴルに収蔵されているイラクやエジプトの遺跡も映し出され、あんなに根こそぎ現地から持ってきてしまったのかと、あらためて憤慨。持ってきたからこそ、戦争から守られたともいえるので複雑な思い。(咲)
2015年/フランス・ドイツ・オランダ/88分/5.1ch/ビスタサイズ
配給:キノフィルムズ
公式サイト:http://www.francofonia.jp
★2016年10月29日 (土)ユーロスペースほかで公開
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