2016年10月23日

湯を沸かすほどの熱い愛

yuwowakasu.jpg

監督:脚本:中野量太
撮影:池内義浩
音楽:渡邊崇
出演:宮沢りえ(幸野双葉)、杉咲花(幸野安澄)、オダギリジョー(幸野一浩)、松坂桃李(向井拓海)、伊東蒼(片瀬鮎子)、駿河太郎(滝本)

「幸の湯」の双葉は夫の一浩が蒸発してしまって銭湯は休業、パン屋のパートをして娘の安澄(あずみ)と暮らしていた。しかしパート先で突然倒れて検査を受けた結果、すでにステージ4の末期がんとわかる。衝撃で泣き崩れた双葉だったが、安澄が帰る前に立ち直る。余命はわずかしかない、やらねばならないことがあるのだ!
・夫を連れ帰って「幸の湯」を再開する
・優しいけれど気が弱くて引きこもり寸前の娘を独り立ちさせる
・娘を連れてある人のところへ行く
探偵を雇って探すと夫はあっけなく見つかった。しかも若い女性との間に生まれていた鮎子という小学生の娘まで。病気を打ち明けると翌日鮎子と戻ってきて、4人家族の生活が始まった。

『チチを撮りに』(2012)の中野量太監督・オリジナル脚本。明るく芯が強くめげないおかあちゃんを宮沢りえ。頼りないけど憎めない夫オダギリジョー。1年も戻らない困った夫は後ろから蹴りたいくらい(前だとあのほよよんとした笑顔に萎えてしまう)。
双葉は娘がいじめに遭っていると薄々知りながら口を出さず、これまで見守ってきたのですが、初めて強い言葉で送り出します。娘も母の真意を感じて一人立ち向かい、一歩も二歩も前進します(あの“背水の陣”は、誰でもはできないだろうと思いますが)。
双葉が周到に用意した“逝く準備”に胸がつまります。彼女の明るさと強さは家族でない人も巻き込み、旅の途中で出会う訳アリそうな男子・向井拓海をも包み込んでいきます。
自主制作し好評を博した『チチを撮りに』も、しっかり者のお母さんと娘のお話でした。この母たちには中野監督のお母さんが色濃く投影されているのではないかと想像していました。お父さんを早くに病気でなくされていると今回資料で知って腑に落ちました。ラストでびっくりさせるのも監督のお得意技のようです。(白)


2016年/日本/カラー/シネスコ/125分
配給:クロックワークス
(C)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
http://atsui-ai.com/
★2016年10月29日(土)新宿バルト9他全国ロードショー
posted by shiraishi at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック