2016年10月09日

記憶の中のシベリア 祖父の想い出、ソウルからの手紙

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『祖父の日記帳と私のビデオノート』
監督・撮影・編集:久保田桂子
出演:久保田直人

1920年生まれの久保田直人さんは、20歳で徴兵され中国北部に赴いた。敗戦後は、シベリアのクラスノヤルスクの収容所で4年間の捕虜生活を送っている。1949年故郷に戻って以来、農業に従事。大学で映像を学んだ久保田監督は、2004年から祖父の直人さんのインタビュー撮影を始めた。

2013年/日本/カラー/デジタル/40分

『海へ 朴さんの手紙』
監督・撮影・編集:久保田桂子
出演:朴道興、山根みすえ、山根秋夫(写真のみ)

久保田監督はシベリアに抑留された人々の聞き取りをしていて、元日本兵の朴道興(パク・ドフン)さんに出会う。1924年生まれの朴さんは同年兵の山根秋夫さんと配属先の色丹島で出会い、意気投合する。シベリアの収容所で生き別れとなるまで3年間親友だった。
北朝鮮に帰国してから、広島に住んでいるはずの山根さんあてに手紙を出したが届かなかったという。久保田監督は手紙を1通預かり、そこに書かれた不完全な住所を頼りに、山根さん探しを始めた。ようやく訪ねあてるも山根さんは39歳で病死していた。

2016年/日本/カラー/デジタル/70分

1作目は久保田監督のおじい様の直人さんに焦点を当てています。大きくなった孫にカメラを通して見つめられる直人さんは、そう照れる風でもなく黙々と畑の手入れをしています。寡黙な人間の代わりに雄弁に語るのは遺された日記帳。畑仕事の覚書のようですが、几帳面に毎日記録されています。戦争の体験は家族にも語らない人が多いそうです。詳細は明らかにならなくても、こうして元気な姿を残せてよかったね、と思います。

1作目をきっかけに生まれた2作目。現在はソウルに一人住まいの朴さん、90を過ぎておられるのに肌つや良くお若い。70代といっても通ります。戦友の山根さんとの交流を今もはっきりと記憶していて、生き生きと熱く語るようすがほほえましいです。戦争中の日本人を憎むのでなく、会いたいと言ってくれる人がいるのは自分は無関係なのにちょっと嬉しいです。
山根さんの奥さんのみすえさんは、11年の結婚生活で山根さんが亡くなられた後、山根さんの実弟と再婚。こちらも鮮明な想い出話を披露してくださるのですが、まるで女子会の恋バナのようです。こんなに愛された山根秋夫さん、早く亡くなられたとはいえ、お幸せな方です。

本作は9月に開催された“あいち国際女性映画祭”フィルムコンペティションで 金のコノハズク賞(グランプリ)を受賞しました。まだ2作目とは思えないほど、編集もきちんとまとまっている作品です。
フレームワークが美しいのは絵も描かれる方だからでしょうか。(白)

海へ 朴さんの手紙 久保田桂子監督_R.JPG
あいち国際女性映画際での久保田桂子監督

配給:スリーピン
http://siberia-memory.net/index.html
★2016年10月8日(土)〜10月21日(金)新宿K's cinemaにて珠玉の2作品一挙公開
posted by shiraishi at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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