監督:ヤン・シュミット=ガレ
出演:T.クリシュナマチャリアの子供たち、K.パタビジョイス、B.K.S.アイアンガー
本作は、現代ヨガの源流T.クリシュナマチャリア(1888-1989)に興味を持ったドイツ人の監督が、南インドに赴き、直弟子や、子どもたちを訪ね、クリシュナマチャリアの生涯や教えに迫ったドキュメンタリー。
クリシュナマチャリアは、南インドでバラモン(司祭階級)の家の長男として生まれた。ヴェーダ聖典の有名な教師だった父からサンスクリット語とヨガを厳しく指導されるが、10歳の時、父は亡くなる。曽祖父の住むマイソールに引越し、高僧だった曽祖父から直々に学び、大学でヒンドゥーの六派哲学すべてで最高学位を取得。31歳の時、ヒマラヤのカイラス山麓に住むヨガの導師に弟子入りし、7年間修行する。マイソールに戻ると、彼の噂を聞いたマイソール君主クリシュナ・ラージャ4世に呼ばれ宮仕えすることになる。ヨガを一般に広めたいという君主の意向で、インド各地で講義と実演も行った。
ラージャ4世の死後、跡を継いだ王はヨガへの関心が薄く、1947年にインドが英国から独立するとマハラジャの権力も縮小。1950年、宮殿のヨガ学校は閉鎖される。62歳で失業するも、その後、101歳で亡くなるまで、一人一人の体調や能力に合わせたヨガの個人指導を続けた・・・
今年4月に公開された『永遠のヨギー ヨガをめぐる奇跡の旅』では、1920年代にヨガと瞑想の奥義を西洋に伝えたパラマハンサ・ヨガナンダの存在を知りました。 今回、本作を観て、実は、インドでもヨガは、20世紀初頭、少数の年配者や僧侶のものだったことを知り、意外でした。これほどまでに世界的に広く知られるようになったヨガ。その陰には、自分を磨き、地道に指導を続けてきた人たち、そして、その人たちを支えた君主がいたことを知りました。
その人にあった指導をしていたというクリシュナマチャリアですが、かなり厳しく指導された人物の証言も出てきて、そこまで厳しくしたのは、その人物を見抜いていたから?と思わず思ってしまいました。(咲)
2011年/ドイツ、インド/105分/カラー、モノクロ/英語、カンナダ語、テルグ語、タミル語/
字幕監修:ケン・ハラクマ
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/seinaru/
★2016年9月3日(土)YEBISU GARDEN CINEMA、9月10日(土)渋谷アップリンクほか全国順次公開
2016年08月29日
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