2016年08月29日

ティエリー・トグルドーの憂鬱(原題:La loi du marche)

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監督:ステファヌ・ブリゼ
脚本:ステファヌ・ブリゼ、オリビエ・ゴルス
出演:ヴァンサン・ランドン(ティエリー・トグルドー)、イブ・オリィ(ハローワークカウンセラー)、カリーヌ・ドゥ・ミルベック(ティエリーの妻)、マチュー・シャレール(ティエリーの息子)、グザビエ・マシュー(組合の同僚)

ティエリー・トグルドー51歳。妻と障害のある息子と3人でつつましく暮らしている。長年勤めていた会社からリストラに遭い求職活動を続けて1年半になる。ハローワークで薦められるままクレーン操縦士の資格もとったが、仕事はなくこのままでは家のローンも払えない。ようやく見つかったのは、スーパーの警備員の職だった。店内の見回りや監視カメラをチェックし、買い物客だけではなく同僚たちの不正を会社へ報告するのが仕事だ。生活の苦しい老人の万引き、レジで働く同僚の不正に胸が痛むティエリー。

ステファヌ・ブリゼ監督とヴァンサン・ランドンは『母の身終い』(2012年)に続いてのタッグ。前作では、末期がんのため尊厳死を望む母につきそう刑務所帰りの息子役で、ゴミの分別をする工場で働いていましたが、今回も職がなくて苦労します。やっと見つかった職場では、弱い立場の人をさらに追い込まねばなりません。フランスの失業率は先進国の中でも高いほうです。中高年になればなおのこと再雇用は難しいはずです。
これを観て思い出したのがマリオン・コティヤール主演の『サンドラの週末』(2015年)です。雇い主がボーナスを支給するため解雇を言い渡された休職中の主人公が、自分の復職のために同僚を説得して回る社会派ドラマでした。
どちらの作品もフランスでヒットしたのは、生きにくさを感じている人たちの共感を呼び、大切なものが何かを考えさせられたからでしょう。ヴァンサン・ランドンはカンヌ映画祭で主演男優賞を受けています。ラブ・ストーリーもアクションもOKな渋い人気俳優ですが、若いときはどんなだったんでしょう。『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』(1986年)に警官役で出演しているそうなので、今度確認しなくては。(白)


2015年/フランス/カラー/シネスコ/92分
配給:熱帯美術館
http://measure-of-man.jp/
★ 2016年8月27日(土)ヒューマントラストシネマほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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