2016年07月31日

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(原題:Les heritiers)

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監督・脚本・プロデューサー:マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール
原案・脚本:アハメッド・ドゥラメ
出演:アリアンヌ・アスカリッド(アンヌ・ゲゲン)、アハメッド・ドゥラメ(マリック)

パリ郊外の貧困層が暮らす地区にあるレオン・ブルム高校。人種も宗教も様々な子どもたちが集まっている。学力別で分けられ、問題児ばかりが集められた1年の底辺のクラスを、赴任してきたばかりの歴史教師アンヌが受け持った。生徒たちは好き勝手なことをし、授業がなりたたない。校長まで「あの子たちに手をかけるのは時間の無駄です」という始末。しかしアンヌは諦めず、彼らに学ぶことの楽しさと、自信を持たせたいと歴史コンクール出場を提案する。テーマは「アウシュビッツ」、初めは殆どの生徒たちが反発し、放課後に集まったのは数人だった。資料を集め、戦争の施設を訪ね、アウシュビッツ収容所を生き延びた証人を学校に招き体験を語ってもらった。生の声を聴いた日から生徒たちは劇的な変化を見せた。自主的に居残りしてテーマを掘り下げ、発表の準備を着々と進めていった。

この映画はマリックを演じているアハメッド・ドゥラメが、自分の体験を元にした脚本をマリー監督に渡したことから始まりました。アハメッドと話し合い、共同で脚本を練りあげました。反抗的だった子どもたちを情熱をもって指導する先生のモデルのアンヌ・アングレス先生の授業も見学したそうです。こういう先生に出会ったこどもたちは幸せです。
アウシュヴィッツ強制収容所の生存者レオン・ズィゲルさんご本人の生の講演シーンは、ズィゲルさんと生徒たちの表情を捉えて深く印象に残ります。日本でも被爆された方々が語り部となっておられますが、ズィゲルさんも戦後自分の体験を語り継ぐことをずっと続けてこられた方です。
落ちこぼれているこどもたちは家庭に問題を抱えていますが、彼らに選択肢はありません。学校でも自分が最下層だとレッテルを貼られています。それを引き上げたのは後押しをしてくれる先生、過酷な状況にあっても未来を信じて生きてきた大人に会ったことでした。こどもはこれから大人になりますが、私たちはかつてこどもでした。虚飾なく昔を思い出して、彼らに寄り添って見守りたいものです。(白)


2014年/フランス/カラー/シネスコ/105分
配給:シンカ
(c)2014 LOMA NASHA FILMS - VENDREDI FILM - TF1 DROITS AUDIOVISUELS - UGC IMAGES-FRANCE 2 CINEMA - ORANGE STUDIO
http://kisekinokyoshitsu.jp/
★2016年8月6日(土) YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町、角川シネマ新宿ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 14:30| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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