2016年07月16日
太陽の蓋
監督:佐藤太
脚本:長谷川隆
撮影:小宮由紀夫
音楽:ミッキー吉野
出演:北村有起哉(鍋島)、袴田吉彦(坂下)、三田村邦彦(内閣総理大臣・菅直人)、神尾佑(内閣副官房長官・福山哲郎)、青山草太(首相補佐官・寺田学)、菅原大吉(内閣官房長官・枝野幸男)、中村ゆり(鍋島麻奈美)、郭智博(修一)、大西信満(山中)
2011年3月11日午後2時46分。東日本大震災が発生。福島第一原発では全電源喪失という事態に陥った。冷却装置を失った原子炉は温度が上がり続け、チェルノブイリ事故に匹敵する最悪の事態が迫っていた。想定外の状況と情報不足で官邸は混乱を極める。地震の直後の津波に追われて逃げる沿岸部の人々、原発はそれに追い打ちをかけるように翌12日の午後に1号機が水素爆発、3号機、2号機でも異変が起きる。
東京中央新聞記者の鍋島は、政府の公式会見だけでは詳細がわからず、関係部署の知人友人から情報を得ようと奔走する。しかし、真実に近づきながらそれを記事にすることができず苦悩する。鍋島の妻・麻奈美は一度電話が入ったきり帰宅しない夫を待って、息子と二人不安な思いで自宅にいる。
いまだに津波や原発の映像が目に焼きついています。安全だと繰り返す発表、それなのに次第に広がっていく危険区域、本当はどうなっているのかと不安だった日々を思い出します。この映画では関係者に丹念に取材して、3月11日からの5日間を再現します。真実を伝えたいと奮闘する新聞記者を中心にし、政府関係者を実名にしてわかりやすい作りになっています。
この大変なときに菅首相自らが現場に行くのを不思議に思っていたのですが、当時首相官邸では何が起こっていたのか、原発の関連会社や原子力委員会、学者たちが何をしていたのか、これでずいぶんはっきりしました。
5年たっても生活の目途のたたない被災した方々がいるのに、再稼働を目論む政府。事故の記憶が薄れ、忘れていき、声を出さなくなった一般の人々…。たくさんの人がこの作品を観てもう一度あの日々を思い出し、これから何をすべきか何ができるのか考えるヒントをもらってください。(白)
2016年/日本/カラー/ヴィスタ/130分
配給:太秦
(C)「太陽の蓋」プロジェクト/Tachibana Tamiyoshi
http://taiyounofuta.com/
★ 2016年7月16日(土)より、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
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