2016年05月22日
神様メール(原題:Le tout nouveau testament)
監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
脚本:トマ・グンジグ、ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演:ブノワ・ポールヴールド(父・神様)、カトリーヌ・ドヌーヴ(マルティーヌ)、フランソワ・ダミアン(フランソワ)、ヨランド・モロー(母・女神)、ピリ・グロワーヌ(娘・エア)
この世界を作った神様はブリュッセルのアパートに妻と娘とともに住んでいる。神様は酒飲みで乱暴、おとなしい妻にどなりちらし、娘のエアを生まれてから10年間アパートから出さずにいる。毎日何をしているかというと、パソコンで気まぐれに人間世界に災厄を起こし、人の運命を弄んで楽しんでいる。エアはいじわるで横暴な父が大嫌い。兄のJC(イエス・キリスト)の協力を得て、たった一つ外界へ通じる出口を知った。家出の前にすきを見て父のパソコンから全人類へ余命を知らせるメールを送信し、神様がすぐ使えないように細工をする。脱出したエアは兄の助言にしたがい、6人の使徒を探し始める。
なんとも奇想天外で面白い設定!神様がアパートに住んでいてパソコン一つで世の中を支配しているなんて。不条理のあれもこれもこの神様のしわざだったのか!?
これは宗教の映画ではなく、支配する人される人の関わり、余命を知った人間がどう生きるのか、という物語です。余命を知ってパニックが起きている人間世界で、エアが出会うのは何かを失った人ばかり。そんな人たちへ神様の娘のエアが小さな奇跡を届けていきます。
パソコンが使えなくなって慌てて後を追ってきた神様が陥る危機には、今までの仕打ちを思うと当然!と大いに溜飲が下がります。
ドルマル監督の公開作品は『トト・ザ・ヒーロー』(1991)、『八日目』(1996)、『ミスター・ノーバディ』(2009)、どれも独創的な作品でしたね。ほかに未公開の短編やドキュメンタリー作品が何本もあるようです。見る機会がないかな、と思っていたら朗報!「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2016」では、ドルマル監督のショートプログラム『乗り出し危険』(1985)の上映があります。『ミスター・ノーバディ』の元になった作品だそうですよ。(白)
2015年/ベルギー.フランス,ルクセンブルク/カラー/スコープサイズ/115分
配給:アスミック・エース
http://kamisama.asmik-ace.co.jp/
(C)2015 - Terra Incognita Films/Climax Films/Apres le deluge/Jul iette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage
★2016年5月27日(金)TOHOシネマズシャンテほかロードショー
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