監督:イ・ジョンピル
脚本:イ・チョルオ
音楽:キム・テソン
出演:スジ(チン・チェソン)、リュ・スンリョン(シン・ジェヒョ)、ソン・セビョク(キム・セジョン)、イ・ドンフィ(チルソン)、アン・ジェホン(ヨンボク)、キム・ナムギル(興宣大院君)
朝鮮時代末期。広場で繰り広げられるパンソリの公演に、涙する少女チン・チェソン。母を亡くして妓楼で下働きをする我が身をその歌に重ねたのだった。涙をふいてくれたのはパンソリ塾「桐里精舎(トンニチョンサ)」を開いたシン・ジェヒョ。「涙のあとは笑顔になれる。それがパンソリだ」とかけられたかけられた言葉を宗に刻み、チェソンはパンソリの唄い手になることを決意する。塾の練習を盗み見ながら長じたチェソンは、シン・ジェヒョに直訴するが女であることを理由に断られてしまう。伝統芸能でありながらパンソリは女人禁制だった。男装してまで入塾したチェソンが女であるのがばれてしまうが、熱意を認められて初めて稽古をつけてもらえるようになる。しかし両班の後援が必要なため、遊びに付き合う塾長の姿に失望したチェソンは桐里精舎を去ってしまった。
実在の初の女性の唄い手となったチン・チェソンの波乱の人生を描いた作品。アイドルグループ“miss A”のボーカルのスジがパンソリの特訓を重ね、チェソンが歌い手として、同時に一人の女性として成長していく過程を見せています。撮影は順撮りだったそうで、スジが実際に力をつけていくようすがよくわかります。師匠のシン・ジェヒョは『7番房の奇跡』のリュ・スンリョン。師匠としてチェソンの想いを受け止められず、心ならずもすげなくする場面、二人が苦悩しながらも互いのために命がけでパンソリを披露する場面は必見+必聴!
塾の仲間たちが重くなりがちな物語に笑いを足してくれています。ソン・セビョクは『私の少女』父役、イ・ドンフィは『ビューティ・インサイド』でのサンベク、アン・ジェホンは『レッドカーペット』のプンチャ。興宣大院君のキム・ナムギルは『パイレーツ』で山賊の頭でした。テレビドラマが放映されて、日本でも公式ファンクラブがあるほどの人気です。(白)
パンソリとは、一人の唄い手が太鼓の伴奏に合わせて唄とせりふ、身振りで物語を語る韓国の伝統芸能。パンソリを知ったのは、映画『風の丘を越えて/西便制』(1993年、イム・ グォンテク監督)を通じてのことでした。オ・ジョンヘ演じる少女が養父から厳しく鍛えられ、腹の底から絞り出すような声で唄う姿が印象的でした。今回、『花、香る歌』を観て、パンソリが朝鮮王朝末期には女人禁制だったことを知りました。
『建築学概論』で透明感溢れる女子高生を演じたスジが、男装までしてパンソリを学ぼうとする姿を健気に体現しています。景福宮(キョンボックン)の慶会楼(キョンフェル)の周りに広がる池に浮かべた船の上で唄う場面は絶品。
また、冷酷な興宣大院君を演じるキム・ナムギルもはまり役。彼の最近の出演作は、『パイレーツ』といい、ドラマ「サメ〜愛の黙示録〜」といい、眼光鋭くて凄味がある。数年前、韓国KBSの「芸能街中継」に出てきた彼を見て、このカッコいい男は誰?と思ったのが、兵役を終えて復帰したばかりのキム・ナムギルでした。出演作を調べてみたら、2005年のドラマ「がんばれ!クムスン」で見ていたことがわかりました。その時の彼は、ヒロインの夫で、すぐに交通事故で死んでしまう役だったのですが、優しい面持ちで、今の鋭いイメージとは全然違いました。口髭のせいもあると思うのですが、年を経て、ほんとにいい男になったと思います。兵役前の出演ドラマ「善徳女王」(2009年)を最近観たのですが、この時の役も面持ち鋭い男で、兵役を経て変わったわけではないのを知りました。今後も楽しみなキム・ナムギルです。(咲)
2015年/韓国/カラー//109分
配給:CJ Entertainment Japan
(C)2015 CJ E&M CORPORATION,ALL RIGHTS RESERVED
http://hanauta-movie.jp/
★2016年4月23日(土)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー