2016年04月03日

ルーム(原題:Room)

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監督:レニー・アブラハムソン
原作・脚本:エマ・ドナヒュー
撮影:ダニー・コーエン
出演:ブリー・ラーソン(ジョイ)、ジェイコブ・トレンブレイ(ジャック)、ジョアン・アレン(ナンシー)、ショーン・ブリジャース(オールド・ニック)、ウィリアム・H・メイシー(ロバート)、トム・マッカムス(レオ)

小さな部屋にママと2人きりで暮らしているジャックは、目がさめると部屋中のものに「おはよう」と挨拶する。5歳の誕生日にママが作ってくれたケーキにロウソクがなくて、ジャックはだだをこねた。ママは悲しそうだった。ここにはないものがいろいろある。天井の小さな窓からは空が見えるだけ。一つきりのドアはニックがかぎをかけていて、ジャックは外の世界を知らない。テレビの中の風景はニセモノ、本物なのはこの部屋とママと、ときどき食料を持ってくるニックだけだ。ニックが来る前にジャックはクローゼットに入って、声を出さないようにする。ママとの約束だから。
ママは初めてジャックにこの外には広い広い世界があると言った。ママは7年もの間ニックにこの部屋に閉じ込められていて、ジャックを妊娠し、産んだのだった。ママはジャックが死んだことにして外に出られるようにする。そして逃げるのよ、と言い聞かせる。

レニー・アブラハムソン監督は『FRANK-フランク』(2014)でハリボテの被り物で音楽活動を続けた風変わりな男性(実在のモデルがいる)を描きました。今回も尋常じゃない設定の中の母子です。
原作「部屋」を書いたエマ・ドナヒューが自ら名乗りを上げて脚本も書きました。監禁という異常な事態の中、産まれたジャックを一人で育て上げたジョイにまず胸をつかれました。緊迫した脱出劇にハラハラし、母子のこれまでとこれからに涙しました。ブリー・ラーソンは『ショート・ターム』でその確かな演技力を観ていましたが、キモとなる子役のジェイコブ・トレンブレイには脱帽です。素でやればいいというものではなく、部屋の中しか知らないジャックが外に出た瞬間、広くなっていく世界を観る驚きを演じなければなりません。後半も母と子が互いに思いあう絆の深さに胸が震えます。ぜひ劇場で小さな部屋と広い世界を体感してください。(白)

決死の思いで脱出したママとジャックを待ち受けていたのは、それまでの静かな日々と一転、好奇な目にさらされる日々。
つい先日、誘拐・監禁されていた少女が2年ぶりに脱出に成功しましたが、心に受けた傷はあまりにも大きいと胸が痛みます。ご両親の、そっと遠くから見守ってほしいとの言葉を、周囲にいる人たちも、マスコミの人たちも心に刻んでほしいと切に願います。
それにしてもつくづく思ったのは、どんな場所であれ、生まれ育った場所がやはりふるさとなのだなぁ〜ということでした。あの殺風景な部屋で、一つ一つのアイテムにさよならの挨拶をするジャックに、じ〜んとしました。
もっとすごいのは、あのような状況で生んだ子にも、愛情を注げる母性というのもの。私には子どもを生んだ経験がないので想像でしか言えませんが、どんな相手の子であっても、自分のお腹の中で育った子には違いないと愛情が持てるものなのなのかなぁ〜と。 (咲)


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2015年/アイルランド・カナダ合作/カラー/シネスコ/118分
配給:ギャガ
(C)Element Pictures/Room Productions Inc/Channel Four Television Corporation 2015
http://gaga.ne.jp/room/
★2016年4月8日(金)TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズシャンテ他全国順次公開
posted by shiraishi at 12:19| Comment(0) | TrackBack(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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