2016年02月28日

母よ、   原題:Mia Madre

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監督:ナンニ・モレッティ
出演:マルゲリータ・ブイ(『はじまりは5つ星ホテルから』)、ジョン・タトゥーロ(『バートン・フィンク』『ジゴロ・イン・ニューヨーク』)、ナンニ・モレッティ(『息子の部屋』)、ジュリア・ラッツァリーニ

新作映画に取り組む映画監督のマルゲリータ。別れたばかりの恋人が出演していて何かと気まずい。主演俳優のバリーがアメリカから到着し、撮影はいよいよ佳境に入るが、バリーはイタリア語の台詞を間違えてばかりで、思うように進まない。おまけに、離婚した夫との娘は反抗期だし、何より、入院中の母アーダが気がかりだ。兄ジョヴァンニが手作りの料理を差し入れたりして甲斐甲斐しく看病しているが、病院は嫌だ、家に帰りたいという。ラテン語の教師をしていた母だが、物忘れがひどくなり、あんなに聡明だった母がとマルゲリータはショックだ。そんな折、医師から母の余命がわずかだと聞かされる・・・

ナンニ・モレッティ監督が前作『ローマ法王の休日』の編集中に母親を亡くしたことから生まれた物語。監督としての本人の体験は、自身が演じている兄ジョヴァンニではなく、ヒロインの女性監督マルゲリータに投影。母親アーダにも、教え子に慕われた元教師でラテン語やギリシャ語に精通していた監督のお母様が投影されているそうです。

冒頭、病室で母親の食事を手伝う場面から、亡き母が入院していた時のことを思い出して、どっと涙が溢れました。誰しもが経験する肉親との別れ。余命宣言をされても、仕事を抱えていては、それを放り出してずっとそばにいることはなかなかできることではないでしょう。マルゲリータは、ある時、兄ジョヴァンニが仕事を辞めて母親に寄り添っていることを知ります。撮影の合間をぬって母に会いにいくと、あなたがそばにいてくれることが一番と言われます。ほんとうに、少しでも長く一緒にいたいと思います。現実はなかなか厳しいでしょう。私は仕事に就いてなかったので、その点、幸せだったとつくづく思います。
本作は、介護や親との別れといった普遍的なことを描く一方で、映画撮影の現場を生き生きと見せてくれます。主役に抜擢されてアメリカから呼ばれたのに、台詞を覚えられない大スター役をジョン・タトゥーロが実に楽しく演じています。まったく困ったちゃんなのですが、その大スターに気を使うスタッフたちや、長々と待たされるエキストラたちの姿も見せてくれます。そして、現場ですべてを把握して指示しないといけない監督。そうやって1本の映画ができあがるのですね。

それにしても、本作、マルゲリータを取り巻く男性たちの関係がちょっとわかりにくいです。俳優である別れたばかりの恋人は、娘の父親ではない。元夫かな?と一瞬思ったのは、ナンニ・モレッティ監督自身が演じる兄ジョヴァンニ。ま、世の中、人間関係は他人にはわからないものです。(咲)


2015年/イタリア・フランス/107分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch
配給:キノフィルムズ
公式サイト:http://www.hahayo-movie.com/
★2016年3月12日(土)よりBunkamuraル・シネマ他にて公開


posted by sakiko at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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