2016年01月03日

フランス組曲  原題:Suite Francaise 

france kumikyoku.jpg

監督:ソウル・ディブ 
出演: ミシェル・ウィリアムズ、クリスティン・スコット・トーマス、マティアス・スーナールツ、サム・ライリー、ルース・ウィルソン

1940年、フランス中部の町ビュシー。リシュル(ミシェル・ウィリアムズ)は、今は亡き父の薦めで地主の家に嫁いで3年。夫は結婚後すぐに出征し、厳格な義母(クリスティン・スコット・トーマス)と二人暮らしだ。フランスがドイツの手に落ち、やがてビュシーにもドイツ軍が駐留する。ブルーノ・フォン・ファルク中尉(マティアス・スーナールツ)にリシュルの部屋を明け渡すことになる。ブルーノ中尉から部屋にあるピアノの鍵を求められる。夫が帰還するまで義母から弾くことを禁じられ鍵をかけていたのだ。毎晩ブルーノ中尉の弾く曲に癒されるリシュル。ある時、庭で中尉と話す機会を得たリシュルは、中尉が戦争前は作曲家だったことを知る。二人の姿を見た義母から、ドイツ軍は敵と釘を刺される。だが、やがて二人は強く惹かれあうようになる・・・

敵でありながら心惹かれる二人を軸に、ドイツ占領下のフランスの田舎町で繰り広げられる人間模様。
小作人を追い出し、パリから来た母子に高い賃料で家を貸す義母。追い出されたのを恨む小作人の娘。妻に言い寄るドイツ軍中尉をあやまって殺してしまう農家の男ブノワ。そのブノワを匿うリュシル。48時間以内にブノワが見つからず、身代わりで銃殺される町長。ブノワ捜索の過程でユダヤ人であることがばれてしまう者もいる。
やがてリュシルは、パリで抵抗運動をする仲間と合流するというブノワを車のトランクに隠して町を出ることを決意。ブルーノ中尉に通行証を発行してもらう。その直後、移動命令が出てブルーノ中尉はリュシルの屋敷を後にする。ピアノには「フランス組曲」の楽譜が残されていた・・・

戦時下のなんとも切ない二人の恋。だが、それだけに留まらない壮大な物語。
フランスがドイツの占領下になった時代が目の前に蘇ってくる。
難を言えば、メインの台詞がフランス語ではなく英語であること。ドイツ軍はドイツ語を話しているが、『フランス組曲』といいながら、フランス語を使っていないのはちょっと違和感。もっとも、フランス人でないミシェル・ウィリアムズ演じるリュシルはそれなりに魅力的。
なにより興味を持ったのは、1942年アウシュヴィッツに散った原作者イレーヌ・ネミロフスキーのこと。1903年キエフ生まれ。ロシア革命後に一家でフランスに移住したユダヤ人。人気小説家として活躍中に、第二次大戦が勃発。娘さんが形見として保管していた遺稿が60年以上の時を経て「フランス組曲」として出版され、世界で350万部を超える大ベストセラーに。映画は、原作の後半、リュシルとドイツ中尉の物語を中心に脚色したそうだ。映画の最後に、遺稿が映し出される。小さな字でびっしり書かれていて、身の危険を感じながら、必死で書き綴った様が目に浮かぶ。(咲)


2014年/イギリス=フランス=ベルギー/107分/カラー/英語・ドイツ語・フランス語/シネマスコープ/5.1ch
配給:ロングライド 
公式サイト:http://www.francekumikyoku.com
★2016年1月8日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
posted by sakiko at 21:04| Comment(1) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
冒頭の空襲のシーンから引き込まれてしまった。列車がやられた、そのすぐ後に爆撃機が市民を襲う恐怖の光景は戦争の地獄絵巻、悪夢そのもの!ヒッチコック監督の劇映画(鳥)や(北北西に進路を取れ)なども実はこんな戦争の空襲体験に由来したのでは…とも想像してみた。国籍を超えた愛と言うテーマではイタリア映画のロベルト・ロッセリーニ監督の(戦火の彼方)のエピソードも連想される。本作の凄さは、静かなピアノの音色のハーモニーが、野蛮でけたたましい戦争のカオスを打ち負かすという処。そして人間の繋がりや人間性良心が悪に勝る、という理想主義に貫かれている点だろう…。
Posted by PineWood at 2016年04月01日 05:12
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