監督・脚本・編集:時川英之
出演: 藤原令子、本郷奏多、阿藤快、岡崎二朗、安井順平、及川奈央、小林克也(声の出演)
100年以上続く老舗映画館「大黒座」が閉館することになった。苦渋の選択をしながらも気丈に振舞う女性支配人(石田えり)のもと、新入社員 明日香(藤原令子)は閉館に向けて全力投球だ。閉館を惜しむ馴染み客たちが連日足を運んでくる。劇場の壁という壁がメッセージで埋まっていく。そんなある日、明日香は長いあご髭の老人が奇妙な言葉を残し、映画館の壁の彼方に消えていくのを目撃する。
いよいよ閉館の日を迎えた大黒座。スクリーンに最後の映画が映し出されたとき、あの不思議な老人が再び現われる・・・
広島県福山市にあった日本最古級の映画館「シネフク大黒座」。1892年芝居小屋として開館し、徐々に映画館に移行。最盛期の1960年代には40万人を動員、深夜まで1日7回上映したこともあったという。122年間にわたり地元の人たちから愛された映画館も、建物の老巧化などを理由に2014年8月に閉館。
製作総指揮は、『風の絨毯』(2003年)以来、映画作りに邁進する益田祐美子さん。取り壊しが決まって映画館の姿をなんとか映像に残したいという関係者の思いを聞いて、これはなんとかしてあげたい!と、立ち上がった姿が目に浮かびます。
シネフク大黒座の運営担当者から相談を受けて監督を引き受けたのは、広島在住の時川英之監督。オリジナル脚本を執筆して撮影に臨み、閉館までの日々、そして、取り壊しが始まるところまで映像に納めています。
映画館というのは、ただ、そこで上映された映画を観たというだけでない、人それぞれにたくさんの思い出が詰まった場所。映画の最後にクレジットが流れる脇に、各地の閉館された映画館の写真が映し出されました。横浜かもめ座、三百人劇場、渋谷パンテオンなどなど、私にとっても懐かしい映画館がいくつか出てきて、胸が熱くなりました。
さて、映画館に住みつく髭の老人が、最後に隠し部屋に誘ってくれます。その光景、実は、この夏、神戸・元町映画館で観たものでした!
ヒントは、ここに! (咲)
配給:東京テアトル
後援:広島県 福山市 福山市市制100周年記念事業
2015年/94分/日本/カラー/シネマスコープ/5.1chデジタル
公式サイト:http://cinemaangel.jp/
★2015年10月31日(土)広島先行公開 八丁座(広島市)、福山駅前シネマモード(福山市)
2015年11月7日(土)、ヒューマントラスト渋谷他 全国ロードショー