2015年10月18日

アクトレス 女たちの舞台(原題:Sils Maria)

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監督・脚本:オリビエ・アサイヤス
撮影:ヨリック・ル・ソー
美術:フランソワ=ルノー・ラバルテ
出演:ジュリエット・ビノシュ(マリア・エンダース)、クリステン・スチュワート(ヴァレンティン)、クロエ・グレース・モレッツ(ジョアン・エリス)、ラース・アイディンガー(クラウス)、ジョニー・フリン(クリストファー)

ベテラン女優のマリアは、チューリッヒに向かう車内にいる。新人だった彼女を発掘し、女優に育ててくれた劇作家メルヒオールの代わりとして授賞式に赴くためだ。マネージャーのヴァレンティンは若いが有能で、スケジュールを調整し、年上のマリアにも臆せず自分の意見を言う。そんなときにシルス・マリアに寄るように言っていたメルヒオールが亡くなったとの知らせが入る。
レセプションで声をかけてきた演出家のクラウスは、マリアの記念すべき「マローヤの蛇」をリメイクの予定で、出演を熱望していると語る。かつてマリアが演じたシグリッド役は、新進女優のジョアン・エリスに決定しており、シグリッドに翻弄されるヘレナ役をマリアにと言うのだった。

すでに熟練の大女優となりながら、過ぎていく時の流れを受け入れられないマリア。新人だったころに演じた役をまた自分が再演できるとは思えないはずなのに、素直に認められません。若く溌剌としたジョアンに会い、彼女を一番好きな女優というヴァレンティンの言葉にも心が騒ぎます。
女優3人の競演がお芝居か素なのか、見まがうような女の戦いがありました。
無邪気なところを残したまま大女優になったマリアと、仕事と割り切ってクールに対応するヴァレンティンの対比が際立ちます。可愛い顔でしたたかに生きる(それも才能)ジョアンに、『キック・アス』のヒットガールから美人女優になったクロエ・グレース・モレッツも適役。

思い出したのが『イヴの総て』(1950年)。ベティ・デイビス演じるベテラン女優が若い後進アン・バクスターに追い越され、さらにその後ろにもトップ女優を目指す女の子がいる、という芸能界の裏側を描いていました。この『アクトレス〜』も舞台裏や人に会う前にもらす本音や、取り繕う表情の変化を見せて笑えます。どろどろした雰囲気にならないのは、ジュリエット・ビノシュの笑顔や背景の雄大な自然がきいているのでしょう。
谷をうねりながら這っていく雲のシーンが幻想的です。原題の「シルス・マリア」は、スイス東南部のリゾート地サン・モリッツからバスで20分程。標高1,815mの小さな集落だそうです。山の好きな方がきっと行って見たくなる景勝地です。(白)


2014年/フランス・スイス・ドイツ/カラー/シネスコ/124分
配給:トランスフォーマー
(C)2014 CG CINEMA - PALLAS FILM - CAB PRODUCTIONS - VORTEX SUTRA - ARTE France Cinema - ZDF/ARTE - ORANGE STUDIO - RTS RADIO TELEVISION SUISSE - SRG SSR
http://actress-movie.com/

★2015年10月24日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 17:10| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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