監督・脚本・プロデューサー:ジョン・マルーフ、チャーリー・シスケル
出演:ヴィヴィアン・マイヤー、ジョン・マルーフ、ティム・ロス
ヴィヴィアン・マイヤーとは何者なのか?
ナニー(乳母)として働く傍ら、路上で撮った15万枚もの素晴らしい写真を1枚も発表せずにこの世を去った女性の人生に迫るドキュメンタリー。
本作の発端は、2007年。シカゴに住むジョン・マルーフは、シカゴの歴史本を執筆中に、本に掲載する古いシカゴの街並みの写真を入手しようと家の向かいにあるオークション・ハウスに出かけ、写真のネガがいっぱい入った箱を競り落とす。撮影したヴィヴィアン・マイヤーの名前は検索しても出てこない。2年後、再度検索したら、少し前に亡くなったという死亡記事がヒットする。それを手がかりに、ヴィヴィアン・マイヤーを知る人たち約100人に彼女の人となりを聞いてまわる。本作は、その記録を通して、生前のヴィヴィアン・マイヤーの人物像に迫るドキュメンタリー。
ゴミ箱の中を写していた、ミリタリーブーツを履いて大きく手を振って歩いていた・・・ 乳母という仕事とはかけ離れた、大胆で変わり者のヴィヴィアンの姿が浮き彫りにされていく。彼女が撮った人物写真からは、その人の人生までもが見えてくるような力がある。何気ない路上のショットから、その時代も見えてくる。
最初に乳母として15年間住み込んだ家では、暗室もあてがってもらって自分で現像もしていた。その後、数年ごとに住み込み先を移り変わり、老後は最初に子守をした子どもたちが大きくなって面倒をみてもらっていた。引っ越すたびに所持品を持ち歩き、収まりきらない膨大な荷物をトランクルームに預けていたが、その費用を出したのも、最初の仕事先の子どもたち。後年は現像しないままのネガフィルムも。もし、写真を1枚でも世にだしていたら、彼女の人生は変わったかもしれない。それほど、力のある写真たち。ジョン・マルーフによって世に出たことを、天国でヴィヴィアンはさぞかし驚いていることと思うとなんだか楽しい。(咲)
2013年/アメリカ/83分
配給:アルバトロスフィルム
公式サイト:http://vivianmaier-movie.com/
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