2015年10月03日

顔のないヒトラーたち  英題:LABYRINTH OF LIES

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監督:ジュリオ・リッチャレッリ
出演:アレクサンダー・フェーリング(『ゲーテの恋』、フリーデリーケ・ベヒト(『ハンナ・アーレント』、アンドレ・シマンスキ、ゲルト・フォス

1958年、フランクフルト。第2次世界大戦終結から10数年、復興の進んだ西ドイツではナチスドイツ時代のことを忘れつつあった。野心溢れる若き検事ヨハン(アレクサンダー・フェーリング)が扱うのは交通違反ばかり。そんな折、ジャーナリストのグニルカがアウシュヴィッツ強制収容所で親衛隊員(SS)だったシュルツという男が、その過去を隠して違法に教師をしていることを突き止め、検察庁に進言しにくる。誰も耳を貸さない中、ヨハンはただ一人、調査に乗り出す・・・

強制収容所でホロコーストに関わった22人を、ドイツ人自身によって裁き、ドイツの歴史認識を大きく変えることとなったフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判。1963年12月20日に初公判が行われるまでの経緯を描いた物語。
強制収容所の生存者たちから証言を得て、次々に元親衛隊たちを逮捕していくが、誰一人謝罪の態度を示す者はいなかったという。時代がそうさせたということか。
やがて、ヨハンはいまだ戦争捕虜として戻ってこない父もまたナチ党員だったことを母から聞かされる。それ以前に、上司から「君の父もナチス」と言われた時に、「いえ、違う」と否定したヨハン。誰だって、自分の親が惨いことをした加害者だとは思いたくない。
そして、なんらかの形で戦時中に加害者側になった人たちにとっては忘れたいし、自分がしたことを知られたくないだろう。特に、わが子には。
アウシュヴィッツ裁判の初公判が行われた1963年といえば、ちょうど私が「アンネの日記」を読んで、ナチスのユダヤ人迫害を知った頃。世界の多くの人が知っている事実だと思っていたけれど、当事国であるドイツでは、戦後かなり経つまで、多くを語られず隠されてきたようだ。事実を明らかにして否を認め、歴史を繰り返さないことが大事だと思う。でも、現実は世界の各地で争いが絶えない。どうしたら、地上から争いごとをなくすことができるのだろう・・・ (咲)


2014年/ドイツ/123分/シネマスコープ/ドルビーSRD/DCP
提供・配給:アットエンタテインメント
公式サイト:http://kaononai.com/
★2015年10月3日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開
posted by sakiko at 17:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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