2015年09月20日

徘徊 ママリン87歳の夏

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監督・製作・撮影・編集:田中幸夫
助監督:北川のん
出演:酒井章子さん、アサヨさん

大阪・北浜に住む酒井章子さんは、奈良で一人暮らしをしていた実母アサヨさんを引き取った。夫を送った後認知症が進み、もう生活していけなくなったからだ。急に環境が変わって家に帰りたがるアサヨさんを、危ないからと外に出さないでいるとますます混乱して、ドアを叩いたり大声で叫んだりした。独身でギャラリーを経営し、2匹の猫と自由に暮らしていた章子さんはお母さんにかかりきりになってしまう。
思い切って、これまで処方されていた薬を全部やめ、外へ行かせて好きなように歩かせることにしたら、ずいぶんと落ち着いてよく寝てくれるようになった。アサヨさんの安全に注意しながら後をついて見守る章子さんの姿に、ご近所や警察も事情を知ってなにかと手助けしてくれる。アサヨさんの徘徊は、これまでになかった章子さんの人間関係を拡げていった。

『毎日がアルツハイマー』の関口監督が自分の生活をたたんでお母さんの生活に入っていたのと違い、こちらではお母さんの方が身ひとつで娘のところに移ってきました。慣れない環境で不安がつのったお母さんが毎日帰る、帰ると言い続けたのも無理ありません。
家が仕事場の自由業で楽天的な章子さんでも、昼夜の別なく騒ぐママリンことアサヨさんに音をあげます。1人きりで介護していたのですが、その後デイケア施設に預けて自分の時間を捻出したり、プロに介護の相談もできるようになりました。二人をご近所や警察も見守ってくれているのが、はた目にも心強いです。
介護は子育てと違って先が見えず、だんだん手がかかっていくものです。お神輿の担ぎ手や交代要員は多いに越したことはありません。介護する人に余裕があれば、相手に優しくなれて介護される方は安心して落ち着きますが、逆なら双方が不幸せで苦労と愚痴ばかりになってしまいます。
章子さんとアサヨさんの笑顔にホッとしました。猫たちも潤滑油になったことでしょう。
今や4人に1人が65歳以上という高齢化社会、我がこととして考え、二人からパワーをもらってください。田中幸夫監督にお話を伺いました。特別記事に掲載しています。(白)


2015年/日本/カラー/77分
配給:風楽創作事務所、オリオフィルムズ
http://hai-kai.com/
★公開予定
◎9月19日(土)〜10月2日(金)大阪シアターセブン
◎9月26日(土)〜10月9日(木)、10月10日(金)〜11月6日(金)モーニング 新宿K'sシネマ 
◎9月26日(土)〜16日(金)横浜ジャック&ベテイ
◎10月4日(日)〜17日(土)仙台桜井薬局ホール
◎10月24日(土)〜31日(金)シネマ尾道
◎10月31日(土)〜11月13日(金)名古屋シネマテーク
◎11月 パリ日本文化会館「日本映画の風景」にて上映
posted by shiraishi at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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