監督:大森研一
原作:湯本香樹実
脚本:大森研一、日下部哲
撮影:中堀正夫(JSC)
音楽:清塚信也
出演:本田望結(星野千秋)、中村玉緒(ポプラ荘の大家のおばあさん)、大塚寧々(千秋の母つかさ)、村川絵梨(大人になった千秋)、藤田朋子(佐々木さん)、宮川一朗太(西岡さん)、山口いずみ(団子屋のおかみさん)、内藤剛志(山根さん)、伊澤柾樹(オサムくん)
大好きなお父さんが突然亡くなってしまい、8歳の千秋は笑わなくなった母と新しい生活を始めた。大きなポプラが目印のポプラ荘の大家さんは一人暮らしのおばあさん。お母さんは仕事で遅くなるので、熱を出した日から千秋はおばあさんと一緒に過ごす時間が多くなる。おばあさんは「あの世に手紙を届けられる」と秘密を教えてくれた。千秋は天国のお父さんに手紙を書いて届けてもらうことにした。
公開中の洋画『ヴィンセントが教えてくれたこと』は、おじいさんと隣の男の子。遊び人のおじいさんは、子守代金をしっかり取っていました。
こちらはおばあさんと母子家庭の女の子。ちょっと懐かしい佇まいのアパートの大家さんと店子のやりとりは、個別化しているこのごろではもう見られないかもしれません。同じアパートの隣人たちとも暖かい繋がりがあります。中村玉緒さんがお元気で、子役の本田望結ちゃんとほぼ2人が出ずっぱりです。
父にあてて手紙を書くことで、千秋の心の穴は知らず知らずに埋まっていきます。大人のお母さんのほうはもっと傷が深くて、日々生きることだけでいっぱいです。ラストで明かされる秘密にうるうるする方が多いことでしょう。
湯本香樹実さんは『夏の庭 The Friends』(1994年/相米慎二監督)の原作者。10年ぶりの映画化作品ですが、10月には『岸辺の旅』も公開になります。3本の共通点は主人公が「死」と関わるお話。別れる悲しみはありますが、帰る場所に向かうやすらぎも感じました。(白)
2015年/日本/カラー/98分
配給:アスミック・エース、シナジー
(C)2015「ポプラの秋」製作委員会
http://popura-aki.com/
★2015年9月19日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー