2015年08月02日

この国の空

konokuni.jpg

監督・脚本:荒井晴彦
原作:高井有一「この国の空」(新潮社刊)
撮影:川上皓市
出演:二階堂ふみ(里子)、長谷川博己(市毛)、工藤夕貴(里子の母)、富田靖子(里子の伯母)、利重剛、上田耕一、石橋蓮司、奥田瑛二

1945年夏の東京・杉並区。19歳の里子はたびたび飛来するB29に脅えながらも、疎開するところもなく、母と焼け出された叔母と3人で暮らしている。隣家には妻子を疎開させた銀行員の市毛が一人住み、里子はときどき頼まれごとを引き受ける。互いに出入りするうちに、里子は市毛に次第に惹かれていく。母や叔母は心配しているが、若い男たちはみな戦地へ赴き、身近にいるのは徴兵されていない男だけなのだ。空襲が続き、明日の命もしれない中、里子はこのまま愛も知らず結婚もできないまま、死んでしまうのかと不安になる。

長く続いた戦争が終わりを迎えるころ。19歳の里子を中心に、小さなシーンを積み重ねて銃後の暮らしを綴っています。飛散防止のためガラスに和紙を貼る。配給が豆と玉蜀黍だけと少なくなり、食べ物を巡って諍いが起こる。食料を補うために庭を耕して野菜を作る。リュックを背負っての農家への買出し。取っておきの和服を乱暴に扱われてハッとする。そんな暮らしのシーンを、ことさら深刻ぶるのでなく丁寧に見せていきます。
二階堂ふみさんは、非常時だろうが身体と一緒に人を恋う気持ちも育っていく若い娘の焦燥感を体現していました。長谷川博巳さん演じる市毛は今は誠実そうだけれど、戦争が終ったら妻子が戻ってくるわけで、そのときは里子ではなく家庭を取りそうなのがほの見えます。
この舞台となる杉並区には数年住んだことがあり、友人たちに戦争体験を聞きました。映画のように配給の食糧がだんだんとぼしくなったこと、勤労動員されたこと、空襲警報のたびに防空壕へ逃げたことなど、2度と味わいたくないと異口同音に語ります。どの国の、誰の命も等しく大切なのだということを忘れずにいたいものです。(白)


2015年/日本/カラー/ビスタサイズ/130分
配給:ファントム・フィルム=KATSU-do
(C)2015「この国の空」製作委員会
http://kuni-sora.com/
★2015年8月8日(土)より、テアトル新宿ほかにて全国ロードショー


posted by shiraishi at 17:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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