監督・脚本:リューベン・オストルンド
撮影:フレドリック・ウェンツェル
音楽:オラ・フロットゥム
出演:ヨハネス・バー・クンケ(トマス)、リサ・ロブン・コングスリ(エバ)、クリストファー・ヒビュー(マッツ)、クララ・ベッテルグレン(ヴェラ)、ビンセント・ベッテルグレン(ハリー)
家族サービスでスキーリゾートにやってきた「できるビジネスマン」のトマス。愛する妻エバと可愛い子どもたちからの信頼は絶大。自他ともに認める良きパパ、だった。あの瞬間までは。
レストランのテラスでランチを楽しんでいたたくさんの家族連れやカップルのお客達。その目の前にスキー場が人工的に起こした雪崩がせまってきた。子どもたちが怖がるのを余裕でなだめていたパパのトマス。テラスが雪に包まれたとき、妻子を置いて一人その場から逃げ出してしまった。戻ってきたトマスを見るエバと子どもたちの目は雪よりも冷たかった。
豪華なリゾートホテルでの5日間のできごと。誰だって自分が大事、最初に素直に謝ればよかったのに、あ〜あと誰もがおもうはず。プライドが邪魔したのか、つい保身を図ったトマスはどんどんドツボにはまっていきます。その気持ちもわからないではありませんが、それは一番やっちゃいけなかったですね。観た人たちが「自分だったらどーする?」と議論できそうです。
憤懣やるかたないエバは友人たちを相手に話を蒸し返し、そこでも墓穴を掘るトマス。寝る前に並んで歯磨きをしていた家族は次第にバラバラになっていきます。休日を針のムシロの上で味わったトマスがようやく率直に認めたあと、帰りにもうひとつ監督がしかけるトラップがあります。
そういえばこのリューベン・オストルンド監督の『プレイ』(2011年の東京国際映画祭で上映され、監督賞受賞)も傑作でした。人間を辛らつだけど暖かい視線で描いているのが共通しています。(白)
2014年/スウェーデン・デンマーク・フランス・ノルウェー合作/カラー/118分
配給:マジックアワー
(C)Fredrik Wenzel
http://www.magichour.co.jp/turist/
★2015年7月4日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開