2015年04月19日
抱擁
監督・撮影・編集:坂口香津美(『ネムリユスリカ』『夏の祈り』)
出演:坂口すちえ、宮園マリ子、坂口諭、坂口香津美
坂口香津美監督の母、坂口すちえさんは長女に先立たれ、頼りの夫も入院、精神安定剤に頼る生活になってしまった。夫を送った後、不安と寂しさで混乱し薬の量が多くなっているすちえさんを、妹マリ子さんは故郷の種子島に連れ帰る。マリ子さんはすちえさんのために部屋を増築し、ベッドを入れた。すちえさんは徐々に外へも出られるようになってきた。
坂口監督が、一人になってしまった母親をカメラを通して見つめています。お母さんの不安からくる愚痴をカメラを置いて聞いてあげたらいいのに、と思うのですがカメラを通さなくてはそばにいられなかったのかも、と思いました。肉親ならではの愛情もその表現も、娘か息子かで違うのかもしれないし、たぶん双方が「いっぱいいっぱい」であったのでしょう。そんなときに、故郷へ連れ帰ると言ってくれたマリ子さんの存在は救いとなったことでしょう。。このマリ子さんがほんとに素晴らしくって、誰にもこういう人がいたらどんなにか安心だろうと思います。これも若い頃から長女として弟妹の面倒をみてきたすちえさんだからこそ、受けられたお世話なのでしょう。
自然にあふれた環境で、心許せる人々に囲まれて、すちえさんの表情がどんどん変わっていくのに安堵しました。2人のやりとりがほほえましいです。介護する人・される人がこんな笑顔になれますように。(白)
最愛の人に先立たれた悲しみをどうやって克服していくかのヒントを教えて貰ったのと同時に、自分も近い将来、年老いてどんな状態になるのかと、ぐっと身につまされました。高齢化社会の中での介護の問題にも思いが至りました。
4月14日、日本外国特派員協会で試写会&記者会見が行われました。
坂口監督から、カメラを通さなければ母と対峙できなかったつらい気持ちを伺いました。
記者会見の模様はスタッフ日記ブログで、どうぞ! (咲)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/417782073.html
坂口香津美監督(右)と、プロデューサー・編集の落合篤子さん(撮影:宮崎暁美)
2014年/日本/カラー/93分
配給:スーパーサウルス
(C)2014 SUPERSAURUS
http://www.houyomovie.com/
★2015年4月25日(土)より、シアター・イメージフォーラム(渋谷)ほか
6月から大阪シネ・ヌーヴォ、鹿児島ガーデンズシネマほか、全国順次ロードショー
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