2015年04月18日

あの日の声を探して  原題:THE SEARCH

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監督・脚本:ミシェル・アザナヴィシウス(『アーティスト』)
原案:フレッド・ジンネマン『山河遥かなり』
出演:ベレニス・ベジョ(『アーティスト』『ある過去の行方』)、アネット・ベニング(『キッズ・オールライト』)、マキシム・エメリヤノフ、アブドゥル・カリム・ママツイエフ、ズクラ・ドゥイシュビリ

1999年、チェチェン。8年前の独立を認めたくないロシアが、モスクワで起きたテロをチェチェン独立派の犯行だとして侵攻してくる。9歳のハジの目の前で両親がロシア兵に殺されてしまう。姉ライッサも殺されたと思ったハジは、まだ赤ちゃんの弟を抱いて家を出る。人の住む家の玄関先に弟を置き、難民キャンプに向かうトラックに乗せて貰うが、名前を聞かれても声が出なくて答えることができない。あまりのショックに声を失ってしまったのだ。隣国イングーシ共和国内にある難民キャンプで、ハジはEU人権委員会職員のキャロルと出会い、彼女の家に保護される。その頃、姉ライッサは、写真を手にハジを探し続けていた・・・

EU職員のキャロルが、家にハジを連れ帰ったのは、難民に対して何もできないでいる自分に苛立ち、せめて一人でも自分の手で助けたいという思いから。声が出なくて何も語れないハジにフランス語でまくしたてるけど、訳のわからない言葉で聞かれては、例え声が出たとしても答えられないでしょう。(言葉が通じなくても、笑顔なら気持ちが通じるのに・・・と、ちょっと私のほうがいらついた場面!)
ハジを演じたのは、オーディションで400人の中から選ばれたチェチェン生まれの男の子。物憂げな眼にぽろりと涙が浮かび、両親を殺された少年を体現しています。キャロルの家に一人でいる時にリズミカルにステップを踏んで踊っている姿は絶品。少年が心の安らぎを得たのを感じさせてくれます。
撮影はチェチェンではなく、チェチェンに接するグルジアで行われています。姉ライッサを演じたのは、グルジア生まれの素人の女性で、やはりオーディションで選ばれたのですが、亡き父がロシア人と闘った経験を持つとのこと。清楚な美人。
この映画の中で、物語がもう一つ同時に進みます。同じロシア連邦でも、チェチェンから2300キロ離れた平和なペルミ市。19歳の青年コーリャはマリファナを吸っているところを警察に捕まり、ロシア軍に強制入隊させられます。戦死や自殺した兵士の始末を命じられ、だんだん正気を失っていくコーリャ。上官たちから手荒い扱いを受けるうちに、自身も新兵を殴りつけるようになります。
人の心に狂気を芽生えさせるものは何なのか・・・ 
人はどうしたらわかりあえるのか・・・
戦争のない世界は、どうすれば実現するのでしょう・・・
答えは簡単なはずのに、解決しないのが悲しい。(咲)


2014年/フランス・グルジア/135分/カラー/ビスタ/5.1chデジタル
配給:ギャガ
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
公式サイト:http://ano-koe.gaga.ne.jp/
★2015年4月24日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー!
posted by sakiko at 17:46| Comment(0) | TrackBack(0) | グルジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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