2015年04月18日

イマジン  英題:IMAGINE

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監督・脚本:アンジェイ・ヤキモフスキ
出演エドワード・ホッグ、アレクサンドラ・マリア・ララ

リスボンの高台にある視覚障害者のための診療所に「反響定位」の方法を教えるインストラクターとして着任した盲目の男イアン。杖を持たず、自分の舌や指で発する音が周囲のものに反響する音で環境を確認しながら歩く方法を、世界各地から集まった10代の生徒たちに伝授するイアン。隣の部屋で暮らす成人女性のエヴァは、引き籠りがちだったが、イアンから反響定位の方法を教わり、イアンと一緒に思い切ってリスボンの町に出る。陽光を浴びながらトラムの走る街角のカフェで過ごす至福のひと時・・・ 
生徒たちからも信頼されるイアンだったが、やがて、安全第一を考える診療所側はイアンの指導を問題視するようになる・・・

「反響定位」(エコーロケーション)という方法を初めて知りました。耳を研ぎ澄ませて、自分の発した音で周りの様子を知る方法。イアンが、この近くの海を大型客船が通ると言うのですが、目の見える人には建物が邪魔をしてなかなか見えません。客船の存在を信じない盲目の青年セラーノを連れて、ある夜、イアンは波止場までいきます。岸壁すれすれのところで海に落ちてしまうのではと冷や冷や。
診療所は、眼下に美しい家並みと海が広がるリスボンの高台にある古めかしい古い修道院を利用した素敵な建物。(ロケに使った修道院は実際にはリスボンから百キロ以上離れたエヴォラにある) エヴァと散策するリスボンの町並みも、とても素晴らしいのですが、盲目の人たちには、その素晴らしさを耳と肌でしか感じることができないのだと思うとちょっと複雑な思い。
『リスボンに誘われて』(2012年 ビレ・アウグスト監督)でも、トラムの行き交うリスボンの町を楽しめましたが、スイスから衝動的にリスボンに行った男が、町の人たちと普通に英語で会話していることに、とても違和感がありました。本作は、世界各地から視覚障害者が来ている診療所という設定なので、英語で話していても違和感はありません。町ではポルトガル語も聞こえてくるし。
ポーランドの監督が、主演に英国人男優と、ルーマニア系ドイツ人女優をキャスティングし、障害のある若者たちも、イギリスから7人、ポルトガルから7人、フランスから2人を起用。ボーダレスな映画の誕生です。このところ、素晴らしい映画続出のポーランド。また一つ、忘れられない秀作です。(咲)


2012ワルシャワ国際映画祭 監督賞受賞/2014ポーランド映画賞 音響賞受賞

2012年/ポーランド・ポルトガル・フランス・イギリス/105分/カラー/デジタル/5.1ch
提供:ダゲレオ出版(イメージフォーラム・フィルムシリーズ)
配給:マーメイドフィルム
後援:ポーランド広報文化センター、ポルトガル大使館
公式サイト:http://mermaidfilms.co.jp/imagine/
★2015年4月25日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開 梅田シネ・リーブル、名古屋シネマテーク他 全国順次公開
posted by sakiko at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ポーランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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