2015年01月29日
おみおくりの作法(原題:STILL LIFE)
監督・脚本:ウベルト・パゾリーニ
撮影:ステファーノ・ファリベーネ
音楽:レイチェル・ポートマン
出演:エディ・マーサン(ジョン・メイ)、ジョアンヌ・フロガット(ケリー)、カレン・ドルーリー(メアリー)、アンドリュー・バカン(プラチェット氏)
ロンドンのケニントン地区で公務員として働くジョン・メイは44歳で独身。毎日決まった食事をとり、同じ道筋を役所に向かい、同じ手順で仕事をする。ジョン・メイの仕事は、孤独死した人の葬儀を執り行うこと。縁者を探して連絡をとっても、殆どの人はやってこない。たった一人で遺品の中から生前好きだったものやエピソードを探し、弔辞を書き、音楽を選んで旅立ちを見送る。長い間誠実に続けてきたのに、突如クビになってしまった。君のやり方は金と時間がかかりすぎる、と。最後の案件は、真向かいのアパートに住むアル中の男性ビリー・ストークだった。酒ビンだらけの乱雑な部屋で見つけた古いアルバムを手がかりに、ジョン・メイはビリーの足跡を辿る旅に出る。
ジョン・メイを演じるエディ・マーサンはよく脇役で見かける俳優さんです。地味ですが確かな演技力で、作品を支えるタイプの人。ジェームス・マカヴォイが最低な刑事を演じたクライム・コメディ(あまりの黒さに笑えませんでした)『フィルス』で、人の良い会計士役。ジョアンヌ・フロガットとそちらでも共演しています。
この作品では几帳面で寡黙な公務員を演じてよく似合います。あの部屋や机の上、食事のシンプルなことと言ったら!そんなジョン・メイがビリーの関係者を探すために、今までと全く違う毎日を送り表情も変化していきます。ビリーの娘ケリーをようやく見つけ出し、いつもの生真面目な顔が笑顔に変わるのですが・・・。
ジョン・メイが大切にしているアルバムの写真は、実際に一人で亡くなった方々のものだそうです。屈託のない笑顔の写真はその人が確かにいた証しでした。思わず自分の来し方行く末を思いました。生まれてくれば誰でもその旅を終える日がやってきます。生まれたときと一緒で自分では決められません。でもその途中をどんな日々にするかは自分次第。わが町にジョン・メイはいませんが、誠実に生きていけば、誰かが別れを惜しんで見送ってくれるはず。(白)
2013年/イギリス・イタリア合作/カラー/ビスタ/91分
配給:ビターズ・エンド
(c)Exponential (Still Life) Limited 2012
http://www.bitters.co.jp/omiokuri/
★2015年1月24日(土)シネスイッチ銀座ほかロードショー
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