監督:ウケ・ホーヘンダイク
撮影監督:サンダー・スヌープ、グレゴール・メールマン
録音:マーク・ウェスナー
音響:ミシェル・ショーピン
音楽:モーリス・ホルストフイス
2004年にスタートしたオランダ・アムステルダム国立美術館の改修工事。2008年には完成の予定だったが、遅れに遅れて10年。ようやくグランドオープンの日を迎えた。これは、その間の様々な作業や話し合いや揉め事まで、あますところなく映し出したドキュメンタリー。
レンブラントの「夜警」、フェルメール「牛乳を注ぐ女」など美術の教科書などで一度は目にしたことのある名画を所蔵している美術館の改修がなにゆえそんなに手間取ったのでしょうか?日本なら絶対映させないだろう内輪の会議や、サイクリスト協会との攻防シーンまであります。自転車が通れない!とのクレームに設計変更を余儀なくされたり、長丁場にすっかり疲れてしまった館長が退陣。新館長が選出されます。このへんの人事も面白いです。美術館が運営されるために多くの人々の力が寄り集まっていることを内側から見せてもらいました。
一方施設の改修が滞っても、名画の修復は粛々と進み、アジア館には日本の金剛力士像が搬入されます。小さなお寺にひっそりと保存されていた力士像を見つけてくれたアジア館長さんにお礼を言いたくなります。日本の学芸員さんは臍を噛んだでしょうか?数々の名画を至近距離で観られて得した気分です。(白)
『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(2008年)で、改修工事が遅れている最大の理由が、美術館の真ん中にある通路が自転車で通り抜けなくなることへの市民団体の反対運動であることが描かれていました。という次第で、続編である本作で、その通路がどのように解決されたのかを確認するのが楽しみでした。
新所長の椅子を巡る候補者の思惑も、実に楽しく描かれています。
そして、なにより、日本の金剛力士像搬入の折のお坊様たちによるダイナミックなご祈祷には、感動を覚えました。(咲)
2014年/オランダ/カラー/97分
配給:ユーロスペース
http://amsmuseum.jp/
★2014年12月20日(土)渋谷 ユーロスペースにて上映