監督:パトリス・ルコント (『髪結いの亭主』『仕立て屋の恋』)
原作:シュテファン・ツヴァイク「Journey into the Past」
音楽:ガブリエル・ヤレド( 『イングリッシュ・ペイシェント』『善き人のためのソナタ』)
劇中曲:ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」作品13第2楽章「アダージョ・カンタービレ」
出演:レベッカ・ホール(『それでも恋するバルセロナ』『アイアンマン3』)、アラン・リックマン、リチャード・マッデン
1912年、ドイツ。大学で冶金工学を専攻し、主席で卒業したフリドリック。入社した鉄鋼会社の社長に見込まれ、やがて持病の悪化した社長の屋敷に住み込んで仕事をするようになる。貧乏だったフリドリックにとって、一転した優雅な暮らし。社長の若き妻シャーロットと紅茶を飲みながら話したり、息子を連れて3人で遊園地に行ったりするうちにお互い淡い恋心が芽生える。そんなある日、社長からフリドリックに2年間のメキシコ駐在の辞令がくだる。もともと、フリドリックが社長にメキシコでのマンガン採掘権を得るべきだとの提案をしていたものだが、二人の気持ちに気付いたからではないかとの思いがよぎる。フリドリックがメキシコ赴任を伝えると、シャーロットは「あなたなしでは生きていけない」と泣き崩れる。2年後に戻ってくるまで変わらぬ愛を誓うと約束して別れ、二人の海を越えた文通が始まる。が、帰国まで半年となったとき、第一次世界大戦で海上交通が封鎖され、手紙が届かなくなってしまう・・・
ちょうど同じ時期に試写で観た韓国映画『情愛中毒』は、部下の妻と禁断の恋に落ちる物語。ソン・スンホン初の大胆な濡れ場シーンが話題になったのですが、不思議と純愛を感じました。一方、『暮れ逢い』では、メキシコ赴任が決まってお互い胸の奥にしまっていた気持ちが溢れでて寄り添っても一線を越えることなく別れるのですが、なぜか不純なものを感じてしまいました。フリドリックが人妻のシャーロットには、ぐっと気持ちを抑えて手を出さないものの、下宿の女性には欲望をむき出しにした姿を見せられたせいなのかなと思います。また、アラン・リックマン演じる年老いた夫が、いぶし銀のような渋いイイ男なので、若いだけのフリドリックに揺れるシャーロットの気持ちが肉体的欲求に見えてしまったからかも。(あ、つまりは、フリドリック役のリチャード・マッデンより、夫役のアラン・リックマンの方が私の好みだったというだけのことかも・・・すみません。余計なことを!)
『暮れ逢い』では、金持ちだけど年の離れた夫が重い病に罹り、あまり妻を構うことができない状況、一方、『情愛中毒』は、ベトナム戦争から帰還し上官の娘と愛のない結婚をしたという状況の中で、たまたま出会った人と恋に落ちるのですが、恋なんてしょせんそんなもの?!
『暮れ逢い』の二人が戦争の時代を経ても愛を誓うという約束を守れるのかは、どうぞ劇場でご確認を! (咲)
配給:コムストック・グループ
配給協力:クロックワークス
2014年/フランス・ベルギー/英語/98分/原題:A Promise
公式サイト:http://www.kure-ai.com
★2014年12月20日(土)、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー