2014年09月21日
悪童日記(原題:A nagy fuzet)
監督:ヤーノシュ・サース
原作:アゴタ・クリストフ「悪童日記」(早川書房刊)
出演:アンドラーシュ・ジェーマント(双子)、ラースロー・ジェーマント(双子)、ピロシュカ・モルナール(祖母)、ウルリッヒ・トムセン(将校)、ウルリッヒ・マテス(父)
双子の僕たちは両親と街で暮らしていたが、戦争が激しくなってきたので田舎にいるおばあちゃんの家に預けられることになった。お母さんのお母さんがいたなんて今まで聞いたこともなかったのに。お父さんは「日記をつけるように」とノートを渡して戦場に行き、お母さんは「勉強をやめてはいけない」「生き延びるのよ」と僕たちを置いて行ってしまった。
僕たちは“おばあちゃん”と呼ぶ。おばあちゃんは村で“魔女”と呼ばれ、僕たちを“メス犬の子ども”と呼び、言いつけられた仕事をしてやっと食べさせてくれた。おばあちゃんは僕たちをすぐにぶつ。村では誰もが蹴ったり殴ったりするので、僕たちは強くなって生き延びられるように訓練を始めることにした。
戦争場面を描かない戦争映画。原作は双子の目線で描かれた日記で、目に入ったこと聞いたこと、自分たちがしたことだけが書かれ、映画も日記が影の主役です。
監督が出会ったのは奇跡だという双子は、ハンガリーの貧しい地域の出身で、この役を体現するのにうってつけの目力とハンサムぶり。監督がめざしたとおり余計なものがなく、シンプルでとても力強い作品でした。ヤーノシュ・サース監督の名前はお初ですが、この作品ですっかり刻み込まれました。
原作の同名小説は、ハンガリー出身の作家アゴタ・クリストフが母国語ではないフランス語で書き、51歳にして初めて出版したもの。「ふたりの証拠」「第三の嘘」との3部作で、世界的なベストセラーとなっています。ぜひ読んでみようと思います。
ハンガリーの映画の公開は数少ないですが、『ニーチェの馬』(2011/タル・ベーラ監督)『人生に乾杯!』(2007)『タクシデルミア ある剥製師の遺言』(2006)といくつか観ていました。どれも強く残って忘れられません。(白)
2013年/ドイツ、ハンガリー合作/カラー/111分/シネスコ
配給:アルバトロス・フィルム
(C) 2013 INTUIT PICTURES - HUNNIA FILMSTUDIO - AMOUR FOU VIENNA - DOLCE VITA FILMS
http://akudou-movie.com/
★2014年10月3日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテ他全国順次公開
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