2014年07月20日

めぐり逢わせのお弁当  原題:Dabba  英題:THE LUNCHBOX

監督・脚本:リテーシュ・バトラ(長編初監督作品)
出演:イルファーン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッディーキー 

大都会ムンバイで、125年も続いている家庭から仕事場へのお弁当配送サービス。5千人ものダッバーワーラー(お弁当配達人)が人海戦術で毎日20万個ものお弁当を配送しているが、誤配は6百万個に一つとのバーバード大学の調査結果。本作は、奇跡的に間違って届いたお弁当を巡る物語。

結婚して数年、夫の気持ちがほかの女性に向いているのを感じているイラ。お弁当配達人が取りに来る時間に向けてお弁当を作っていると、上の階に住むおばから、「秘伝の心を取り戻すスパイスを入れなさい」と、籠が降りてくる。秘伝のスパイスを仕上げにひとつまみ。その日、なめたように綺麗な空のお弁当箱が戻ってくる。なのに、夫は「カリフラワーが美味しかった」と入れてもいないオカズを褒めるばかりで素っ気ない。誤配されたと気づいたイラは、お弁当にそっと手紙をしのばせる。

イラのお弁当を受け取ったのは、保険会社に勤めるサージャン。妻に先立たれ、お昼は食堂の仕出し弁当だ。いつになく美味しい弁当が届く。早期退職を決めた彼は、食堂に辞める日を伝えに行ったついでに今日の弁当を褒める。翌日、チャパティの下に手紙を見つけ誤配を知る。二人の手紙の交換が始まる・・・
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(C) AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm-2013

夫の気持ちをなんとか取り戻そうとするイラ。
亡き妻をもっと理解してあげればよかったと悔やむサージャン。
退職するサージャンの後任シャイクは、孤児。恋人の父親がなかなか結婚を認めてくれない。
上の階からイラに助言を送るおばは、寝たきりの夫の為に自家発電機を買ってまで介護中。
イラの父が亡くなり、死んだらどうしようと思っていたのに空腹しか感じないという母・・・
イラとサージャンを中心に、人生に起こる様々な問題をたっぷり盛り込んであって、観る人の誰もが、きっとどこかで自分に重ね合わせてみることができるでしょう。
イラは顔も知らないサージャンと手紙をやりとりする内に、国民総幸福量の高いブータンに行く夢を抱き始めます。男になんか頼らない! 自分の人生を歩もうとするイラを俄然応援したくなりました。
そして何より、ダッバーワーラーたちが列車の中で歌う姿にじ〜んときました。時間との勝負で家庭からお弁当をピックアップして、自転車や歩きで駅まで運び、ほっとするひと時。今日もムンバイの町の喧騒の中を彼等は汗だくになって、妻と夫を繋ぐお弁当を運んでいるのでしょうね。そして、一つ一つのお弁当に、人生のドラマがあるのですねぇ。
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(C) AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm-2013

イラがいつもつけているネックレスは、マンガラ・スートラといって、婚姻の証なのだそうです。
ぜひ胸元に注意して映画をご覧ください。(インド通の友人から教えていただきました。もう一度、観なくては!の私です。)(咲)


松岡環さんの「アジア映画巡礼」にも、映画の背景がたっぷり紹介されています。とても参考になります。
お弁当誤配のヒントも映画の中にあったとか。まったく、何を観ていたのか・・・の私です。
http://blog.goo.ne.jp/cinemaasia/e/4ffb3a938538fdb3dc60aa6553021be7


2013年/インド=フランス=ドイツ/1時間45分/英語、ヒンディー語
後援:インド大使館 提供:東宝、ロングライド 配給:ロングライド 
コピーライトマーク AKFPL, ARTE France Cinéma, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm−2013
公式サイト:http://lunchbox-movie.jp/
★2014年8月9日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
posted by sakiko at 09:56| Comment(0) | TrackBack(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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