監督: カリン・ピーター・ネッツァー
出演: ルミニツァ・ゲオルギウ(コルネリア)、 ボクダン・ドゥミトラケ(バルブ)、イリンカ・ゴヤ(カルメン)、ブラド・イヴァノフ(ディヌ)
ブカレストに住むセレブのコルネリアは、30になっても自立していない息子バルブが悩みの種。誕生日パーティにも顔を出さず、子持ちのカルメンを恋人にしているのにも腹が立つ。買い与えたマンションに家政婦を掃除にやってそれとなく探らせている毎日だ。そんな中、バルブが交通事故を起こしたと知らせが入る。前の車を追い越そうとスピードを上げ、飛び出した子どもをよけきれず死なせてしまったという。
コルネリアは思いつくだけのコネクションとお金の力で、バルブを助けようと画策する。
第63回ベルリン国際映画祭で金熊賞受賞。
子離れできない母と親離れできない1人息子の愛憎半ばするドラマ。
密着していた時代はあるはずもなかった距離と溝が、30才にもなればできてあたりまえ。それを認められないコルネリアは、息子が離れていくのは恋人のせいだと思い、自分の愛情が息子を苦しめていることに気づかない。
超セレブな家庭の話ながら、母親ならば誰でも少しは思い当たるふしがあるはず。生まれたときからそばにいるわが子は、いくつになっても「私の子」だから。けれど普通は進学したり、就職したり、結婚したりで順当に親離れしていく。この母子はその機会を逸してしまったのでしょう。
ルミニツァ・ゲオルギウの存在感が日本なら杉村春子さんかな、というくらい凄い。ルーマニアを代表する女優で、日本公開されたルーマニア映画『4ヶ月、3週と2日』(2007)、『汚れなき祈り』(2012)にも出演していた(すみません、記憶は彼方へ)そうです。コルネリアをゆする目撃者ディヌのブラド・イヴァノフは、『4ヶ月、3週と2日』で、堕胎医役でした。『オーケストラ!』や『スノーピアサー』にも出演と海外作品でも活躍中。(白)
配給・宣伝:マジック・アワー
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6月21日(土)よりBnukamuraル・シネマほか全国順次公開