2014年05月03日

朽ちた手押し車

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監督・脚本:島宏
出演:三國連太郎(安田源吾)、田村高廣(安田忠雄)、長山藍子(忠雄の嫁みつ)、誠直也(次男 弘)、初井言榮(安田トミ)、下條アトム(医師)

かつては屈強な漁師であった源吾は、今は老いて徘徊、失禁をくりかえしている。忠雄は長男として家を支え、母トミと嫁のみつが手のかかる源吾を献身的に介護している。
都会で暮らしていた次男の弘が7年ぶりに帰ってくる。弘は源吾の船に乗せた妻子が事故で亡くなって以来源吾を恨んで家を出ていた。ある日トミが倒れて病院に運ぶと、すでに病気が進行して余命いくばくもないことがわかった。

1984年の作品ですが、当時としては異色の題材だったためか劇場未公開。昨年亡くなった三國連太郎さんの唯一の未公開作品でもあります。昨年の「お蔵出し映画祭2013」においてグランプリと観客賞をW受賞し、このほど30年ぶりの劇場公開となりました。4人に1人は65歳以上の高齢者という今の日本が抱える問題が切実に語られて身につまされます。食卓を真上から撮影したシーンで、家族がいたわりあいながら暮らしているようすがわかりちょっとホッとしました。けれど介護を担ってきた母が倒れたことで、それまでの暮らしが成り立たなくなっていきます。母親の口惜しさを初井言榮さんが熱演。六十代だった三國さんが八十代の老けメイクをしていますが、実際に八十代になられた三國さんはとても若々しかったですね。
三國連太郎さんだけでなく、田村高廣さん、初井言榮さんもすでに亡くなられてしまい、スクリーンで再会できるのが嬉しくもあり悲しくもあり。(白)


この作品は1984年(昭和59年)に製作されているが、私はその頃、この作品が撮られた親不知(おやしらず)近くの、信州白馬村で働いていた。冒頭に出てきた親不知駅も、その当時通ったことがある。
1986年に信州から帰ってきて西麻布にある現像所に勤めた。その頃、三國連太郎さんとすれ違ったことがある。西麻布の交差点のそばだった。浴衣に下駄の姿で犬の散歩をしている大柄な人をみかけ、こんな所で「浴衣で犬の散歩?」と思って見たら三國連太郎さんだった。1986年だったので、この作品を撮った2年後くらいだと思うけど、犬と一緒に走っていてさっそうとしていた。まるで、上野の西郷隆盛の銅像のような格好だった。
今、この作品の中の三國さんを見ると、その時の姿とのあまりの違いに、今更ながら驚いている。そうとうの老けメイクをしていたんだなとつくづく思った。(暁)
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1984/日本/カラー/136分
配給:アークエンターテインメント
http://k-tg.net/
2014年5月3日(土)丸の内TOEI他全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 18:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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