監督:ヴィッキー・ジューソン
出演:ソフィア・ブラック=デリア、ジェームス・フレイン、リディア・レオナルド、ジョーイ・アンサー、マイケル・ブランドン
1988年、アフガニスタン北東部のワハーン回廊。抵抗活動をしているカリドたちを敵対するソ連が攻撃し、カリドの一人息子ムサブが亡くなる。旅行中に強盗に襲われ一文無しになったところをカリドに助けられ、ムサブの子守をしていた白人女性のダフネ。カリドたちの潜伏先を密告したのではと疑われ、殺されそうになるが、なんとか英国に逃れ、身元を変えて暮らし始める。
時は流れ、ダフネが元軍人の夫や娘ミアとディーと暮らす家が武装グループに襲われる。ダフネと夫が亡くなる。遺されたミアは、MI6(英国秘密情報部)職員オリビアから、自分はカリドがダフネをレイプして出来た子だと聞かされる。テロリストのカリドを捕らえる為、おとりになることを決意し、ミアはワハーン回廊に赴く・・・
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(背景はアンマンの町並みのようです)
ワハーン回廊という懐かしい響きに、アフガニスタンでロケしたはずはないので、さて、どこで撮影?と資料を読まずに観てみたら、トルコ風の大きなモスクの下に「ワハーン回廊」の文字。続いて空撮された町並みはまぎれもなくヨルダンの首都アンマン! (後で確認したら、ヨルダンとキプロスでロケとありました。)
服装はシャルワール・カミーズにパシュトゥーン族のターバンと、アフガニスタンらしさを出しているのですが、ちらっと見える店の看板や道路標識にアラビア語が・・・ (まぁ映画ですから、ご愛嬌) カナダののどかな山奥の風景が出てくるのですが、実はそれこそ、私が以前、ワハーン回廊に行った方たちから見せてもらった映像そのものでした。タジキスタンとパキスタンの間に、盲腸のように細長く入り込んだのがワハーン回廊。パキスタン北部をハイキングしているうちに、知らない間にアフガニスタン領内に入っていたそうです。
イスラームの武装組織といえば、テロリストのイメージが植え付けられてしまっていますが、この映画では、カリドたちは実は自分たち民族が平和に暮らせるようにと、石油利権を持つ者たちに抵抗していることが明かされます。緊張感溢れるアクション映画に、今の世界が抱える問題も盛り込んであり、好感度アップ。
こんな骨太の娯楽映画を作ったのが、女性監督と知って、びっくり。そういえば、ミアに向ける眼差しが、どこか優しいのは女性ならではでしょうか。(咲)
2013年/イギリス/ カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタルステレオ/約108分
配給:日活・AMGエンタテインメント
★2014年2月1日(土) 新宿シネマミラノ他ロードショー
公式サイト: http://mia-movie.jp