2018年11月04日

走れ!T校バスケット部

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監督:古澤健
原作:松崎洋「走れ!T校バスケット部」(幻冬舎文庫)
脚本:徳尾浩司
出演:志尊淳、佐野勇斗、早見あかり、戸塚純貴、佐藤寛太、鈴木勝大、 西銘駿、阿見201、竹内涼真(友情出演)、千葉雄大(友情出演)、真飛聖、YOU、竹中直人、椎名桔平

連戦連敗、向かうところ負けばかりの超弱小チーム「T校バスケット部」。
そんなT校に、バスケの強豪H校で1年生ながらエースとして活躍していたスタープレーヤー、田所陽一が編入してくる。
陽一は親友をイジメから救った事で自分自身が標的となり、H校を自主退学していた。
もう二度とバスケはしない――。
そう心に誓い、勉強に専念する陽一だったが、新たな仲間たちとの出会い、脳裏に焼き付いて離れないリングに引き寄せられるボールの軌道が、陽一を再びコートへと駆り立てる。
情熱と葛藤、仲間と家族、あきらめきれない夢 ―。
陽一を迎えた新生「T校バスケット部」が全国大会に向けて走り出す!

シュートが決まるとこちらまでハイな気分に。チームスポーツを楽しそうにする姿から仲間への信頼感が伝わってくる。勝つ楽しみを知り、強くなっていく彼らに引き込まれた。そして、勝つことよりもフェアプレーがカッコいいという母の教えがピンチの主人公を支える。これはバスケだけではなく、生きていく上での指標となる。

またYOUが演じる顧問の労わりも心に沁みる。上に立つものはこうあるべきか。決勝戦後、相手校の顧問との対比で明らかに。
志尊淳に心癒される至福の120分。爽やかさ満点の竹内涼真が登場するボーナスタイムまであり、心が躍る。戸塚純貴は菅田将暉っぽい良さが感じられた。(堀)


2018年/日本/カラー/115分
配給:東映
(C) 2018「走れ!T校バスケット部」製作委員会
http://tkoubaske.jp/
★2018年11月3日(土)全国東映系にてロードショー
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ステータス・アップデート(原題:Status Update)

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監督:スコット・スピアー
出演:ロス・リンチ、オリヴィア・ホルト、ハーベイ・ギーン、コートニー・イートン

カリフォルニア出身のカイルは両親の別居によって、母、妹と3人で祖父が住むコネチカット州に引っ越しをする。自分に自信のないカイルは高校に馴染めず、恋人がいないのが悩み。ある日、同級生にスマホを壊され、学校帰りにスマホショップに寄ったところ、ソーシャルアプリ「ユニバース」がダウンロードされた新しいスマホを渡される。「ユニバース」はプロフィール欄になりたい自分を書き込むとその通りになる魔法のアプリだった。カイルは「ユニバース」を駆使して、高校でのステータスを上げていくが…。

カイルは踊って歌ってスポーツ万能となり、学内でのステータスが急上昇。努力もせずに手に入れた能力をちやほやされて舞い上がる。美人から口説かれて、友だちとの約束を忘れてしまう。高校生でなくてもありがちかも。あれもこれもと手を出し、本当にやりたかったことが蔑ろに。自分を見失い、大切なものも失ってしまう。にっちもさっちもいかなくなる。そんなカイルに母は地道にやり直すしかないとアドバイス。そう、失敗してもいい。人生は地道がいちばん!(堀)

2018年/アメリカ/英語/106分/カラー/DCP
配給:AMGエンタテインメント
(C) 2017 STATUS UPDATE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. http://status-update.jp/
★2018年11月3日(土)ロードショー
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バグダッド・スキャンダル(原題:Backstabbing for Beginners)

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監督・脚本:ペール・フライ
原作:マイケル・スーサン
脚本:ダニエル・パイン
出演:テオ・ジェームズ、ベン・キングズレー、ジャクリーン・ビセット、 ベルシム・ビルギン

2002年。24歳のアメリカ人青年マイケルは、念願だった国連事務次長の特別補佐官に任命され、国連が主導する“オイル・フォー・フード”プロジェクトを担当することになった。これはイラクがクウェートに侵攻したことによる経済制裁の影響で、貧困にあえぐイラクの民間人を救う人道支援計画。国連の管理の元でイラクの石油を販売し、食料に変えてイラクの国民に配る。一見理想的な政策に見えるこのプロジェクトに実はフセイン自身が関与し、国連を中心とした世界各国の企業や官僚機構がかかわっていることを知る。やがて世界に例を見ない巨額の詐欺事件に発展していくのであった。

湾岸戦争によって経済制裁を受けたイラクは困窮し、食料や衣料品が不足。多くの命が失われていた。そこで国連の管理下で石油を売却し、その利益で食料を配給する人道支援計画が実施された。「石油・食料交換プログラム」と呼ばれるこの計画は安保理決議986に基づき実行されたが、大きなお金が動くことで利権を求める者を生み出し、国連史上最悪の汚職スキャンダルとなった。

本作はこの計画に関わっていた元国連職員マイケル・スーサンが書いた「Backstabbing for Beginners」が原作。主人公は外交官だった父親と同じ道を目指して、国連職員となる。国連事務次長の特別補佐官に任命され、石油・食料交換プログラムに関わるのだが、着任当日さっそくCIAが接触を計ってくるなど、怪しさ満点。上司に同行してバグダッドに行けば、さらに危険にさらされる。前任者は謎の死を遂げたという。美人通訳はハニートラップか。立場により正しさの判断が違う。 誰を信じればいいのかわからない。サスペンス感たっぷりで引き込まれる。国連事務次長役のベン・キングズレーの不敵な笑みが怖い!(堀)


2018 年/デンマーク=カナダ=アメリカ/ 106 分/5.1ch/シネスコ/カラー
配給:アンプラグド
(C) 2016 CREATIVE ALLIANCE P IVS/ BFB PRODUCTIONS CANADA INC. ALL RIGHTS RESERVED.
http://baghdad-s.com/

★2018年11月3日(土)シネマカリテほか全国順次公開
posted by shiraishi at 20:29| Comment(0) | デンマーク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

津軽のカマリ

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監督・制作・撮影:大西功一
出演:初代高橋竹山、二代目高橋竹山、高橋哲子、西川洋子、八戸竹清、高橋栄山、須藤雲栄、高橋竹童

「カマリ」とは「匂い」のこと。生前、初代高橋竹山は「津軽のカマリが湧き出るような音を出したいものだ」と語っている。大西功一監督は、彼の足跡をたどり、残された映像や音声、竹山を知る人々の言葉を集めながら、彼の苦難に満ちた人生に光をあてていく。また津軽に残る風習や文化の背景をさぐり、つましく生き、死んでいった人びとに思いを馳せる。

『スケッチ・オブ・ミャーク』で、沖縄。宮古島に残る神歌にスポットを当てた大西監督。今度は東北で津軽三味線の名人とうたわれた初代高橋竹山の残した「津軽のカマリ」を探す旅をしました。若くして内弟子になった二代目高橋竹山さんが旅の道連れとなって、師匠とともに訪ねた懐かしい場所に足を運びます。ご縁あってお二人にお話を伺えましたので、映画の後でも先にでもご覧くださいませ。(白)

☆大西功一監督インタビューはこちら
☆二代目高橋竹山さんインタビューはこちら

2018年/日本/カラー/110分/ドキュメンタリー
配給:太秦
(c)2018 Koichi Onishi
http://www.tsugaru-kamari.com/
★2018年11月3日(土)より青森・青森松竹アムゼ、つがるシネマヴィレッジ8
11月10日(土)より東京・ユーロスペース他全国順次公開


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上:11月11日舞台挨拶の前に控え室での大西監督と二代目高橋竹山さん
下:舞台挨拶終了後のサイン会で
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アジア三面鏡2018:Journey 

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『海』(中国)監督:デグナー 出演:チェン・ジン、ゴン・チェ
父が亡くなり、大学生の娘と母親は海に向かう。日ごろ不和な親子が喧嘩を繰り返しながら車で移動するロードムービー。
ろくに口も聞かず不機嫌な娘、電話ばかりしている母親、二人が折り合うことはあるのか?

『碧朱(へきしゅ)』(日本)監督:松永大司 出演:長谷川博己、ナンダーミャッアウン
ミャンマーのなかでも発展著しいヤンゴンに赴任してきた鈴木は、市内を循環する鉄道事業に関わっている。循環線に乗る鈴木の目に人々の飾らない生活が見えてくる。たまたま話しかけてきた乗客の男性、市場で言葉を交わした縫い子の少女、彼らの暮らしにスピードは必要なのだろうか?

『第三の変数』(インドネシア)監督:エドウィン 出演:アグニ・プラティスタ、オカ・アンタラ、ニコラス・サプットゥラ
日本にやってきたインドネシア人夫婦の目的はマンネリ化からの脱出。指定された家を訪ね、謎の男から奇妙なアドバイスを受ける。

「アジア三面鏡」は国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭の共同プロジェクト。日本を含むアジアの気鋭監督3人が、ひとつのテーマをもとにオムニバス映画を共同製作する。シリーズ第2弾の今回、共通テーマは「旅」。
3作全てにニコラス・サプットゥラが出演している。

『碧朱』の松永監督にインタビューさせていただきました。こちらです。(白)

2018年/日本/カラー/シネスコ/110分
配給:マーメイド・フィルム
(C)2018 The Japan Foundation, All Rights Reserved.
http://asian3mirror.jfac.jp/2018_journey/ja/

第31回東京国際映画祭にてプレミア上映。
★2018年11月9日(金)〜11月15日(木)東京・新宿ピカデリー、大阪・なんばパークスシネマ、名古屋・ミッドランドスクエアシネマにて、一週間限定ロードショー
posted by shiraishi at 17:46| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ボヘミアン・ラプソディ(原題:Bohemian Rhapsody) 

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監督:ブライアン・シンガー
脚本:アンソニー・マッカーテン
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽プロデューサー:ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー
出演:ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー)、ルーシー・ボイントン(メアリー・オースティン)、グウィリム・リー(ブライアン・メイ)、ベン・ハーディ(ロジャー・テイラー)、ジョセフ・マッゼロ(ジョン・ディーコン)

メンバーが抜けたばかりのブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンドに自分を売り込んだフレディ、これまでのインド風の名前を捨て、フレディ・マーキュリーと改名する。フレディは恋人メアリーを得て、公私共に充実していた。メンバーで作る個性的な曲は、当初業界で評価されなかったがライブを重ねるごとにファンが増え、アルバムも発売された。数々のヒット曲を放ち、世界的なバンドとなっていくクイーン、フレディは輝かしいライトを浴びながら、孤独にさいなまれていた。
破格の契約金でソロとなったフレディはメンバーと仲たがいしてしまう。メアリーとも疎遠となって、ようやく自分が大切にしなければならないものに気づく。そんなとき、20世紀最大の音楽イベント「ライブ・エイド」に出演の話が持ち上がった。フレディは自分の非を認めてメンバーに許しを請う。崩壊寸前だったクイーンは再び結集した。

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作品中披露されるのは28曲。フレディの独特なマイク・パフォーマンスの始まり、「ボヘミアン・ラプソディ」、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」が生まれるときのエピソードも織り込まれ、名曲誕生の瞬間に立ち会ったような気がします。一旦仲間のもとを離れたフレディが参加を決意する1985年のチャリティー・ライブ「ライブ・エイド」は、クイーンが完全復活を果たす最高のパフォーマンスで、映画では冒頭がそのシーンで始まり、ラストをまるごと再現した圧倒的な映像でしめくくります。みんなで一斉に何かするのが苦手な私でも、思わず胸が熱くなりました。試写室で涙を拭いていたのは私だけではありません。
フレディを演じるラミ・マレックは少し細身ですが、堂々のパフォーマンス。撮影で使った”付け歯”と別れがたくて、金加工をして大切に持っているようです。メンバーも楽器演奏を特訓しての熱演。キャスト4人が来日するそうなので、芸能ニュースチェックをお忘れなく。
日本でもクイーン人気は高く、1975年には初来日、日本びいきでプライベート来日もあったそうです。ドラマの主題歌になったり、日本独自のベストアルバムも発売(2004年)チャート入りしています。フレディは日本の着物や陶磁器、日本庭園が好きで映画の中にも散見されます。ガウン代わりに着ているのは赤い襦袢でした。
歌舞伎町に新宿コマ劇場が健在だった2004年、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のミュージカル興行があり、大きな看板が掲げられ曲が鳴り響いていたのを思い出します。これはより大きな画面で、良い音響の劇場で体感するのがおすすめです。手拍子と足踏みが出そうですね。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/135分
配給:20世紀フォックス映画
(C)2018 Twentieth Century Fox
http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/
★2018年11月9日(金)ロードショー

<前夜祭上映>
大迫力の音響システムで一足早く体感
11月8日(木)、IMAXR/ドルビーアトモス上映劇場にて
<胸アツ応援上映>
11月9日(金)、TOHOシネマズ日比谷(東京)・梅田(大阪)にて
詳細はHPまで
posted by shiraishi at 16:41| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

十年 Ten Years Japan

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『PLAN75』
監督・脚本:早川千絵
出演:川口覚、山田キヌヲ、牧口元美、美谷和枝

PLAN75とは、75歳以上の高齢者に安楽死を奨励することをうたった国の制度。公務員の伊丹は貧しい老人たちに勧誘を行っていた。

『いたずら同盟』
監督・脚本:木下雄介
出演:國村隼、川星哉、辻村羽来、中野龍 

IT特区の小学生たちはAIにより理想的な道徳を刷り込まれている。用務員の重田が日々世話をしている老馬に殺処分の決定が下った。クラスのはみ出しっ子たちが動き出す。

『DATA』
監督・脚本:津野愛
出演:杉咲花、田中哲司、前田旺志郎、三浦誠己
舞花の母が亡くなり、データが入った「デジタル遺産」を手に入れた。懐かしい母の映像を喜ぶ舞花だったが、知らなかった一面も見ることになってしまった。

『その空気は見えない』
監督・脚本:藤村明世
出演:池脇千鶴 三田りりや 田畑志真
地上は原発により大気が汚染され、人々は地下での暮らしを余儀なくされていた。
見たことのない世界に憧れを抱く少女ミズキは、母に禁じられるたびに上に行きたい気持ちが募ってくる。

『美しい国』
監督・脚本:石川慶
出演:太賀、木野花
自衛隊徴兵制が導入された日本。広告代理店に勤める渡邊は告知キャンペーンの担当になった。同僚がけむたがるベテランデザイナーの天達のもとへ報告に訪れる。

香港で2015年に製作された短編オムニバス作品『十年』(日本公開2017年)は、インデペンデント映画にも関わらず大ヒット。2016年の香港電影金像奨で最優秀作品賞を受賞しました。これを期にアジア地域および国際社会の相互理解のためにプロジェクトが2016年に始動、日本、タイ、台湾でそれぞれの十年後を見据えて新鋭監督たちが描きました。日本で製作されたこの5本の総合監修を是枝裕和監督がつとめています。日本版、タイ版はTIFF2018で上映されたばかり。

「十年後」は自分はいないかもしれないなぁと観ていました。身につまされたのは『PLAN75』
高齢者が医療費を圧迫している、と言われ続けていると「生きていてすみません」と刷り込まれそうになります。その前にムダな薬を山のように出すのをやめたらどうでしょう?>病院関係者&製薬会社さま
「PLAN75」制度は結果を要求され、良策であることを証明しなければなりません。当然金と力のある人はいろいろと逃れる術があるだろうから、身寄りのない(クレームをつけられない)老人たちをまずターゲットにするはず。未来版姥捨て山。
『いたずら同盟』『DATA』はありそうと思えます。ITの進化のスピードが越えてしまうかもしれません。予想があたってほしくないのは『その空気は見えない』、『美しい国』。じわじわと背後に近づいていて、気づいたときにはもう遅い・・・パターンは勘弁。みんな言い訳はやめて、せめて選挙に行って流れを変えて頂戴。

「まえだまえだ」の弟・前田旺志郎くんが『DATA』ではすっかり青年になっていて見違えました。『奇跡』(2011)の印象が強くて『海街diary』の風太くんだったのに、今調べて気づきました。あっというまに大きくなるんですね。『美しい国』の太賀さん、木野花さんは『母さんがどんなに僕を嫌いでも』のタイジくんとばあちゃんではありませんか。
こちらでも誠実さがにじみ出ています。(白)


新鋭監督5人が10年後の日本を描いたオムニバス形式の作品。高齢化、AI社会、死後のデジタルデータの管理、大気汚染、徴兵制について取り上げる。

「PLAN75」
75歳以上に安楽死を勧める制度を勧誘する公務員の葛藤はいかばかりか。政府のPR映像はつい本気で見てしまうほど出来栄え。すっかり引き込まれた。

「いたずら同盟」
AIによって管理された小学校が舞台。孫悟空の頭のリング的なものをつけ、非道徳的な行動を取ると頭痛が起こさせる。しかし、誰にとって道徳的であることを求めているのか。管理社会の怖さを見せつけられた。

「DATA」
亡くなった母親が残したデジタルデータを父親に内緒に再現した女子高生が母の不徳に悩む。しかし、SNSなどに残るものは前後やその時の状況を知らないと間違って解釈してしまうこともある。母の不徳の真偽はわからない。5作品の中でいちばんあり得る未来だろう。いや、すでに起きているかもしれない。自分のデータについては考えておかなければ。

「その空気は見えない」
母親の池脇千津はお母さん役がすっかり板についた感。

「美しい国」
戦争を体験した人が少なくなり、平和な日々に戦争の怖さがわからなくなっている。主人公もキャンペーンに関わりつつ、徴兵制は他人事。それをリアルに感じさせたラストに見ている者も背筋がヒヤリとするだろう。
『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の太賀と木野花が出演。木野花はあちらの作品では町工場のおばちゃんだが、こちらでは知的なデザイナー。役が違うと全く別人に見える。(堀)


2018/日本/カラー/ビスタ&シネスコサイズ/99
配給:フリーストーン
(C)2018 “Ten Years Japan” Film Partners
http://tenyearsjapan.com/
★2018年11月3日(土)ロードショー
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華氏119 (原題:Fahrenheit119)

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監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア

2016年11月9日にトランプが米国大統領選を勝利をしたことを受け、なぜヒラリー・クリントンが負けたのかを丁寧に解説する。さらに、マイケル・ムーア監督の故郷であるミシガン州で起こっている事実に目を向け、トランプ政権に導かれて、アメリカが向かおうとしている先を危惧し、警告を鳴らす。

多くのアメリカ人が確信していたアメリカ初の女性大統領の誕生。ところが蓋を開けてみれば、当選したのは、まさかのドナルド・トランプだった。ひとり1票ではない“選挙人制度”と無投票数が絡み合い、トランプを支持する少数派がアメリカ全土の意志へと変わってしまった恐ろしい“からくり”をマイケル・ムーア監督が明かしていく。その見せ方がうまい。ヒラリー支持者が開票前から当選を確信して祝杯を挙げるシーンを見せた後、お通夜かと思うような沈痛なトランプ陣営を映し出す。そして、トランプ当選直後の相反する反応も。エンタテインメントがよくわかっている。
ムーア監督はミシガン州フリントの水道問題にも切り込む。トランプの古くからの友人スナイダーがミシガン州知事になり、金儲けのために、黒人が多く住むフリントという街に民営の水道を開設したが、安い管を使用したことで水道水に鉛が溶け込んだのだ。知事の家にアポなし突撃をして見せたパフォーマンスはムーアならでは。
情報量が多く、一度で全てを理解するのは難しい。しかし、アメリカがナチス化する可能性を示唆するラストには不安が募る。(堀)


2018年/アメリカ/128分
配給:GAGA
(C)2018 Midwestern Films LLC 2018 cPaul Morigi / gettyimages
https://gaga.ne.jp/kashi119/
★2018年11月2日(金)より全国順次ロードショー
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スマホを落としただけなのに

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監督:中田秀夫
原作:志駕晃『スマホを落としただけなのに」(宝島社文庫)
主題歌:ポルカドットスティングレイ「ヒミツ」(UNIVERSAL SIGMA)
出演:北川景子、千葉雄大 、バカリズム、要潤、高橋メアリージュン、酒井健太、筧美和子、原田泰造、成田凌、田中圭

彼氏の富田(田中圭)に電話をかけた麻美(北川景子)は、スマホから聞こえてくる聞き覚えのない男の声に言葉を失った。たまたま落ちていたスマホを拾ったという男から、富田のスマホが無事に戻ってきて安堵した麻美だったが、その日を境に不可解な出来事が起こるようになる。
身に覚えのないクレジットカードの請求や、SNSで繋がっているだけの男からのネットストーキング。落としたスマホから個人情報が流出したのか?
ネットセキュリティ会社に勤める浦野(成田凌)に、スマホの安全対策を設定してもらい安心していた麻美だったが、その晩、何者かにアカウントを乗っ取られ、誰にも見られたくなかった写真がSNSにアップされてしまう。「違う! それ私じゃない! 私、何もやってない!」時を同じくして、人里離れた山の中で次々と若い女性の遺体が見つかり、事件を担当する刑事・加賀谷(千葉雄大)は、犯人が長い黒髪の女性ばかりを狙っていたことに気が付く。
スマホを拾ったのは誰だったのか。連続殺人事件の真犯人はいったい誰なのか。そして明らかになる“奪われた麻美の秘密”とは?
ただ、スマホを落としただけなのに……。

彼がスマホを落としたことで個人情報が漏洩。SNSが乗っ取られ、情報操作により人間関係が壊されるだけでなく、過去の秘密まで握られてしまった主人公の恐怖を描く。
恋人にプロポーズされ、幸せいっぱいの笑顔。同性さえ虜にする、北川景子の美しさを存分に味わうことができる。しかし、それ以上に北川景子らしさが発揮されたのが、犯人をキッと睨みつける顔。犯人がストーカーしたくなった気持ちが理解できてしまいそう。
その犯人を演じた役者もいい人の顔と狂気を解き放った顔を見事に演じ分けた。
便利な生活にはリスクが伴う。2時間かけてたっぷり教えられた。しかし、リスクを描くくだけでなく、正しい対処法を挟み込んでくれればさらにいいのにと思う。(堀)


2018年/日本/カラー/116分
配給:東宝
(C) 2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会 http://sumaho-otoshita.jp/
★2018年11月2日(金)全国東宝系にてロードショー
posted by shiraishi at 11:22| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ビブリア古書堂の事件手帖

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監督:三島有紀子
原作:三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)
脚本:渡部亮平、松井香奈
出演:黒木華、野村周平、成田凌、夏帆

亡くなった祖母が遺した古い夏目漱石全集。青年・五浦大輔(野村周平)は祖母が買ったと思われる古書店にその本を持ち込む。洞察力と推理力の優れた女店主・篠川栞子(黒木華)は祖母の秘めた恋に気がつく。これをきっかけに青年は古書店でアルバイトを始めた。そして女店主が大事にしている太宰治「晩年」初版本を巡り、不審なことが起こり始める。それは青年にも関わりのあることだった。

本人も気がつかない、栞子に対する仄かな思い。ライバルの登場でやっと気がつき、自分なりのやり方で栞子を理解しようとする。恋に不器用な大輔に野村周平本人の誠実さが滲み出るよう。同業者の稲垣は栞子の前で知的に振る舞い、大輔に嫉妬心を抱かせるが、忍び寄るように狂気に蝕まれていく。妖しげな色気で成田凌にははまり役。
一方、大輔の祖母、絹子の若き日の秘めた愛を描く過去パートは原作に描かれていないエピソードが盛り込まれ、絹子を演じた夏帆の清純な愛らしさに切なさが増す。恋の行方をしっかり見届けたい。(堀)


神保町でアルバイトをしていたとき、よく古書店をのぞきました。今は何でもネットで済ませられますが、棚の間を歩き、目についた本を手にとる楽しみはかけがえのないものです。黒木華さん演じる栞子の佇まいがいいです。三島監督の『繕い裁つ人』の市江にも通じるものがありました。絶滅危惧種な女子だと思われますが、あの古書堂に行きたくなります。
本を通したやりとりは秘めやかで、ロマンチック。けれど、帰り道で頭に浮かぶのは「カツ丼食べたい」でした(映画に出てくる)。
本が詰まった棚の重さは相当なもののはず、下敷きになったらてっきり大怪我と思ったのに不死身(笑)。そして本の大敵は水と火だけれど、水に投じられたあの本が気になります。
三上延著の原作はシリーズ7巻の後、「ビブリア古書堂の事件手帖 〜扉子と不思議な客人たち〜」が今年9月に発売されました。これから読むと、黒木華さんと野村周平くんの姿で動き出すはず。(白)


2018年/日本/カラー/121分
配給:20世紀フォックス映画、KADOKAWA
(C) 2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会 https://biblia-movie.jp/
★2018年11月1日(木) 全国ロードショー
posted by shiraishi at 11:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする