2018年11月15日

MAKI マキ   原題:MAKI

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監督・脚本:ナグメ・シルハン
出演:
マキ(エヴァ): サンドバーグ直美
トミー:.ジュリアン
ユミコ:.おおのゆりか
ヴァイオレット: ブランカ・ヴィヴァンコス
ミカ:原田美枝子

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ニューヨークの日本人高級クラブでエヴァという名のホステスとして働くマキ。クラブ内は恋愛禁止だが、マキはボーイのトミーと暮らしていて、お腹には彼の子を宿している。そのことに気づいたクラブ経営者のミカは、子どもを産むまで郊外のヴァイオレットの家で暮らし、生まれた子は養子に出してはどうかとマキをいたわる・・・

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左から、サンドバーグ直美、ナグメ・シルハン監督、ジュリアン

ナグメ・シルハン監督は、イラン生まれで、イラン革命の前年1978年に家族とアメリカに移住。父親はテヘランに戻るが、イラン・イラク戦争の影響で母親と共にアメリカに残る。この別離や移住、新たな場所での葛藤がシルハン監督の映画の主なテーマになっている。
22010年の初長編作品『The Neighbor(Hamsayeh)』が映画祭で話題となり、『MAKI マキ』が長編第二作。ボストン大学放送映画学学士。
長年の師匠であるアミール・ナデリ監督のアドバイスで、ニューヨークの日本人コミュニティを舞台にした物語を紡ぐ。
日本側のプロデューサーは、長年、日本でイラン映画の紹介に尽力してきたショーレ:ゴルパリアンさん。

台詞のほとんどが日本語ですが、冒頭と最後にMarjan Farsadによるペルシア語の歌「Khooneye Ma」(私たちの家)が効果的に使われています。
心地よく素敵な歌は、YouTubeで聴けます。
https://www.youtube.com/watch?v=f0-fPwuPpAk

冒頭の歌には、歌詞の日本語訳がないのですが、映画の最後に流れるときには訳がついています。
この映画のために作った歌ではなく、既存の歌を見つけてきたそうですが、物語にぴったりの歌!
いつまでも心に残る素敵な歌です。(咲)



【初日舞台挨拶&トークショーのお知らせ】
  会場:ユーロスペース

★11月17日(土) 12:30の回上映前 初日舞台挨拶舞台挨拶
登壇者:サンドバーグ直美、ジュリアン、原田美枝子、ナグメ・シルハン監督

★11月18日(日)16:30の回上映後 スペシャルトークショー
登壇者:アミール・ナデリ(映画監督『CUT』『山<モンテ>』)、ナグメ・シルハン監督


2017年/アメリカ・日本合作/89分
配給:ユーロスペース
公式サイト:http://maki-movie.com/
★2018年11月17日(土)ユーロスペースほか全国順次ロードショー




posted by sakiko at 08:53| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月11日

人魚の眠る家

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監督:堤幸彦
原作:東野圭吾
脚本:篠崎絵里子
撮影:相馬大輔
音楽:アレクシス・フレンチ
主題歌:絢香
出演:篠原涼子(播磨薫子)、西島秀俊(播磨和昌)、坂口健太郎(星野祐也)、川栄李奈(川嶋真緒)、山口紗弥加(美晴)、田中泯(播磨多津朗)、松坂慶子(千鶴子)、稲垣来泉(播磨瑞穂)、斎藤汰鷹(播磨生人)、荒川梨杏(若葉)

播磨家の夫婦、薫子と和昌は現在別居中で、一人娘の瑞穂の小学校受験が終わったら離婚の予定だった。ある日、娘の瑞穂がプールで溺れ、意識不明の状態に陥ってしまう。孫の瑞穂と若葉をプールに連れていった祖母の千鶴子は自分を責め、眠り続ける瑞穂を献身的に看病する。医師の見立ては脳死。今後回復の見込みがないことから、臓器提供の意志があるかと尋ねられる。以前と変わらない姿のまま、ただただ眠り続ける娘を前に、薫子と和昌は苦渋の決断をするが。

人気作家・東野圭吾氏。そのデビュー30周年記念の作品。原作を読んだときはその状態を絵として想像することもできませんでしたが、作品を見てみると親の気持ちがわかるような気がしてきます。どんな状態でも生きていてほしいと思うのは親心。この作品のようにとことん世話できるかは、条件が高すぎて無理なのは明白ですが。
ただ、これまで聞いたことのない展開なので、医療が進むとこういうことができるようになるのか?という驚きと、これは人間が立ち入っていい領域なのか?という疑問が湧いてきました。臓器移植を待つ子ども、とその親のエピソードもあり、今も全国で同じ思いの親子が何組いることだろうと想像すると、目の前が閉ざされた気分になります。
(美)さんは始まりのプールの場面を、就学前の子どもが監視の目もすぐに届かないあんなに深いプールに入れるのがおかしい、と突っ込み。プールに入ることもなく、カナヅチのまま大人になってしまった私は「あ、そうか」。深さと監視員にも注目してみます。(白)


2018年/日本/カラー/シネスコ/120分
配給:松竹
(C)2018「人魚の眠る家」 製作委員会
http://ningyo-movie.jp/
★2018年11月16日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 18:30| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鈴木家の嘘

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監督・脚本:野尻克己
撮影:中尾正人
音楽:明星
出演:岸部一徳(鈴木幸男)、原日出子(鈴木悠子)、木竜麻生(鈴木富美)、加瀬亮(鈴木浩一)、吉本菜穂子(日比野さつき)、岸本加世子(鈴木君子)、大森南朋(吉野博)

長くひきこもっていた鈴木家の長男浩一が自ら命を断ってしまった。食事の時間に声をかけた母親の悠子が遺体を発見。ショックで倒れ、意識不明で入院する。葬儀も過ぎた四十九日目にようやく目覚めた悠子は、見守る家族に「浩一はどこ?」と尋ねる。みんなが顔を見合す中、長女の富美はとっさに「お兄ちゃんはアルゼンチンにいる!」と嘘をついてしまう。以後、再びショックを与えないように、家族全員で浩一画生きているかのごとく嘘をつき続けるはめになった。

開始早々の自死場面はショッキングで、自分もこの母親のように記憶を失うかもと思ってしまいました。母親にはあまりに辛いことだったので、自分を守るために「なかったこと」としてしまったのでしょう。残された父親や妹が、自分がしてきたことを思い出しては後悔し、我が身を責めるさまが痛々しいです。何をどうすれば浩一ををとどめることができたのか、残された人はいつまでも自問自答するはずです。
そんな悲痛な幕開けですが、家族みんながあの手この手で、嘘をつくようすはコメディタッチで、いつバレてしまうのかと観客をハラハラさせたり笑わせたりします。家族だけでは隠しきれなくなり、真実は明らかになります。どん底につきおとすのも家族なら、手を差し伸べて一緒に歩んでくれるのも家族でした。
長く助監督をつとめてきた野尻克己監督のオリジナル脚本による監督デビュー作品。2018年第31回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に出品され、同部門の作品賞。木竜麻生が「菊とギロチン」「鈴木家の嘘」の2作品の演技を認められ、ジェムストーン賞を受賞しました。(白)


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(撮影:宮崎暁美@TIFF)

2018年/日本/カラー/シネスコ/133分
配給:松竹ブロードキャスティング、ビターズ・エンド
(C)松竹ブロードキャスティング
http://www.suzukikenouso.com/
★2018年11月16日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 17:59| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

母さんがどんなに僕を嫌いでも

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監督:御法川修
原作:歌川たいじ
脚本:大谷洋介
撮影:板倉陽子
音楽:YOSHIZUMI
主題歌:ゴスペラーズ
出演:太賀(タイジ)、吉田羊(光子)、森崎ウィン(キミツ)、白石隼也(大将)、秋月三佳(カナ)、小山春朋(タイジ(幼少期)、斉藤陽一郎(タイジの父親)、おかやまはじめ(婆ちゃんの弟)、木野花(婆ちゃん)

タイジの母の光子は、いつも美しくておしゃれで人に囲まれて輝いて見えた。けれど家での母はいつも情緒不安定で、何かというとタイジにあたり、タイジの身体には傷や痣が絶えなかった。それでも古くからの従業員の婆ちゃんが気にかけてくれたし、母の作る混ぜご飯は大好物だった。母は父と喧嘩が絶えず、ついには離婚で有利になるようにと、タイジを児童保護施設に入れてしまう。離婚が有利に成立してタイジは母に引き取られ、新しい生活を始めたが暴力は止まない。17歳のある日、身も心も深く傷ついたタイジは一人で生きる決心をして家を出る。
懐かしい婆ちゃんに再会して、これまでの母の呪縛から逃れたタイジは、人一倍努力して一流企業に就職、社会人劇団にも参加した。劇団で出会った毒舌家のキミツ、会社の同僚のカナ、カナの恋人の大将が、タイジを丸ごと受け止めてくれた。彼らに力づけられて、タイジはあきらめずに母と向き合おうとする。

映画化の前から歌川さんのブログのファンで、著書も何冊か読んでいました。映画化されると聞いて、誰がキャスティングされるのかと気にしていました。綺麗で不安定で見放せないお母さんは誰が演じるのか、タイジくんとお母さんの壮絶なやりとりはどうなるのか。完成した作品は期待に違わず、太賀くんと吉田羊さんの渾身の演技に辛くとも目が離せません。肩の力が抜けたのは婆ちゃんや周りの友人たちが現われてからでした。旧知の子どものように、いい人に出逢って良かったねぇと思いました。
誰かの人生を丸ごと背負うことは家族でも難しいことです。でももつれてしまったところを見つけるのにちょっと手伝うこと、黙ってそばにいることはできるんじゃないか、と、この映画は気づかせてくれます。
御法川修監督、原作者の歌川たいじさんにお話を伺えました。お二人とも作品に対する熱い思いを語ってくださっています。書き起こしたばかりの舞台挨拶記事もどうぞごらんください。(白)


☆御法川修(みのりかわおさむ)監督インタビューはこちら
☆歌川たいじさんインタビューはこちら
☆完成披露試写会舞台挨拶はこちら

2018年/日本/カラー/シネスコ/104分
配給:REGENTS
(C)2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会
http://hahaboku-movie.jp/
★2018年11月16日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 02:47| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ポルトの恋人たち 〜時の記憶〜

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監督:舩橋淳
脚本:舩橋淳、村越繁
撮影:古屋幸一
音楽:ヤニック・ドゥズインスキー
出演:柄本佑(宗次/加勢柊次)、アナ・モレイラ(マリアナ/マリナ)、アントニオ・ドゥランエス(ガスパール)、中野裕太(四郎/幸四郎)

18世紀リスボン大震災後のポルトガル。宗次と四郎は復興のためにインドから連れてこられる。やがて、宗次は屋敷で働く女中マリアナと心を通わせるようになるが、理不尽な雇い主にたてついたことで銃殺されてしまう。
21世紀東京オリンピック後の日本。多くの日系人が工場で働いていた。その1人、幸四郎はポルトガルギターの店を出す夢を持っていたが、リストラに遭い、ポルトガル人の妻マリナを残して自殺してしまう。リストラを敢行したのは柊次だった。

18世紀リスボン大震災後のポルトガルと21世紀の日本を舞台に、柄本佑、アナ・モレイラ、中野裕太の3人が時代を超えた愛憎劇を繰り広げる。柄本佑はポルトガルパートではヒロインが愛する男性、日本パートでは復讐相手と相反する立場を2つの時代で切なく演じ分ける。英語、イタリア語、フランス語を話す中野裕太が、本作ではポルトガル語を習得。マルチリンガルぶりを発揮した。
メガホンをとったのは舩橋淳監督。これまでに、オダギリジョーを主演に迎えた日米合作映画『ビッグ・リバー』(2006年)、福島県双葉町の人々に長期密着したドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』(2012、2014年)などを手掛けてきた。日本とポルトガルの合作作品で、日本人監督によるものは初めてである。ポルトガルの世界遺産ギマランイスを始め、ポルト、ブラガ、ペニシェ、そして静岡県浜松市でロケが行われた。
ヒロインは愛する者を奪われた悲しみを復讐によって癒そうとする。その過程で憎しみの対象者の心情に触れ、労わりの気持ちが生じる。この感情も愛情なのか。ヒロインは憎しみと愛情の狭間で揺れ動く。両パートでヒロインを演じたアナ・モレイラが千々に乱れる女心を繊細に表現。観る者の共感を誘う。
復讐は悲しみの連鎖を引き起こす。ポルトガルパートではそれを食い止められなかったが、明るい未来の象徴だった椿の種が日本パートで悲劇を止める。悲しみもいつかは乗り越えられるという希望が伝わってきた(堀)


2018年/日本/カラー/シネスコ/139分
配給:パラダイス・カフェ フィルムズ
(c)2017『ポルトの恋人たち』製作委員会
http://porto-koibitotachi.com/
★2018年11月10日(土)シネマート新宿・心斎橋ほか全国公開
posted by shiraishi at 02:08| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする