2018年10月21日

ウスケボーイズ

usuke.jpg

監督:柿崎ゆうじ
原作:河合香織『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』小学館
脚本:中村 雅
撮影:北 信康(J.S.C.)
照明:渡部 嘉
録音:小林圭一
美術:泉 人士
編集:神谷 朗
音楽:西村真吾
出演:渡辺 大、出合正幸、内野謙太、竹島由夏、金子 昇、寿大 聡、須田邦裕、上野なつひ、升 毅、萩尾みどり、清水章吾、岩本多代、柴 俊夫、田島令子、小田島 渚、大鶴義丹、 柳 憂怜、伊吹 剛、和泉元彌、伊藤つかさ、安達祐実、橋爪

岡村(渡辺大)、城山(出合正幸)、高山(内野謙太)、上村(竹島由夏)、伊藤(寿大聡)は「ワイン友の会」の仲間で、集っては世界中のワインを嗜んで蘊蓄を語り合っていた。
ある夜、日本のぶどうを使ったワインがフランスワインより美味しいはずがないと決めつけていた彼らは、仏vs日本ワインでブラインドのテイスティング会を開催する。予想は外れ、世界に通用する「桔梗ヶ原メルロー」の存在を知った彼らは、この世界レベルのワインを生んだ麻井宇介(橋爪功)に憧れ、ワイン用のぶどう栽培は困難と言われたこの日本の地で麻井の思想を受け継ぎながら常識を覆すワイン造りに没頭していく。しかし、ぶどう畑は大雨・雹・病害などに見舞われ・・・。果たして、日本のワインに革命を起こすことはできるのか? 実話をもとに描かれたウスケボーイズの物語。

世界に通用する日本ワインに出会った若者達が、そのワインを作った麻井宇介の思想を受け継ぎ、ワイン造りに打ち込んでいく。妥協を許さない者、家族の支えを受けるがゆえに責任が重くのしかかる者、道半ばで袂を分かつ者。ウスケボーイズと呼ばれる彼らには、それぞれの苦労が待っていた。しかし、ワインができ上がったときの喜びやおいしさは格別。また、ウスケボーイズを支える家族の存在も大きい。親が子を思う気持ちに思わず泣ける。
本作は「マドリード国際映画祭2018」にて最優秀作品賞、最優秀主演男優賞を受賞。
「アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭2018」にて、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞を受賞し、見事4冠を獲得。同作品で国際映画祭の主演男優賞2冠は、“初”として、注目を集める。
「ミラン国際フィルムメーカー映画祭2018」にて外国語映画部門最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀編集賞の5部門がノミネートされている。(堀)


2018年/102分/シネスコ/5.1ch
配給:カートエンターテイメント
(C) 河合香織・小学館(C)2018 Kart Entertainment Co., Ltd. http://usukeboys.jp/
★2018年10月20日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 02:16| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月20日

嘘はフィクサーのはじまり  原題: Norman: The Moderate Rise and Tragic Fall of a New York Fixer

usowa fixer.jpg

監督:ヨセフ・シダー
音楽:三宅純
出演:リチャード・ギア、リオル・アシュケナージ(『運命は踊る』)、Cマイケル・シーン、スティーヴ・ブシェミ、シャルロット・ゲンズブール、ダン・スティーヴンス

ニューヨークで暮らす初老のユダヤ人ノーマン・オッペンハイマー(リチャード・ギア) は、自称フィクサー。世界金融の一端を牛耳るユダヤ人上流社会に食い込もうと、小さな嘘を積み重ねて人脈を広げてきた。ある日、ニューヨーク訪問中のイスラエルの若きカリスマ政治家エシェル(リオル・アシュケナージ)に偶然を装って近づく。高級な革靴をプレゼントし、まんまと私用の電話番号を聞きだす。が、滞在中に再度会うことは叶わなかった。側近が怪しげなノーマンに会わないよう仕向けていたのだ。
3 年後、エシェルはイスラエル首相となり米国にやってくる。ノーマンは弁護士の甥フィリップ(マイケル・シーン)と共にワシントンD C で開催された支援者パーティに参加する。エシェルはノーマンを見るなり抱きしめ、「ニューヨークのユダヤ人名誉大使」と皆に紹介する。会場にいた人々からの羨望の眼差しに、ノーマンは鼻高々。パーティの帰り道、ノーマンはイスラエル法務省の女検察官アレックス(シャルロット・ゲンズブール)と知り合う。イスラエル首相のお墨付きを武器に得意げなノーマンに、彼女が疑惑を持ったとは気づくはずもなかった。やがて、ノーマンの行動は国際的な騒動を巻き起こす・・・

リチャード・ギアがダンディさを封印。ハンティング帽を深く被り、ちょっと猫背で歩き、しょっちゅうブツブツ言ってる、なんとも胡散臭いおっさん! それだけで、もう、どんな映画なのかワクワクしてしまいます。
ヨセフ・シダー監督は、1968 年ニューヨーク生まれ。6 歳でイスラエルに移住。大学在学中に脚本を書いたデビュー作「TIME OF FAVOR」(00)がイスラエル・アカデミー賞で作品賞と脚本賞を含む6冠に輝き、アカデミー賞外国語部門のイスラエル代表に選ばれています。
『CAMPFIRE』(04)『ボーフォート-レバノンからの撤退-』(07)『フットノート』(11)に次ぐ、5作目となる本作はシダー監督初の英語作品。タイトルもエンドロールも、英語とヘブライ語が仲良く並んでいます。
この物語の原点は、歴史の中で差別・迫害されてきたユダヤ人が、少ない職業選択肢の中から、貴族に資金運用や資金貸付を行う銀行家、金融業者、貿易商などとして生きた「宮廷ユダヤ人」の姿だと監督は語っています。現代版宮廷ユダヤ人としてたどり着いたのが、フィクサーという役どころ。「どうして、ユダヤ人は嫌われるのか?」も検証しての脚本づくりだったそうです。
遠く故国を離れていても、結婚式ではグラスを足で割り、ユダヤの音楽で踊り、エルサレムに思いを馳せる人たち。ニューヨークで金融業界を裏で牛耳るユダヤ社会も垣間見せてくれて興味津々。(咲)


「 嘘も方便」を超える嘘で人脈を広げ、イスラエルのカリスマ政治家と知り合い、彼の名前を利用して暗躍する。こう書くとかなりあくどい人物をイメージするだろう。しかし、リチャード・ギアが歩き方から耳の立ち方(?)まで、1年以上かけて役作りした主人公は多少の胡散臭さはあるものの、人は良さそう。なんだか憎めない。嘘はつくが悪気はないように思えてしまう。そんな主人公がユダヤ人同胞のために忖度したラストは衝撃的。人生の悲哀を感じさせる。(堀)


2016年/イスラエル・アメリカ/英語・ヘブライ語/118分/ビスタ/5.1chデジタル
後援:イスラエル大使館
配給: ハーク   配給協力:ショウゲート
公式サイト:http://www.hark3.com/fixer/
★2018年10月27日(土)シネスイッチ銀座、YEBISU GARDE CINEMAほか全国順次公開!






posted by sakiko at 21:55| Comment(0) | イスラエル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

億男

okuotoko.jpg

監督:大友啓史
原作:川村元気「億男」(文春文庫刊)
脚本:渡部辰城 大友啓史
音楽:佐藤直紀
主題歌:BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」(TOY’S FACTORY)
出演:佐藤健、高橋一生、黒木華、池田エライザ / 沢尻エリカ、北村一輝、藤原竜也

図書館司書の一男(佐藤健)は、兄の3,000万円の借金を背負い、夜もパン工場で働きながら借金を返済している。妻・万左子(黒木華)は借金の返済に苦心し窮屈に生きることしか選んでいない一男に愛想を尽かし、離婚届を残して娘を連れて家を出てしまう。
ある日、一男は突然宝くじで3億円が当たる。喜んだのもつかの間、宝くじの高額当選者たちはみな悲惨な人生を送っているという記事をネットで見る。怖くなった一男は、大学時代の親友で、起業して億万長者となった九十九(高橋一生)にアドバイスを求めることにする。久しぶりの再会と九十九プロデュースの豪遊に浮かれて酔いつぶれた一男が翌朝目を覚ますと、3億円と共に九十九は姿を消していた−−

冨を得る。借金を背負う。どちらであってもお金に振り回されると人は自分を見失う。本当に大切なものは何か。
本作の主人公一男は3000万円の借金を返すために、すべてを借金返済に充てようとした。もちろん、返済することは大事。しかし、使うべきお金もある。それが分からず、家庭が崩壊した。それなのに、借金さえ返し終われば、家族は元に戻ると思っている。
そんな一男が宝くじに当選したことで運命が動く。お金を預けた親友の九十九は一男を騙したのか。一男と九十九が学生時代に入っていた落研で、九十九が得意としていた落語「芝浜」が九十九の行動のヒントとなる。
お金には代えられない何かを大切に思えることが幸せなのかもしれない。(堀)


2018年/日本/カラー/116分
配給:東宝
(C)2018映画「億男」製作委員会
http://okuotoko-movie.jp/
★2018年10月19日(金)より全国東宝系にてロードショー
posted by shiraishi at 02:50| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

デス・ウィッシュ(原題:Death Wish)

deth.jpg

監督:イーライ・ロス
脚本:ジョー・カーナハン
出演:ブルース・ウィリス、ビンセント・ドノフリオ、エリザベス・シュー、カミラ・モローネ、ボー・ナップほか

犯罪が多発し、警察の手に負えない無法地帯と化した街、シカゴ。救急救命の患者を診る外科医ポール・カージー(ブルース・ウィリス)は、毎日犯罪に巻き込まれた患者の生死に立ち会っていた。裕福で幸せな家庭だけが彼の平穏の地だった。しかし、ポールが留守のうちに家族は何者かに襲われ、妻は死に、娘は昏睡状態になってしまう。ポールの願いも空しく警察の捜査は一向に進展をみせなかった。怒りの頂点に達したポールは、犯人を抹殺するべく自ら銃を手に取り、危険な街へと繰り出し始める―。

ブライアン・ガーフィールドの「狼よさらば」を原作に、1974年にチャールズ・ブロンソンが主演を務めた伝説の同名映画のリメイク版。主人公ポール・カージーの職業は原作では会計士だが、『狼よさらば』ではチャールズ・ブロンソンが演じることで建築士になり、本作ではシカゴで救急患者を診る外科医とされた。ポールを演じるブルース・ウィリスは外科医より、殺し屋の方がしっくりくると思っていたが、意外に白衣(手術着は青緑だが)も似合っていた。また、これまで他の作品でさんざん銃を扱ってきたブルース・ウィリスが初めて拳銃を手にしたときに見せた動揺は何とも愛いらしい。ネットで銃の扱いを調べて、構造を確認したり、悪人を断罪する様子がネットで話題になり、神扱いされるあたりは、現代ならではだろう。
妻を殺し、娘を昏睡状態に陥らせた憎き犯人に罰を下すため、夜な夜な街に繰り出す。犯人の手がかりを知る人物から情報を聞き出すため、医学知識を使って死なないギリギリのラインで苦しみを与える。この演出は『ノック・ノック』でキアヌ・リーブスをいたぶりまくったイーライ・ロスらしい。
物語の着地点は見事。これで処刑人から足を洗って、外科医に専念できるだろうが、ファンとしてはぜひ続編が見たい。(堀)


2018年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/107分
配給:ショウゲート
(C) 2018 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved. http://deathwish.jp/
★2018年10月19日(金)全国公開
posted by shiraishi at 02:48| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月19日

世界で一番ゴッホを描いた男 原題 中國梵高 China's Van Goghs

10月20日(土)より、新宿シネマカリテ/伏見ミリオン座他、全国順次ロードショー

本チラシ表『世界で一番ゴッホを描いた男』.jpg
c Century Image Media (China)

監督:ユイ・ハイボー、キキ・ティンチー・ユイ
製作キキ・ティンチー・ユイ
製作総指揮ユイ・ハイボー
撮影ユイ・ハイボー
キャスト
趙小勇(チャオ・シャオヨン)

芸術に人生を捧げた孤高の画家ゴッホ。
そしてゴッホに魅せられ、ゴッホに人生を捧げる男

フィンセント・ファン・ゴッホ。後期印象派を代表する画家ではあるが、生前は不遇な人生を送り、自分の命を削りながら芸術に人生を捧げて芸術の高みを目指した。そんなゴッホに魅せられた男、趙小勇(チャオ・シャオヨン)。
複製画制作で有名な、中国南部、深圳市大芬(ダーフェン)。ここは世界の有名画家の複製画制作が産業として根付いていて、世界最大の「油画村」として知られ、世界市場の6割ものレプリカがこの地で制作されていると言われている。
出稼ぎでこの街にやって来た趙小勇は、独学で油絵を学び、20年もの間ゴッホの複製画を描き続けてきた。独立し、自らの工房を持ち、弟子もいる生活になったが、絵を描くのも、食事も寝るのも全て工房の中。そんな生活の中、ゴッホの複製画なら趙小勇と言われるまでになった。
オランダの画商の信頼も得て、交流を続けるうち、いつしか「本物のゴッホの絵を見たい」と思うようになったが、毎日の締め切りに追われる生活の中、その願いはなかなかかなわない。
しかし、本物の絵を見ればゴッホの絵に対する想いがわかるのではないか、自分のこれからの人生や仕事に役立ち、きっと何かを得られるという思いが勝り、長年の夢だった「本物のゴッホの絵」を見る旅を実行し、ゴッホ美術館があるアムステルダムを訪れた。そして得られたものは。
本物のゴッホの絵を見て衝撃を受けた趙小勇は、「自分は職人か芸術家か」と悩み、何をすべきか自分を見つめ直すようになる。考えた末、長年離れていた故郷の姿を描き始めた。長年培った絵の技から生まれた作品は見事なものだった。ゴッホの複製画に人生を捧げる男と、自身の想いの目覚めを追った感動のドキュメンタリー。

「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017」で、『中国のゴッホ』のタイトルで上映され、監督賞を受賞した作品。映画祭の上映作品の中でも、一際強く印象に残った作品でした。
まずは、1万人もの人が有名画家の複製画の制作に携わっている油画村があるということにびっくり。さすが、中国! 
オランダの画商に招かれてオランダに行ったジャオ・シャオヨン一行が、自分たちの描いた絵がお土産屋にぶらさがっていることに唖然とする場面には、思わず彼らのこれからが心配になってしまいました。監督は、ジャオ・シャオヨンが本物のゴッホの絵に接して、自身の絵心に静かに目覚めるところを捉えていて素晴らしいです。
映画祭での上映後、有名な写真家でもあるハイボー・ユウ監督が登壇。
写真を撮りに大芬に通う内に親交を深めたジャオに私生活部分も撮らせてほしいと依頼。寝室にもカメラをセットして、自分たちは現場から去り、後日、編集したものを見せて、使用していいか承諾をもらった上で映画に使用したそうです。
オランダで本物のゴッホを見て、オリジナル作品を作るようになるとは、監督も想像してなかったそうです。
会場からの「ジャオは今どうしているのでしょう?」との質問には、「ジャオはこの映画で知名度があがって、オリジナル作品も売れるようになって生活が向上しました。もっと自分の作品を描く様になるのでは」と監督。
なお、共同監督のキキ・ティエンチー・ユウは娘さん。制作会社を持ち、上海の学校で教鞭も取っている方。
映画祭の折に撮った監督の写真を、残念ながら保存しそこねてしまいました。知的で温和な監督の姿をここに載せられなくて残念! (咲)

去年「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017」で見損ない、(咲)さんから「良かったよ」と聞き、もう見る機会ないかなと残念に思っていたら、今年の「あいち国際女性映画祭」で上映されると聞き、行ってきた。そこで日本公開されることを知った。こういう生活があるということを、ぜひ、いろいろな人に見てもらいたい、知ってもらいたい。
趙小勇の最後の決断。そして彼の絵の素晴らしさ。模倣の20年はだてではなかった。でも、何が芸術で、何が職人なのか。こんなに技術があってもぎりぎりの生活。都市に暮らしてはいるけど戸籍は田舎のまま(都市戸籍を得られない)。そして娘も、そのために田舎の高校にしか通えない。でも都市で生まれ育った娘は、田舎の先生が言っている言葉が聞き取れず、この学校に通いたくないと言い出す。しかし、そんな娘に学校は卒業しておけと諭す。その理由が後でわかる。娘を学校に通わせることができたけど、自分は子供の頃は貧乏で、中学校も卒業できなかったと吐露。そして、出稼ぎでこの大芬にやってきたと語る。これらのシーンに中国の戸籍のことや、田舎と都市部の差などが浮かび上がる。
彼の確かな腕。今後の「芸術家」としての生活が、より良くなっていけばいいなと思った。もちろん彼だけでなく、この油画村の職人さんたち全体の生活向上も。もしかしたら、この作品はそれに大きく貢献したのではないかと思った(暁)。


【サブD】補正.jpg
c Century Image Media (China)

中国・オランダ合作 2016年
公式サイト: http://chinas-van-goghs-movie.jp/
配給 アーク・フィルムズ/スターキャット 



posted by akemi at 08:34| Comment(0) | 中国・オランダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする