監督:波多野貴文
脚本:吉田恵里香
原作:小森陽一「オズの世界」(集英社文庫刊)
出演:波瑠、西島秀俊、岡山天音、深水元基、戸田昌宏、朝倉えりか、久保酎吉、コング桑田、中村倫也、濱田マリ/橋本愛/柄本明
22歳の波平久瑠美(波瑠)は、彼のトシ君(中村倫也)と同じ超一流ホテルチェーンに就職。大学を卒業して、晴れて同じ職場で働けると楽しみにしていたのに、配属されたのは地方にある系列遊園地グリーンランド。ふてくされながら任地に赴き初出勤すると、いきなり園内の緊急事態。同期入社の吉村(岡山天音)と共に、爆発物の入った紙袋を遠くに持ち出すよう命じられる。これは実は新入社員への通過儀礼。ヒーローショーの舞台に誘導された二人は拍手喝采をあびる。「あり得ない」と、トシ君に電話して愚痴をこぼすと、優秀社員MVPになれば本社に戻れると励まされる。
MVP目指して張り切る久瑠美なのに、上司の小塚慶彦(西島秀俊)からは新入りの吉村と共に園内のゴミ拾いを命じられ、不本意だ。だが、ようやくゴミ拾いが園内のことを把握するためという小塚の意図だったと悟り、小塚が皆から“魔法使い”と呼ばれ慕われていることも納得する。仕事にやりがいを感じて楽しくなってきた久瑠美は、小塚に憧れとも淡い恋心ともいえない気持ちを持ち始める。夏休みの最大イベント、一万発の花火大会を前に、久瑠美は小塚の秘密を知ってしまい、なんとしてでも花火大会を成功させなければと誓う。
ちょっとダサいおじさん風の西島秀俊さんですが、ご自身の演出だとか。家族の思い出づくりにかかせない遊園地。それを下支えする人たちの思いがじわ〜っと伝わってくる物語です。
高級ホテルに就職したはずなのに、遊園地に配属され、そのギャップに戸惑う新入社員の久瑠美。これまた、多くの人が経験していることでしょう。与えられた場で、自分の生き甲斐を見つけていく姿が素敵です。
原作は、小森陽一の人気小説「オズの世界」。熊本県に実在する遊園地「グリーンランド」がモデルで、小説での遊園地名は「東洋スーパーワンダーランド」。映画は、実際に「グリーンランド」で撮影が行われ、遊園地の名前も制服もそのまま使われています。
子どもの頃、四季折々に両親に連れていってもらった宝塚ファミリーランドのことを思い出したひと時でした。(咲)思いもよらない人事に不満いっぱいの新人社員が仕事を通じて成長する姿を描く。主人公の波平久瑠美を演じるのは波瑠。原作者の小森陽一が最初から波瑠をイメージして書き、その思いが名前にも表れている。その波平の上司、小塚に西島秀俊。『MOZU』シリーズなどのクールな役から一変して、三枚目をコミカルに演じる。こんな西島秀俊、見たことがない! また同僚・玉地役の橋本愛もいつものイメージと比べてテンション高め。熊本県出身の橋本愛の地元愛の現れだろうか。元気のお裾分けがもらえた気分になる。
ゴミ集めなどの新人仕事を適当に済ませて、企画の立案に勤しむ波平。もう一人の新人、吉村は愚直に取り組む。2カ月後にその差が如実に表れる。どんな仕事にも意味があり、そこから学ぶことがある。これに気づけるかどうかが、人としての分かれ道なのかもしれない。波平にとって不本意だった人事も、人生を考えたときには大きなチャンスだったのだ。
「こんなことして意味あるの?」と愚痴りたくなるときこそ、大きく羽ばたくチャンスなのだと作品は教えてくれた。(堀)2018年/日本/105分
配給:HIGH BROW CINEMA、ファントム・フィルム
(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会
公式サイト:
http://ozland.jp/★2018年10月26日(金)より TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー
posted by sakiko at 09:24|
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