2018年09月23日

食べる女

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監督:生野慈朗
原作:筒井ともみ
脚本:筒井ともみ
撮影:柳島克己
音楽:富貴晴美
主題歌:「Kissing」Leola
出演:小泉今日子(敦子)、沢尻エリカ(圭子)、前田敦子(多実子)、広瀬アリス(あかり)、山田優(珠美)、壇蜜(ツヤコ)、シャーロット・ケイト・フォックス(マチルダ)、鈴木京香(美冬)

トン子こと敦子は古書店をのんびり商いながら雑文を書いて暮らしている。猫のシラタマと気楽な独り暮らし。近所でごはん屋を営んでいる美冬は幼馴染、こちらもお一人様で若い男の子をときどきつまみ食いするのが美の素になっているようだ。トン子の家には常連客のほか、井戸見学の小学生がやってくる。夜には原稿催促の編集者の圭子、制作会社のアシスタントで疲れている多実子が訪れ、トン子と美冬の手料理に舌鼓をうつ。お酒が入ればますます本音の女子トークで盛り上がる。辛い恋愛より美味しい生活、愛しいセックス(は一人じゃできない)、いつもうまくいくわけではないけど、美味しいご飯が食べられたら、今日もいい一日になる。

様々な事情を抱えた女性たちが登場します。主演クラスの女優さんがたくさん、それぞれの問題もいつしか少しずつ良い方向に。美味しいものは心と身体に力をくれるようです。一工夫したお料理はどれもおいしそうで、腹ペコ状態で見るのは危険です。静かな劇場でお腹が鳴るかもしれません。仕事バリバリだけど何か不足の圭子、燃えたい多実子、料理ベタで夫に捨てられたマチルダ、お手軽恋愛・ひき肉料理から抜け出せないあかり、出て行った夫に未練たち切れないツヤコ、ママが心配な小学生。などなど、誰かに共感して観て帰ったら、とりあえず卵かけご飯が食べたくなります。生卵はよその国では食べないようですね。卵にしろ、お刺身にしろ新鮮で安全な食材が手に入るって幸せなこと。一人でも二人でも美味しいご飯をありがたくいただいて、心も身体も元気にしましょう。(白)

食べることが何よりも好きな物書きと小料理屋の女将。2人を慕って集う独身女性。時々集って催される宴は女性の本音トーク。美味しい料理があれば会話も弾む。さまざまな年齢、立場の女性が登場し、幸せの形は人それぞれだと伝える。
年齢を重ねた小泉今日子の小じわが懐の大きさを感じさせる。そんな彼女に「やっちゃおうという小さな勇気があれば大抵のことは何とかなる」と言われると、がんばる元気がもらえちゃう。
条件バッチリの男性からプロポーズされた29歳。「ぬるま湯に浸かっているような状況が不満」という。「若いから言える言葉。後から後悔するわよ〜」とおばさんは思うけど。まっそれもいい経験か。とにかく美味しい料理が次々と出てきて、美味しそうに食べる。くれぐれも空腹で見ないように!(堀)


2018年/日本/カラー/シネスコ/111分
配給:東映
(C)2018「食べる女」倶楽部
http://www.taberuonna.jp/
★2018年9月21日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 15:15| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コーヒーが冷めないうちに

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監督:塚原あゆ子
原作:川口俊和
脚本:奥寺佐渡子
撮影:笠松則通
主題歌:YUKI
出演:有村架純、健太郎、波瑠、林遣都、深水元基、松本若菜、薬師丸ひろ子、吉田羊、松重豊、石田ゆり子

時田数(有村架純)が叔父で店主の時田流(深水元基)と切り盛りする喫茶店「フニクリフニクラ」には、不思議な都市伝説があった。それは店内の【ある席】に座ると、望んだとおりの時間に戻ることができるというもの。今日も不思議な噂を聞いた客がこの喫茶店に訪れる。
アメリカに行ってしまった幼馴染の賀田多五郎(林遣都)とケンカ別れをしてしまった三十路直前の独身キャリアウーマン清川二美子(波瑠)。
若年性アルツハイマーに侵された妻・高竹佳代(薬師丸ひろ子)と、そんな高竹を優しく見守る夫・房木康徳(松重豊)。
故郷の妹(松本若菜)を裏切って、一人スナックを営む平井八絵子(吉田羊)。
数に次第に惹かれていく大学生・新谷亮介(伊藤健太郎)。
過去に戻れるという【ある席】にいつも座っている謎の女(石田ゆり子)。
タイムリープにはルールがあり、どんなことをしても現実は決して変わらない。それでも客たちは過去に戻り、会いたかった人との再会を望む。そこには思いもかけない事実が待っていた。

原作は舞台の脚本家や演出家として活躍する川口俊和の小説デビュー作「コーヒーが冷めないうちに」である。2015年の発売以降、口コミで広がり、17年には本屋大賞にもノミネート。私の地元の図書館では、映画が公開された2018年9月21日の段階で250人を超える人が順番を待っているほどの人気ぶり。シリーズ続編「この嘘がばれないうちに」とともについに映画化された。

この喫茶店のタイムリープには5つのルールがある。
1. 過去に戻って、どんなことをしても、現実は変わらない。
2. 過去に戻っても、喫茶店を出ることはできない。
3. 過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
4. 過去に戻れる席には先客がいる。席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。
5. 過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない人には会うことができない。

「もしも、あの時に戻ることができたら……」。誰もが一度は経験があるだろう。それは過去に戻って現実を変えたいから。しかし、この喫茶店のタイムリープではそれが叶わない。それでも可能性を信じ、トライした人たちは過去に戻って相手の気持ちを聞き、自分の思いを伝える。
過去は変えられないが、自分の意思で未来は変わる。悲しい事実は受け止めつつ、新しく歩み出せばいいのだ。
私の年齢になると、どの話にも共感できるが、アルツハイマーになった妻への愛を語る夫に涙が止まらなかった。自分が将来、アルツハイマー病になったなら、夫から同じようにされたいと思う。それにしても妻役の薬師丸ひろ子の可愛らしさは歳を重ねても変わらない。こんな風になりたいものだ(堀)


2018年/日本/カラー/シネスコ/116分
配給:東宝
(C)2018「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会
http://coffee-movie.jp/
★2018年9月日21日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 10:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スカイスクレイパー(原題:Skyscraper)

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監督・脚本:ローソン・マーシャル・サーバー。
撮影:ロバート・エルスウィット
音楽:スティーヴ・ジャブロンスキー 
出演:ドウェイン・ジョンソン(ウィル・ソーヤー)、ネーブ・キャンベル(サラ・ソーヤー)、チン・ハン(ジャオ)

高層ビルが立ち並ぶ香港に、世界最大240階の超高層ビル「ザ・パール」が完成した。オフィス、ホテルだけではなく、住居、公園、ショッピングモール、娯楽施設などあらゆるものが揃った一つの街となっている。
元FBIだったウィル・ソーヤーは、ある事件で負傷し義足となった。現在はパール・ビルのセキュリティシステム調査のため、妻と2人の子どもとザ・パールに住んでいる。オーナーは大富豪のジャオ、最上階に豪華なオフィスと住居がある。セキュリティは万全・超安全な街だったはずのザ・パールで事件が起き、火災が発生した。ウィルは家族の元へと走るが、何者かに追われ、警察からは事件の容疑者とされてしまう。

チラシ画像を見ただけで、高所恐怖症の人は震えますね。建物自体は美しいですが、これはミッション・インポッシブル×タワーリング・インフェルノお父さん版。頼れる仲間はなく孤軍奮闘します。ドウェイン・ジョンソン無敵、とみな思うせいか、今回は片脚が義足とのハンデあり。これもちゃんと生かされます。
香港は、エンピツのような細長いビルがひしめき合い、美しい夜景で有名ですが、ここまで高い建物はありません。地震はないものの、台風が頻繁に訪れてしかもものすごく強力です。1999年8月香港に旅したとき、台風10号の強風にあおられ飛行機が仰向けに。3人が亡くなり、重軽傷者が出ましたが出火はせず。空港が閉鎖されて帰国が延期になったことがありました。
先日の台風22号もシグナル10で、建築中のビルのクレーンや外壁、窓ガラスが吹き飛ぶ映像がありましたね。高さ1000mの超高層ビルは、実際建築可能なんでしょうか?無理な気がしますが。ともあれ、ドウェイン様の大ジャンプと妻子救出が成功するのか?手に汗握ってご注目を。(白)


超高層ビルで火災発生。取り残された妻子を炎と悪の手から救い出す。不可能を可能にするのはイーサン・ハントだけじゃない! ロック様らしい作品だ。家族もそれに応えて大奮闘。最後まで諦めない。妻の機転が夫を救う。
何度も「愛している」と言葉で確認し合う父子に、一目瞭然の強い愛でも言葉にすることが大事と伝わってくる。気持ちを察して生きてきた日本人にはちょっと難しいかな。(堀)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/102分
配給:東宝東和
(C)Universal Pictures
http://skyscraper-movie.jp/
★2018年9月21日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 00:55| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月18日

飢えたライオン

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監督:緒方貴臣
脚本:緒方貴臣、池田芙樹
撮影:根岸憲一
音楽:田中マコト
出演:松林うらら(杉本瞳)、水石亜飛夢(藤川ヒロキ)、筒井真理子(杉本裕子)、菅井知美(木下美咲)、日高七海(尾田七海)

女子高生の瞳は、優しい彼氏や友だちグループとの学校生活を楽しんでいる。ある朝のホームルーム中、クラス担任が警察に連行された。未成年との淫行動画が出回ったと、またたくまに噂がひろまる。しかもその相手が瞳だというのだ。身に覚えのない瞳は、すぐに立ち消えになるだろうとほっておいたが、彼氏や妹からも疑われて愕然とする。ネットの噂はどこまでも拡がり、瞳は追い詰められて死を選んでしまう。
瞳が死んだことでネットでは瞳の虚像が形成され、報道はさらにエスカレートした。

緒方貴臣監督の作品では、若いシングルマザーのネグレクトを描いた『子宮に沈める』(2013)の衝撃を思い出します。あれから時間が経ちましたが、子どもを取り巻く環境は少しもよくなっていないのか、悲しいニュースが後を絶ちません。
これだけの情報社会なのに(だから?)、自分の好きなこと意外は無関心。強いものには抗えず(抗わず?)、たまったストレスを反撃しない弱いものにぶつける無慈悲。限りなく拡がっていくデマや言葉の暴力を新作は描いています。
子どものころは、テレビや新聞の報道を疑ったりしませんでした。友だちや学校の中での噂が、外にあっというまに流れていくこともなかったと思います。そんなネットワークがないかわり、思いやる想像力はありました。時間もゆっくりだったからでしょうか。
流れてくる報道やネットの噂を鵜呑みにしてはいけない、と最近は考えます。その量に溺れそうになります。便利だと取り入れたものが、逆に生活や人間を壊していくことがあります。怖くなるほどあります。
瞳にしても、一人でも丸ごと信じてくれる人がいたら、生きる支えになったでしょうに。映画を観て自分が誰かに重なったら、ちょっとだけ変える勇気を出してみませんか。(白)


2017年/日本/カラー/78分
配給:キャットパワー
(C)2017 The Hungry Lion.All Rights Reserved.
http://hungrylion.paranoidkitchen.com/
★2018年9月15日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 15:41| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ダウンレンジ(原題:Downrange) 

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監督:北村龍平
脚本:ジョーイ・オブライアン
撮影:マティアス・シューバート
音楽:アルド・シュラク
出演:ケリー・コンネア(ジョディ)、ステファニー・ピアソン(カレン)、ロッド・ヘルナンデス=ファレラ(トッド)、アンソニー・カーリュー(エリック)、アレクサ・イェイムズ(サラ)

1台の車が荒野を走っている。突然タイヤがパンクして、何もないところで立ち往生してしまった。乗っていたのは6人の男女。結婚して引越し途中の若い夫婦と相乗りした大学生たちだ。携帯も繋がらず、一人が慣れない手つきでタイヤ交換をする羽目になった。タイヤを外したときにコトリと落ちたのは銃弾。パンクではなく、撃たれたのだった。車の陰で休んでいたものはタイヤがころがっていくのを見る。反対側に回ると夥しい血が流れ、仲間が倒れていた。なんの理由か、誰かが、どこからか自分たちを狙っていると気づく。

いや、怖かった。北村流容赦のない映画なので、こころして観に行ってください。同じころに試写で観た映画の悪霊や呪いよりも、真に恐ろしいのは人間の悪意でした。理不尽に狙われる無防備な大学生たちが、もし自分だったら?
『ザ・ウォール』(2017)は凄腕スナイパーに狙われ、壁に隠れつつ戦う兵士の話でした。しかし、それは戦闘中の兵士の話。こちらはただの大学生。武器もスキルも持ちません。ただ一人軍人の娘が、サバイバル術をいくらか心得ていますが、焼け石に水。じわじわと襲ってくる恐怖で絶望のどん底に突き落とされます。猛暑の季節にぞっとするにはぴったり。涼しくなってしまいましたがどうぞ。ゲームじゃないのでリセット不可。あなたならどう戦いますか。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/90分R15+
配給:ジェンコ、エレファント・ハウス
(C)Genco. All Rights Reserved.http://downrangethemovie.com/
★2018年9月15日(土)新宿武蔵野館2週間限定レイトショー、9月22日(土)大阪第七藝術劇場にて
posted by shiraishi at 15:01| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする