2018年08月12日

大人のためのグリム童話 手をなくした少女(原題:La jeune fille sans mains)

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監督・脚本・作画:セバスチャン・ロデンバック
出演:アナイス・ドゥムースティエ(少女)、ジェレミー・エルカイム(王子)

水車の回る貧しい家。父親が金貨と水車の後ろにあるものを引き換えると契約する。リンゴの木があるだけだった水車の裏には、一人娘が立っていた。父親を騙したのは悪魔で、契約を取り消すことができず、娘の両手は自分の命を惜しんだ父親に切り落とされてしまった。娘は1人で生きていこうと家を出るが、悪魔は執拗に追いかけていく。娘は精霊に導かれ、川の水を飲み、森の中で木の実を食べて命をつなぐ。そこに通りかかった王子が清らかな娘を不憫に思い、城に連れ帰った。娘のために金の手を作らせて大切にするが、戦争に出ることになった。悪魔はまたも娘の邪魔をする。娘は王子の子どもを産み、城を出て無人となった家で赤ん坊と2人で暮らしていく。戦から戻った王子は、娘を探して国中を訪ねまわる。
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元のお話はグリム童話に収録されている民話「手なしむすめ」。世界各地に似たような話が伝えられていて、日本の話で娘が両手をなくすのは、悪魔ではなく継母のせいとなっています。宗教の違いでしょうが、鬼ではないんですね。
セバスチャン・ローデンバック監督は、たった一人でこの作品を描き上げました。背景も人物もシンプルで、水墨画をみるようです。高畑勲監督の『かぐや姫の物語』の作画もシンプルですが、かけた時間と予算が段違い。ローデンバック監督は予算も少なく早く描くために工夫して、これまでにないアニメーションを作り出しています。
いろいろなものをなくしながらも、生き抜く力を身につけていく娘の物語は、2017年フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で、審査員賞と最優秀作品賞をダブル受賞しました。(白)


2016年/フランス/カラー/シネスコ/80分
配給:ニューディアー
(c)Les Films Sauvages - 2016
http://newdeer.net/girl/
★2018年8月18日(土)東京・ユーロスペースほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 19:33| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

タリーと私の秘密の時間(原題:Tully)

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監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ディアブロ・コディ
撮影:エリック・スティールバーグ
音楽:ロブ・シモンセン
出演:シャーリーズ・セロン(マーロ)、マッケンジー・デイヴィス(タリー)、マーク・デュプラス(クレイグ)、ロン・リヴィングストン(ドリュー)、アッシャー・マイルズ・フォーリカ(ジョナ)、リア・フランクランド(サラ)

仕事と子育てを両立してきたマーロに3人目の子供が生まれた。夫はあてにできず、完璧にしたい家事も子育ても負担になって、すっかり疲れてしまった。マーロの兄はそんな妹を心配して、ベビーシッターをプレゼントしてくれた。半信半疑で迎え入れたシッターはまだ若いイマドキ女性のタリー。夜だけやってきて子どもの面倒を見、散らかっていた部屋も片付けて夜明け前に帰る。タリーは自分のことを少しも語らなかったが、その仕事ぶりと屈託のない人柄に、マーロは心を開いていく。やっと子どもたちと向き合う余裕もできてきた。

これを観て「マーロは私だ」と思う人がきっとたくさんいるでしょう。あ、子育て中のママは劇場に来ることは難しいですね。映画を観た後は、マーロのように疲れ果てている家族や友人や同僚に思いをはせてください。マーロは将来の貴女かもしれません。
子育てに1人奮闘するママの孤独、というのが主軸。もうひとつ、障害のある子どもの周りのエピソードもあります。対応が学校によって違いました。その子にぴったりの学校と先生に会えるのは僥倖です。
冒頭にマーロが息子の身体をブラシでやさしくマッサージする場面が疑問でした。子どもにはママの手で“手当て”するのが一番いいです。それと同じに妻の身体も夫がゲーム機から手を離してマッサージしてほしいものです(夫も妻にそう思っているかな)。それだけでもうんと癒される、救われるはずです。振り返るとたくさん積もり積もった問題を一つずつ解決して、ちょっと煙にまきながらも希望を見せてくれる作品でした。
美人の誉れ高いシャーリーズ・セロン、『モンスター』(2003)で役に合わせて激太りして驚かされましたが、今回は臨月の母親役なので、もっと増やしています。あのたぷたぷのお腹の贅肉は自前です。そしてちゃんと元の体型に戻すのですから、驚異的!(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/110分
配給:キノフィルムズ=木下グループ
(c)2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
http://tully.jp/
http://www.7-taizai-movie.net/
★2018年8月17日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 18:30| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オーシャンズ8(原題:Ocean's Eight)

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監督:ゲイリー・ロス
脚本:ゲイリー・ロス、オリヴィア・ミルチ
撮影:アイジル・ブリルド
音楽:ダニエル・ペンバートン
出演:サンドラ・ブロック(デビー・オーシャン)、ケイト・ブランシェット(ルー)、アン・ハサウェイ(ダフネ・クルーガー)、ミンディ・カリング(アミータ)、オークワフィナ(コンスタンス)、サラ・ポールソン(タミー)、リアーナ(ナインボール)、ヘレナ・ボナム・カーター(ローズ・ワイル)、
ジェームズ・コーデン(ジョン・フレイジャー)、リチャード・アーミテージ(クロード・ベッカー)

ダニー・オーシャンの妹、デビーは5年間の刑務所暮らしからようやく仮出所にこぎつけた。服役中に練りに練った犯罪計画を実現するために、まず旧知のルーを訪ね、その道のエキスパートたちを集める。ターゲットは世界の衆目を集めるファッションの祭典“メットガラ”。NYメトロポリタン美術館にセレブ6000人が集まり、世界中にテレビ中継される。そこでハリウッド女優が身につけている1億5千万ドルの宝石を手に入れようというのだ。不可能と思われる計画に女性ばかりの新生オーシャンズが挑んでいく。

『オーシャンズ11』(2001)『オーシャンズ12』(2004)『オーシャンズ13』(2007)に続くシリーズ最新作。3作の監督だったスティーヴン・ソダーバーグは、本作の製作にあたり『ハンガーゲーム』のゲイリー・ロスがメガホンを取りました。
舞台となる“メットガラ”については2016年のドキュメンタリー『メットガラ ドレスをまとった美術館』を観ていただけるとよくわかります。そちらにメインゲストとして呼ばれていたリアーナが、この映画では犯罪ドリームチームの一員、凄腕のハッカーとして活躍しているのも面白い趣向です。
『オーシャンズ11』も超豪華な出演陣に目を見張りましたが、本作でもリーダーのサンドラ・ブロックをはじめ主役級の女優さんばかり。それぞれの特技を駆使して、綿密な計画をひとつひとつ大胆に決行していくのにワクワクしました。ゴージャスな舞台設定ですが、彼女たちのオーラも負けていません。人目につかないように地味にしていたメンバーが、ここぞというときに豪華な衣装を身にまとって登場するシーン、彼女たちの輝きに注目してください。いやぁ眼福、眼福。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/110分
配給:ワーナー・ブラザース
(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
http://wwws.warnerbros.co.jp/oceans8/
★2018年8月10日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 13:53| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

英国総督 最後の家   原題:Viceroy's House

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監督・脚本:グリンダ・チャ―ダ(『ベッカムに恋して』)
出演:ヒュー・ボネヴィル、ジリアン・アンダーソン、マニシュ・ダヤル、フマー・クレイシー、マイケル・ガンボン

英領インドがインドとパキスタンに分離独立するまでの激動の6ヶ月を、総督官邸を舞台に描いた物語。

1947年2月、インドからの撤退を決めた大英帝国の最後の総督マウントバッテン卿が主権譲渡の任務を帯びてデリーに着任する。
パンジャーブ出身のヒンドゥー教徒のジートは、友人のツテでマウントバッテン卿の秘書官となる。ラホールの刑務所で勤務していたが、国の将来を思う政治犯を監禁していることに嫌気がさしての転職だった。総督官邸で、ジートはラホールの刑務所に父親が収監されていたアーリアというイスラーム教徒の女性とすれ違う。父親との面会を許されない彼女の手紙や差し入れを預るうち、恋心を抱くようになった女性だ。アーリアは、マウントバッテン卿の娘パメラの世話係として官邸に着任したのだった。
マウントバッテン卿は最良の主権譲渡をしたいと願い、独立後について、統一インドを望む国民議会派のネルーやガンディー、分離してパキスタン建国を望むムスリム連盟のジンナーと話し合いを続けるが、ついに印パ分離独立を決意する。主権譲渡の時期も予定より10ヶ月も早め、1947年8月と決める。それまでに人々は、自分の国をどちらにするか決めなければならない。人々の大移動が始まり、各地で暴動が起こる。
アーリアはジートを愛していたが、実はアースィフという親の決めた婚約者がいて、父親と共に彼の実家のあるパキスタンとなるラホールへ行くことを決める。アーリアを見送ったジートは、彼女が乗った夜行列車で大虐殺が起きたと報じる新聞を目にする。ジートはアーリアの安否を確認しに国境に向かう・・・

印パ分離独立にいたるまでの各派の動きや、民族大移動の大混乱の様子が当時のモノクロ映像で挟み込まれます。国民会議派のネルーやガンディー、ムスリム連盟のジンナーを演じている役者さんが、まるでアーカイヴ映像からそのまま出てきたようにそっくりで驚かされます。
統一インドの初代首相をジンナーにと進言したガンディーの思いにもかかわらず、分離独立という形になり、今なお両国の関係はぎくしゃくしています。故郷を離れなければならなかった多くの人々、そして移動中の混乱の中で命を落とした人々・・・ 
シク教徒の家庭に生まれたグリンダ・チャ―ダ監督自身の祖父母や親戚も、今はパキスタンとなった地から移住を余儀なくされた当事者でした。政治家の決めた分離独立が、どれだけ多くの人たちの人生を翻弄させたのか・・・ 本作は、分離独立にいたるプロセスを背景に、宗教の違う二人の恋の行方を劇的に見せて、庶民の受けた痛みをみごとに描き出しています。

実は、マウントバッテン卿が国境線の詳細について、両国指導者に明かしたのは、独立宣言直後の8月18日でした。大混乱を恐れてのことだったそうです。そんなマウントバッテン卿ですが、分離独立を決めた時、すでに2年前にチャーチル首相が分離独立を予測して国境線を考えていたことを知ります。天然資源の積出港としてカラチをパキスタンの領土とすることで、独立後の英国に有利になるよう画策していたのです。
パキスタンの独立式典に赴いたマウントバッテン卿に、ジンナーが「チャーチルが来るべきだった。パキスタンの助産婦だから」と語る場面が映画に出てきます。ジンナーは「私も騙された。もっと領土がほしかった」とも語ります。パンジャーブやベンガルなど、宗教の比率が五分五分の州は、インドとパキスタンに分割されてしまったことにも恨みがあるでしょう。住民の大半がムスリムで、マハラジャがヒンドゥーだったカシミールにいたっては、いまだに帰属が確定していません。

さて、この総督官邸ですが、数百人の使用人が必要なほど大きな邸宅。着任したマウントバッテンの夫人が、「バッキンガム宮殿より立派ね」とつぶやきます。
大英帝国の威光を感じさせる総督官邸が完成したのは、1929年。20年も経たないうちに、インドの国家元首の官邸になると、誰が予想したでしょう。
本作の邸宅の撮影の大部分は、ジョードプルのマハラジャの館ウメイド・バワン・パレスで行われましたが、本物の元総督官邸の外観の撮影許可が出て、その威光を見ることができます。 
余談ですが、一部がホテルとなっているウメイド・バワン・パレスに泊まったことがあって、懐かしく拝見! 大理石の床の広々とした部屋!(咲)


★印パ分離独立の際の大混乱については、イスラーム映画祭3 『熱風』上映後の麻田豊氏トークを是非参照してください。

イスラーム映画祭3 『熱風』  印パ分離独立に翻弄されたムスリム一家を描いた名作 
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/459740338.html

2017年/イギリス/カラー(一部モノクロ)/2.39 : 1/106分/5.1ch/英語、パンジャービー語・ヒンディー語
配給:キノフィルムズ/木下グループ   後援:日印協会
公式サイト:http://eikokusotoku.jp/
★2018年8月11日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー





posted by sakiko at 03:33| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月04日

「祈り 三部作」 『祈り』『希望の樹』『懺悔』  

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コーカサス山脈の南に位置する国ジョージア(グルジア)に映画が誕生して今年で110年。
その間、1918年にロシア帝国から独立、その後、ソ連邦に70年間組み込まれたが、1991年に独立を回復する。ソ連時代も含め、ジョージア映画は、自らの民族文化を取り入れた映画を作り続けてきた。シェンゲラヤ監督(『放浪の画家ピロスマニ』)、イオセリアーニ監督(『落葉』)などと並ぶ巨匠テンギズ・アブラゼ監督が、自ら三部作と名付けた『祈り』『希望の樹』『懺悔』が、岩波ホール創立50周年特別企画として、一挙上映される。
中でも、『祈り』は、日本初上映である。

配給:ザジ・フィルムズ  後援:在日ジョージア大使館
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/inori3busaku/
★2018年8月4日(土)より岩波ホールにて、3作一挙公開

なお、10月には、ジョージア(グルジア)映画祭も開催される。
期間:2018年10月13日(土)〜26日(金)
新旧の未公開作品 約20作品上映

◆『祈り』  原題:Vedreba
1967年/ジョージア/ジョージア語/白黒/78分/シネマスコープ/DCP
字幕 児島康宏  *日本初公開
原作:冨山房インターナショナル6月刊

ジョージアの美しくも険しい自然の中で暮らす民族の異なる人々。
キリスト教徒の伝統的な結婚式。
敵から守るためなのか、高い塔の家。
宗教の違いを越えて迷える人を歓待する一方、宗教や民族の違いがもたらす死・・・
山肌を行く葬列。
「ラーイラーハイッララー ムハンマド ラスールッラー」(アッラーのほかに神はなし、ムハンマドはその使徒なり)というイスラーム教徒たちのずっしりと響く重唱。
モノクロームで描かれた壮大な映像詩。
語られているのは、19世紀ジョージアの国民的作家ヴァジャ・プシャヴェラの叙事詩。

ジョージア北東部、コーカサス山脈の山深くにあるヘヴスレティ地区のシャティリという中世の石造りの村を中心に撮影されている。ソ連時代に、この地の生活様式や文化を破壊しようとしたが、誇り高い人々によって儀式や歌などが守り継がれているという。



◆『希望の樹』  原題:Natvris Khe
1976年/ジョージア/ジョージア語/カラー/107分/スタンダード/DCP
字幕 児島康宏

冒頭、一面の赤いケシの花の中にたたずむ白馬の目に涙。やがて老人が白馬を安楽死させる。悲しむ少年・・・
20世紀初頭、ロシア革命前のジョージア東部カヘティ地方の美しい農村。
美しい聖女のようなマリタと牧童ゲディアは愛し合うようになるが、マリタは貧しい家族のため、村の長老のいうがままに金持ちのシェテと結婚しなければならなくなる・・・
古い因習や貧困のために、純真な愛が潰されてゆく様が描かれる。
20世紀を代表する作家ギオルギ・レオニゼが1962年に発表した21篇からなる短編集をもとに描かれた作品。


◆『懺悔』  原題:Monanieba
1984年/ジョージア/ジョージア語/カラー/153分/スタンダード/DCP
字幕 松澤一直/監修 児島康宏
出演:アフタンディル・マハラゼ、ゼイナブ・ボツヴァゼ、ケテヴァン・アブラゼ、エディシェル・ギオルゴビアニ

器用にピンクのクリームで薔薇の花を作って教会型のケーキに乗せるケテヴァン。彼女の隣で新聞を広げていた男が、「偉大な人が亡くなった」と叫ぶ。一面に市長として君臨していたヴァルラム・アラヴィゼの大きな顔写真。盛大な葬儀の翌朝、ヴァルラムの息子アベルは、窓の外に墓から掘り起こされた父の遺体を目の当たりにする。埋葬してもまた庭に掲げられる遺体。犯人はケテヴァンだった。「私が生きている限り墓地では眠らせません」と、法廷で堂々と語るケテヴァン。画家だった彼女の父親は、ヴァルラムの市長就任演説を聴かなかったとして粛清され、死に追いやられたのだ。無実の犠牲者が数多くいたことを知ったヴァルラムの孫息子トルニケは、祖父の犯した罪におののき父アベルを責めるが、「そういう時代だった」と取り合わない・・・

 本作が完成したのは、ソビエト連邦がペレストロイカ(改革)の時代を迎える前の1984年。厳しい検閲のあった時代に、独裁者を糾弾するかのような映画が作られたことに驚かされる。宗教が否定されていた時代に、教会をかたどったケーキが華やかに並ぶ映像にも監督の勇気を感じる。1987年、カンヌ国際映画祭で審査員特別大賞等を受賞し、その後ソ連全土で公開され記録的な大成功を収め、「パカヤーニエ(ロシア語で懺悔)現象」と呼ばれたという。1991年のソ連邦崩壊にもつながるペレストロイカ、グラスノスチ(情報公開)の象徴となった映画である。

 市長の名前「アラヴィゼ」は、グルジア語で「誰でもない」という意味でアブラゼ監督の造語。町を彷徨うケテヴァンの両親を追いかける市長のそばには鎧姿の兵士もいる。いつの時代にも独裁者に抑圧される人々が存在する不合理を語っている。だからと言って、独裁者を抹殺しただけでは、平穏な社会になるわけでないことも歴史は教えてくれている。何も言えず流されていく人たちが多い中、孫息子トルニケが純粋に疑問を投げかける。人と人とが共生していくには、赦しあうことも必要だと『懺悔』は感じさせてくれた。(咲)
(2008年12月20日より岩波ホールほか全国にて順次公開された)





posted by sakiko at 08:46| Comment(0) | ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする