2018年07月29日

インクレディブル・ファミリー(原題:Incredibles 2)

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監督・脚本:ブラッド・バード
音楽:マイケル・ジアッキーノ
声の出演:クレイグ・T・ネルソン(ボブ/Mr.インクレディブル)、ホリー・ハンター(ヘレン/イラスティガール)、サラ・ボーウェル(ヴァイオレット)、ハック・ミルナー(ダッシュ)、サミュエル・L・ジャクソン(フロゾン)、ブラッド・バード(エドナ・モード)、ソフィア・ブッシュ(ヴォイド)

あまりも強大なパワーを持つヒーローたちに非難ごうごう。しばらく活動禁止となり、ひっそりと暮らしていたインクレディブル一家に、名誉回復のチャンスが到来する。しかーし、そのミッションを遂行するのはたった一人、イラスティガールことママだけだった。がっくりするパパはママをニッコリと送り出し、慣れない家事と育児に奮闘する毎日。出張中のママは生き生きと元気にヒーローとして活躍中。パパは内心羨ましくてたまらない。そんなある日、末っ子のジャック・ジャックの能力が突然覚醒した。

『Mr.インクレディブル』は 2004年の公開でした。ファミリーでいろんな能力を持つヒーローアニメってほかにないなぁ、それにしても派手にビルやら乗り物やら壊すこと!大惨事だよ〜などと突っ込みつつ、一緒に観ていた5歳男児は今や大学生です。早っ!当時小学生くらいかと思っていたダッシュくんは年を取らずにいますが、今回は末っ子のベビーがついに覚醒。ただしまだ制御することができません。さて、どんな能力?
ヒーローお休み中の地味な日常生活は、我々一般ピープルと同じ。面倒な悩みも同じ。留守番であたふたするパパの姿に自分を見る方もいますよね。日本語吹き替え版は三浦友和さん、黒木瞳さん、綾瀬はるかさん、前回と同じ。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/118分
配給:ディズニー
(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
https://www.disney.co.jp/movie/incredible-family.html
★2018年8月1日(水)ロードショー
posted by shiraishi at 20:38| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヒトラーを欺いた黄色い星(原題:Die Unsichtbaren)

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監督:クラウス・レーフレ
脚本:クラウス・レーフレ、アレハンドラ・ロペス
撮影:イェルク・ヴィトマー
音楽:アレハンドラ・ロペス
出演:マックス・マウフ(ツィオマ・シェーンハウス)、アリス・ドワイヤー(ハンニ・レヴィ)、ルビー・O・フィー(ルート・アルント)、アーロン・アルタラス(オイゲン・フリーデ)

第2次大戦下のベルリン。両親と暮らしていたツィオマ・シェーンハウスは、移送命令を受けたが、咄嗟の機転で収容所行きを免れた。ドイツ兵になりすまし、転々と場所を変えながら身分証の偽造を始める。ユダヤ人を支援する男性と友人に助けられ、この闇仕事を続ける。
ルート・アルントは家族と懇意のゲール夫人宅に匿われる。戦争未亡人を装って友人と外出したルートは帰宅できなくなり、ドイツ国防軍の大佐のメイドとなって働くことになった。大佐はユダヤ人と気づきながらも追求せず、それとなく守ってくれた。
オイゲン・フリーデは、母親がドイツ人と再婚したため、家族の中で1人だけユダヤ人として黄色い星をつけなくてはいけない。1人潜伏するために家を出て、活動家の家に引き取られ、周囲に怪しまれないようヒトラー青少年団の制服を着るはめになった。収容所を脱走した男からナチスのユダヤ人虐殺の実態を聞き、反ナチスのビラ作りを手伝う。
孤児となったハンニ・レヴィは、金髪に染めて別人として暮らす。戦地行きを控えた男性と知り合い、その母親のもとで匿われた。

1943年6月19日、ナチスの宣伝相ゲッペルスはベルリンのユダヤ人を一掃したと正式に宣言。しかし、実際は約7000人のユダヤ人が各地に潜伏し、そのうちの1500人が終戦まで生き延びていました。クラウス・レーフレ監督は生存者の調査を行い、個々に取材し4つのサバイバルストーリーを選び、映画化しました。冷酷なドイツ兵ばかりではなかったこと、相互監視の中、自分が生き延びるために同胞を売ること、戦時中という特別なときだけでなく、起こり得ることでしょう。終戦までの2〜3年を過ごした彼らは、薄氷を踏むような日々であったはず。それぞれのストーリーを本人が語る場面があります。若き日の写真と交互に見ていますとさらに感慨深いです。(白)

2017年/ドイツ/カラー/シネスコ/110分
配給:アルバトロス・フィルム
(C)2016 LOOK! Filmproduktion / CINE PLUS Filmproduktion (C)Peter Hartwig
http://hittler-kiiroihoshi.com/
★2018年7月28日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 20:34| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沖縄スパイ戦史

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監督:三上智恵、大矢英代(おおやはなよ)
プロデューサー:橋本佳子、木下繁貴
撮影:平田守
音楽:勝井祐二

1944年晩夏。陸軍中野学校出身者42名が沖縄へ渡った。兵隊としてではなく名前を偽り身分を隠し、各地に潜伏した彼らは何をしたのか。“護郷隊”としてゲリラ部隊を組織し、少年たちを愛国の名のもとに送り出す。住民の相互監視を煽り、スパイリストを作って処刑する。マラリアの蔓延する離島へ強制的に疎開させるetc、etc。諜報・謀略を学んできたエリートたちが秘密裏に行ってきたことが少しずつ明るみに出る。
米軍上陸後、激烈な戦闘が始まり、1945年6月23日に牛島満司令官が降伏するまで、民間人を含む20万人あまりが死亡した。
『標的の村』『戦場ぬ止み』標的の島 風かたか』の三上智恵監督と、琉球朝日放送「テロリストは僕だった〜沖縄基地建設反対に立ち上がった元米兵たち〜」を制作した大矢英代監督が、当時の住民の方々に丹念に取材したドキュメンタリー。

反対運動が継続しているにも関わらず、今また沖縄に基地が建設されようとしています。沖縄を防波堤に、内地の人が安穏と暮らしていていいのか、できることがないのかと問う日々。せめて発信のお手伝いをいたします。
沖縄戦やその後についての映画は何本も見てきましたが、陸軍中野学校出身者が絡んでいたのをこの映画で初めて知りました。軍隊内には当然いたのでしょうが、こんな形で関わっていたのだとは。
武器を持っている少年たちはまだ幼な顔です。軍隊は国民を守るのではなく、国民は軍隊の人的資源にすぎないのだと気づきます。
地形が変わるほど爆撃され、逃げ惑った挙句、友軍には玉砕を強いられた村の人たちの無念はいかばかりであったでしょう。インタビューに応じてくださる方々に「話してくださってありがとうございます」と伝えたいです。「何も知らなかった」ではなく、今からでも「知るために」映画館へ足を運んでいただければ、明日が少し変わるはず。(白)


戦後70年以上語られなかった陸軍中野学校の秘密戦。
波照間島の事例が語られる。米軍は上陸せず、空襲や戦闘による死者は一人もいないにもかかわらず、島民の3分の1にあたる500名が命を落としている。
青年指導員として波照間国民学校に赴任し、島民に慕われていた山下虎雄先生がある日突然「西表島に移住せよ」と皆に迫る。西表島の悪性マラリアの蔓延する地帯への移住を拒むこともできず、その結果、多くの島民が亡くなったのだ。石垣島でも同様の事例があったという。強制移住は島民の保護のためではなく、軍の都合によるものだ。
「住民が米軍に捕まればスパイになる」という敗残兵の猜疑心が、島民を殺したともいう。
沖縄で、日本軍に殺された島民が多いとは聞かされていたけれど、こんなにも具体的な事例を知り、「国」は決して国民を守ってくれないことをあらためて思った。それは、今も変わらないスタンスだろう。(咲)


★『沖縄スパイ戦史』舞台挨拶
7/28(土)+7/29(日)
両日ともに 10:20の回上映後、15:30の回上映後、18:00の回上映前
登壇 :三上智恵監督、大矢英代監督

7/30(月) 10:20の回上映後 トークイベント
ゲスト:森達也(映画監督・作家)、三上智恵監督、大矢英代監督

7/31(火) 10:20の回上映後 ティーチイン
ゲスト : 三上智恵監督、大矢英代監督

8/1(水) 10:20の回上映後 トークイベント
ゲスト :金平茂紀(ジャーナリスト)、三上智恵監督、大矢英代監督

8/2(木) 10:20の回上映後 ティーチイン
ゲスト :三上智恵監督、大矢英代監督


2018年/日本/カラー/114分
配給:東風
(C)2018『沖縄スパイ戦史』製作委員会
http://www.spy-senshi.com/
★2018年7月28日(土)東京・ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー

○2013年『標的の村』公開時に(暁)さんが三上監督にインタビューしています。
記事はこちら
大矢監督のドキュメンタリーについてはご自身のブログで、こちら
posted by shiraishi at 17:16| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々

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監督:渡辺正悟
撮影:大石英男
ナレーション:小池栄子
テーマ曲:藤田恵美
出演:新井祥、うさきこう、IKKAN、倉持智好、中山貴将

漫画家の新井祥さんは30歳まで女性として暮らした。しかし女性であることに違和感があった。染色体の検査をして“インターセックス”とわかる。男性として生きることを選び、夫とは円満離婚をし今も良い友人としてつきあっている。名古屋に引っ越して専門学校の講師となり、そこで生徒の青年うさきこう君と出会う。彼はアシスタントとして同居し、自らも漫画家デビューを果たし、ゲイであることをカミングアウトした。祥さんは今「男性でも女性でもない何か」と自称している。2人の日常を中心に、様々なセクシャルマイノリティの人たちとの交流を追ったドキュメンタリー。

お名前を見て高野史枝さんのドキュメンタリー『厨房男子』(2015年)に出演していた方々だったと思い出しました。名古屋在住の高野監督が取材した料理自慢の男子のお1人がうさきこう君でした。スーパーで材料を見繕って、調理するこう君が美青年でした。その中ではお2人についてはちょっと触れただけ、今回詳しく聞きましたが・・・それでもよく理解したとはいえません。でも、LGBTといってもおおざっぱなくくりで、いろいろあるんだということと、それぞれ少しずつ違うのは当たり前。それが生き辛いことになりませんように、と思います。お2人はとても仲良くて幸せそうでした。それが一番。(白)

2018年/日本/カラー/106分
配給:オリオフィルムズ
(C)ザ・ファクトリー
https://seibetsu-movie.com/
★2018年7月28日(土)よりアップリンク全国順次公開
posted by shiraishi at 16:42| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ラ・チャナ(原題:La Chana)

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監督・制作:ルツィヤ・ストイェビッチ
撮影:サミュエル・ナバレテ
出演:ラ・チャナ、アントニオ・カナーレス、カリメ・アマヤ

ラ・チャナ(本名アントニア・サンティアゴ・アマドール)は1946年スペインのバルセロナで生まれた。早くからフラメンコダンサーとして才能を現し、父親に反対されるながらも14歳から店で踊り始める。フラメンコ・ギタリストに求愛され、18歳で結婚。19歳で一人娘を授かる。独特のリズムと気迫みなぎるダンスは世界中を魅了し日本でも公演している。ピーター・セラーズ主演映画『無責任恋愛作戦』にも出演。ハリウッドに招かれるが夫に許されず、表舞台から姿を消してしまう。
もう一度彼女が舞台に復帰したのは、夫が借金だけを残して家を出てからだった。

試写を見逃してしまい、劇場に行ってきました。撮影当時71歳のラ・チャナは、とてもチャーミングなおばあちゃんです。一回り太って糖尿病と膝に故障をかかえているので、支えられてゆっくりと歩きます。2番目の夫は優しく気のいい男性で、嫉妬にかられて暴力まで振るった最初の夫とはまるで違いました。夫婦仲睦まじく、愛犬とのんびり暮らしているようすによかったね、と思います。合間に古い映像で、若いときに出演したテレビ番組での彼女の踊りが挿入されます。倍賞美津子さんにちょっと似たラ・チャナは、考えられないようなスピードでステップ(彼女はコンパスと呼ぶ)を踏みます。その力強い踊りに見とれました。後ろでギターを弾いている眉毛の濃い男性が最初のDV夫です。男性優位のヒターノ(ジプシー)社会で、女性は黙って従うしかなかったというラ・チャナは、踊っているときだけは自由で、自分自身に戻れたと言います。つくづくそのころの舞台を生で見たかったと思います。
今は膝に負担がないように、椅子に座りドレスを短くしてステップを見せ、上半身で踊ります。え?と思うでしょうが、それでもすごい迫力で胸が熱くなりました。フラメンコ教室が人気のようですが、習っている方は必見!そうでない方もぜひどうぞ!その生き方と彼女自身に魅了されます。(白)


2016年/スペイン、アイスランド、アメリカ合作/カラー/86分
配給:アップリンク
(C)2016 Noon Films S.L. Radiotelevisión Española Bless Bless Productions
http://www.uplink.co.jp/lachana/
★2018年7月21日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほかにて公開中
予告編はこちら
posted by shiraishi at 16:20| Comment(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

国家主義の誘惑 原題 Japan, La tentation nationaliste

2018.7.28(土)よりポレポレ東中野にてロードショーほか全国順次公開

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監督:渡辺謙一
プロデューサー:セルジュ・ゲズ、クリスティーヌ・渡辺
撮影:エマヌエル・ヴァレット
編集:マチュー・オーギュスタン
録音:渡辺顕、岸本宗司
音楽:ジェローム・クレ
歴史監修:クリスチャン・ソテール
語り:ブリジット・ベルジュ
音響効果:ロジェ・デュピュ グラフィック:シリル・プル
映像技術:アルノ・ランベール
技術顧問:ジル・ラビエ
キャスト
ピエール=フランソワ・スイリ
バラク・クシュナー
ミカエル・リュッケン
白井聡
山本太郎
喜納昌吉

世界的にナショナリズムの嵐が起こっている中、2015年『天皇と軍隊』(製作2009年)が日本公開され、話題を呼んだフランス在住の渡辺謙一監督が、この映画では、国際関係史・地政学の観点から、国内外の論客によるイ日本人にとってナショナリズムとは
日本社会の「今」を映し出すフランス発のドキュメンタリー

ンタビューを加え、日本社会を覆う政治の正体、「日本人にとってナショナリズムとは」と問いかける。
国益の名の下に強行採決し法律を変えたり、反対意見に耳を貸さず、嘘を通すのがまかり通る、そんな政治の実情の行く末。本当に知る必要があるものは何か。今、起こっている日本の政治の現状を紐解く。
どうなっているの?と、思っている間に、日本の社会、政治は戦前の様相に似てきてしまっている。そんな実情を、太平洋戦争に至った歴史を振り返り、軍隊の台頭で、立憲主義が終わり、天皇の統帥権を盾に軍が主導する政治に変わっていったことを、丁寧に検証する。日中戦争前夜の日本と今、どこか似ていると感じた監督は、「人々の政治に対する意識が醸し出す空気」を国家主義の誘惑と呼び、題名にしたという。
憲法9条を切り口に天皇制の護持と関連付け、戦後史を紐解いたのが『天皇と軍隊』でしたが、天皇の退位のビデオメッセージは衝撃的だったそうで、結果的にこの天皇メッセージが、政権の改憲プログラムを少なくとも1年遅らせたとし、「国家主義の誘惑」に対する唯一権威ある防壁が、「天皇」であるというパラドクスという観点から日本の政治を語っている。

協賛:フランス議会TV
制作:アルテ・フランス、クレッシェンド・メディア・フィルム、
カミ・プロダクション
日本語翻訳:渡辺謙一
字幕制作:平井かおり
予告編制作:石川翔平
宣伝美術:追川恵子
配給:きろくびと
フランス/2017 年/54 分
kiroku-bito.com/nationalism




posted by akemi at 15:43| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする