2018年07月29日

国家主義の誘惑 原題 Japan, La tentation nationaliste

2018.7.28(土)よりポレポレ東中野にてロードショーほか全国順次公開

kokkashugi.jpg

監督:渡辺謙一
プロデューサー:セルジュ・ゲズ、クリスティーヌ・渡辺
撮影:エマヌエル・ヴァレット
編集:マチュー・オーギュスタン
録音:渡辺顕、岸本宗司
音楽:ジェローム・クレ
歴史監修:クリスチャン・ソテール
語り:ブリジット・ベルジュ
音響効果:ロジェ・デュピュ グラフィック:シリル・プル
映像技術:アルノ・ランベール
技術顧問:ジル・ラビエ
キャスト
ピエール=フランソワ・スイリ
バラク・クシュナー
ミカエル・リュッケン
白井聡
山本太郎
喜納昌吉

世界的にナショナリズムの嵐が起こっている中、2015年『天皇と軍隊』(製作2009年)が日本公開され、話題を呼んだフランス在住の渡辺謙一監督が、この映画では、国際関係史・地政学の観点から、国内外の論客によるイ日本人にとってナショナリズムとは
日本社会の「今」を映し出すフランス発のドキュメンタリー

ンタビューを加え、日本社会を覆う政治の正体、「日本人にとってナショナリズムとは」と問いかける。
国益の名の下に強行採決し法律を変えたり、反対意見に耳を貸さず、嘘を通すのがまかり通る、そんな政治の実情の行く末。本当に知る必要があるものは何か。今、起こっている日本の政治の現状を紐解く。
どうなっているの?と、思っている間に、日本の社会、政治は戦前の様相に似てきてしまっている。そんな実情を、太平洋戦争に至った歴史を振り返り、軍隊の台頭で、立憲主義が終わり、天皇の統帥権を盾に軍が主導する政治に変わっていったことを、丁寧に検証する。日中戦争前夜の日本と今、どこか似ていると感じた監督は、「人々の政治に対する意識が醸し出す空気」を国家主義の誘惑と呼び、題名にしたという。
憲法9条を切り口に天皇制の護持と関連付け、戦後史を紐解いたのが『天皇と軍隊』でしたが、天皇の退位のビデオメッセージは衝撃的だったそうで、結果的にこの天皇メッセージが、政権の改憲プログラムを少なくとも1年遅らせたとし、「国家主義の誘惑」に対する唯一権威ある防壁が、「天皇」であるというパラドクスという観点から日本の政治を語っている。

協賛:フランス議会TV
制作:アルテ・フランス、クレッシェンド・メディア・フィルム、
カミ・プロダクション
日本語翻訳:渡辺謙一
字幕制作:平井かおり
予告編制作:石川翔平
宣伝美術:追川恵子
配給:きろくびと
フランス/2017 年/54 分
kiroku-bito.com/nationalism




posted by akemi at 15:43| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月22日

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス(原題:Buena Vista Social Club: Adios)

buena.jpg

監督:ルーシー・ウォーカー
製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース
出演:オマーラ・ポルトゥオンド(ボーカル)、マヌエル・“エル・グアヒーロ”・ミラバール(、トランペット)、バルバリート・トーレス(ラウー)、エリアデス・オチョア(ギター、ヴォーカル)、イブライム・フェレール(ヴォーカル)

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99)で一世を風靡した伝説のバンドは当時平均70歳だった。18年たった今、平均90歳。メンバーの何人かが亡くなり、病気になり、いよいよ最後の「アディオス(さよなら)」コンサート・ツアーをすることになる。専属の医師を伴い、曲の合間に酸素吸入をする。認知症になって会話はおぼつかなくなったけれども、ピアノに手を触れれば往年の超絶技巧が甦ってくる。天国へ旅立ったメンバーを偲びながら、最後まであきらめず、観客を楽しませるプロフェッショナルなプレイヤーたち。こんな風に年を取れたら何も言うことはない。なんてカッコイイんだ!!(白)

2017年/イギリス/カラー/ビスタ/110分
配給:ギャガ
(c)2017 Broad Green Pictures LLC
http://gaga.ne.jp/buenavista-adios/
★2018年7月20日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 21:00| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月20日

人間機械   原題:MACHINES

ningen kikai.jpg

監督・脚本:ラーフル・ジャイン

インド、北西部グジャラート州にある繊維工場。
機械の大きな音が響く中、黙々と働く人々。
化学染料の取り扱いにも、それほど気を使ってない。
汗まみれになって彼らが作り出すのは、美しい花柄の布。
まさに機械としてしか見られていない、そこで働かざるをえない人々・・・

「故郷で働くことが出来れば、ここには来ない」
「1600キロ離れた地から、36時間すし詰めの列車で来た」
家族を養うため、家族と離れて、過酷な環境の中で働く人たちの言葉に、もう虚しさしかない。
ここで働く人たちの楽しみは、嗜好品のパーン。一日2ルピーの楽しみ。煙草は、5〜10ルピーもするので買えないのだ。映画大国インドだけど、彼らにとって映画館で映画を楽しむ余裕もないのだろう。
ラーフル・ジャイン監督は、小さい頃、祖父の所有する繊維工場を遊び場にしていたという。繊維工場を初監督作品の舞台にしたのは、その強烈な記憶。地獄のような劣悪な環境の中で働く人々のことを知らしめ、世の中を動かしたいという思いもあるのだろう。けれども、その地獄をあまりに芸術的に描いていて、所詮、富める層のおごりと感じてしまう。
もちろん、このような世界があることを知らないよりは知ったほうがいい。ボリウッド映画や『バーフバリ』でインドに目覚めた方には、対極にある『人間機械』もぜひご覧いただきたい。(咲)


山形国際ドキュメンタリー映画祭2017上映作品

2016年/インド・ドイツ・フィンランド/DCP/カラー/71分
配給:株式会社アイ・ヴィー・シー/配給協力:ノーム
公式サイト:http://www.ivc-tokyo.co.jp/ningenkikai/
★2018年7月21日(土) 渋谷ユーロスペースほかにて全国順次ロードショー




posted by sakiko at 09:09| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月19日

クレイジー・フォー・マウンテン   原題:Mountain

crazy.jpg

監督:ジェニファー・ピードン
音楽:リチャード・トネッティ(オーストラリア室内管弦楽団芸術監督)
脚本:ロバート・マクファーレン(著書「Mountains of the Mind」をもとに構成)
撮影:レナン・オズターク(『MERU/メルー』撮影)
ナレーション:ウィレム・デフォー

デナリ(アメリカ)、モンブラン(フランス)、アイガー(スイス)、エベレスト(ネパール)、メルー(北インド)、羊蹄山(日本)・・・クラッシック音楽をバックに、山々の圧倒的な映像が迫ってくる。
世界の名峰の頂を目指す人々、絶壁に挑むクライマー、さらには、マウンテンバイクで山を下ってのスカイダイビング、ウィングスーツでの山頂からの滑空、パラグライダー・・・と、エクストリーム・スポーツを楽しむ人々・・・
本作は、人と山とのかかわりを、音楽と映像で綴った映像詩。

冒頭、ピアノを動かす場面。そして、オーケストラのリハーサル。何も予備知識なく、山の映画と思っていたので、あれ〜っ?と思ったら、実は、オーストラリア室内管弦楽団の芸術監督であるリチャード・トネッティ氏が、『Sherpa』(2015)で英国アカデミー賞にノミネートされた女性監督ジェニファー・ピードンに声をかけて作った音楽ありきの映画でした。
時折、チベット僧の祈る姿が映し出されて、かつて山は信仰の対象として崇めるものであったことを思い起こさせてくれます。
世界最高峰のエベレストは、今や、順番待ちで登る山。登山客であふれ、団体行動。
そして、山は今や登るだけでなく、数々のエクストリーム・スポーツを楽しむ場ともなっていることを知りました。パラシュートを背負ってマウンテンバイクで軽々と山を降り、空にはばたく姿には驚くばかり。
場所の説明が基本的に文字では記されていないので、ここはどこ?と、ちょっとフラストレーション。地球上には、こんなにも美しい山々があるのだと、ただただ美しいクラシック音楽と共に楽しんでください。(咲)


ジャニファー・ピードン監督トップ1320.jpg
ジェニファー・ピードン監督にインタビューしました。
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/460612615.html

2017年/オーストラリア/英語/74分/カラー/5.1ch/シネスコ
後援:オーストラリア大使館
協力:The North Face
配給:アンプラグド
公式サイト:http://crazy4mountain.com
★2018年7月21日(土) 新宿武蔵野館他全国順次公開




posted by sakiko at 21:28| Comment(0) | オーストラリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月15日

ストリート・オブ・ファイヤー(原題:Streets of Fire)

street.jpg

監督:ウォルター・ヒル
脚本:ウォルター・ヒル、ラリー・グロス
撮影:アンドリュー・ラズロ
音楽:ライ・クーダー
出演:マイケル・パレ(トム・コーディ)、ダイアン・レイン(エレン・エイム)、リック・モラニス(ビリー・フィッシュ)、エイミー・マディガン(マッコイ)、デボラ・バン・フォルケンバーグ(リーバ・コーディ)

大人気のロック歌手となったエレン・エイムの凱旋ライブが満員のホールで行われている。そこへストリートギャングのボンバーズが大挙乗り込んで、ボスのレイブンが目をつけていたエレンを誘拐してしまった。おりしも風来坊のトム・コーディが、この町に戻ってくる。彼はかつてエレンと恋人同士だったが、エレンのために別れてしまっていた。トムは酒場で知り合った女兵士のマッコイやエレンのマネージャーのビリーと協力して、ボンバーズのアジトに急襲をかける。エレンを無事に救い出すことに成功するが、面目を潰されたボンバーズのボス、レイブンがトムに決闘を申し込んできた。

1984年製作、日本で大ヒットした作品が、このほどデジタルリマスター版でリバイバル公開です。ダイアン・レインは10代で映画デビューし、コッポラ監督作品に続けて出演して日本での知名度を得ていました。トム役に抜擢されたマイケル・パレはこの作品で大ブレイク。美男っぷりに、日本でも女性ファンの熱が上がったはずです。そしてお肌つるつるのウィレム・デフォー(29歳)がストリートギャングを怪演。車やバイクの80年代ではあるものの、中味は西部劇。アクション場面が結構派手で、タイトルどおりあちこちから火の手があがります。
音楽がとても良くて、中で歌われた「TONIGHT IS WHAT IT MEANS TO BE YOUNG」は日本で椎名恵がカバー。「今夜はANGEL」としてテレビドラマ「ヤヌスの鏡」の主題歌にもなりました。懐かしい。最初と最後のエレンのライブ場面では、当時19歳のダイアン・レインが堂々としたパフォーマンスを見せています。歌は吹き替えで、1人だけの声でなく数人のボーカリストの声を合成したものなんだとか。それであの迫力が出ているんですね。
HPには使われた音楽のタイトルをはじめ、84年がどんな年だったかが挙げられています。上映劇場欄には立川シネマシティ「極音上映」、川崎チネチッタ「LIVE ZOUND」、福山シネマモード「激音上映」と赤い文字が!?お近くの皆様、どんな音響になるのかぜひお確かめください。 (白)


1984年/アメリカ/カラー/シネスコ/94分
配給:コピアポア・フィルム
(C)1984 Universal Studios. All Rights Reserved.
http://streets-of-fire-jp.com/
★2018年7月21日(土)ダイナマイト・ロードショー
posted by shiraishi at 17:14| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする