2018年06月16日
フジコ・ヘミングの時間
企画・構成・撮影・編集・監督:小松莊一良
出演:フジコ・ヘミング
ナレーション:三浦透子
フジコ・ヘミング。80代の今も世界を駆け巡るピアニスト。
日本人ピアニストの母とスウェーデン人デザイナーの父との間にベルリンで生まれる。両親と共に日本へ。5歳の時、父は家族を置いて日本を後にする。その後、母は一人でフジコと弟ウルフを育てる。
5歳から母の手ほどきでピアノを始め、東京芸術大学を経て、28歳でドイツ留学。長年にわたりヨーロッパで演奏家として活動するが、風邪をこじらせ聴力を失い、ストックホルムに移住。耳の治療をしながら音楽教師の資格を取得。教師の傍ら欧州各地でコンサート活動を続ける。彼女がピアニストとして名を馳せるようになったのは、1999年リサイタルとNHKのドキュメント番組がきっかけだった。
本作は60代で花開いたフジコ・ヘミングの生い立ちと、80代の今の彼女の日常に迫ったドキュメンタリー。カメラは2年にわたり、パリ、ニューヨーク、ブエノスアイレス、ベルリン、アメリカ・サンタモニカ、東京、京都・・・と彼女を追いかける。
ブエノスアイレスでのコンサート会場でピアノをチェックするフジコ。
「ピアノが悪い!」とちょっと不機嫌だ。ほかの楽器と違って、ピアノは持ち歩けない。
耳が悪いために、オーケストラとタイミングが合わず、演奏を中断する場面も出てくる。
ちょっと我が儘にも見えるフジコ。
フジコが世に遺したいものは、自分の家だという。家にこだわりのあるフジコ。
今も残るラフマニノフの家を訪ねる。
父母が暮らし、自分が生まれた当時のベルリンの家も訪ねる。70〜80年前のアパートがまだ残っている。
そして、現在のフジコの家。パリの古いアパルトマン、東京・下北沢、京都・祇園のど真ん中にある古民家、ベルリン、サンタモニカ・・・ どの家も骨董品がさりげなく置かれた居心地のいい空間。猫たちと気ままに過ごすフジコ。
14歳のときの絵日記も披露される。1946年の夏休みの宿題。父の血を引いたのか絵が上手だ。最後に、フジコは父が日本に遺した作品と対面する。5歳で別れてしまった父。フジコの今の姿を知ったら・・・と、見ている私が感無量に。フジコ独特の世界観も、ご両親あってこそと思った。(咲)
2018年/日本/115分/5.1ch/HD/カラー/デジタル
配給:日活
公式サイト:http://fuzjko-movie.com/
★2018年6月16日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー