2018年06月10日

終わった人

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監督:中田秀夫
原作:内館牧子
脚本:根本ノンジ
撮影:斉藤幸一
音楽:海田庄吾
出演:舘ひろし(田代壮介)、黒木瞳(田代千草)、広末涼子(浜田久里)、臼田あさ美(山崎道子)、今井翼(鈴木直人)、ベンガル(工藤元一)、清水ミチコ(山下正美)、温水洋一(山下良夫)、高畑淳子(桜田美雪)、岩崎加根子(田代ミネ)、渡辺哲(川上喜太郎)、田口トモロヲ(青山俊彦)、笹野高史(二宮勇)、野澤しおり(山崎麻衣)

大手銀行に勤め、出世間違いなしと目されていた田代壮介はライバルに負けて、子会社への出向を命じられた。そのまま本社に戻ることはなく、定年を迎えた。娘はすでに結婚し、美容師の妻・千草と2人の生活になったが、毎日仕事に出かける妻と違って、趣味を持たなかった壮介にはやることがない。家事もできず、帰宅した千草に向かって愚痴をこぼす毎日。長く勤め上げたことに感謝していた千草も、ついに耳を傾けてくれなくなってしまった。再就職先を探すも、高学歴と職歴が邪魔をしてなかなか決まらない。それでも、試しに行ってみたカルチャースクールで、受付をしている浜田久里と知り合ったことで明るい光がさす。スポーツジムで知り合ったIT企業家の鈴木直人には、仕事の話を持ちかけられて人生が再び輝くかと思われた。

ホラー映画の監督として知られる中田秀夫監督が原作にほれ込み、自ら企画して映画化した作品。素材は違うものの、映画の構成や俳優の生かし方など、そう変わりはないのかもしれません。舘ひろしさんがどんなにしょぼくれて見せても、カッコ良すぎる片鱗は残り、黒木瞳さんは娘と姉妹に見えるほど若々しく美しすぎます。だからといって、リアルそのままの夫婦などお金払ってまで見たくありません(それは鏡の中に)。そんな「わがままな映画ファン」にも、定年後をシミュレーションしてくれたことで、納得していただけるのではないでしょうか。
ちょうど何十年ぶりかの修学旅行(クラスの有志)の企画が持ち上がっていたところだったので、壮介の旧友たちのいろいろな生き方に自分たちの来し方・行く末を重ね合わせました。定年前に亡くなった知人も、うんと若くして無念の死を迎えた級友もいます。「定年は生前葬」と思えるまで生き延びたことを幸いと思って、この先の日々を大事にしましょう。一日もムダにできませんよ〜(と脅かす)。(白)


2018年/日本/カラー/シネスコ/125分
配給:東映
(C)2018「終わった人」製作委員会
http://www.owattahito.jp/
★2018年6月9日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 00:35| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月09日

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

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監督:李闘士男
原作:(作)K.Kajunsky、(漫画)ichida
脚本:坪田文
主題歌:チャントモンチー
音楽:安達練
出演:榮倉奈々(加賀美ちえ)、安田顕(加賀美じゅん)、大谷亮平(佐野壮馬)、野々すみ花(佐野由美子)、浅野和之(蒲原)、品川徹(横山)、螢雪次朗(進一)

じゅんとちえは結婚3年の夫婦。子どもはまだない。じゅんの目下の悩みは「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしていること」。最初は本当に驚いて腰を抜かしそうになったけれど、次の日もまた別のパターンの「死んだふり」をしていた。なんでそんなことをするのか、ちえの真意がわからないじゅんは同僚の佐野に打ち明ける。佐野は他人事だと思って「とことんつきあってやれば」という。ちえの力の入れ方は尋常でなく、ますます手が込んできた。何度聞いても理由を言ってくれない。

2010年「yahoo!知恵袋の伝説の投稿」が元ネタだそうです。
思わず「うそ〜!」と思ったのは私だけではないはず。いったいどういうことなのか?と映画を興味津々で観てしまいました。ごくふつーの夫じゅんを安田顕さん。予測不能な可愛い妻ちえを榮倉奈々さん。とても似合いの2人でした。
美男美女の佐野夫妻や、ちえの父親、バイト先の店主を脇に配して、愛すべき夫婦の小さなできごとを描きます。さてどういうことだったのかは、劇場でお確かめください。ちえがじゅんに語りかけるあるセリフ、偶然同じ日に観た別の試写でも出てきたんです。その日観た映画が「何かで繋がる」ことはよくあるのですが、これにはかなり驚きました。大事なキーワードですよ。(白)


2018年/日本/カラー/ビスタ/115分
配給:KADOKAWA
(C)2018「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」製作委員会
http://tsumafuri.jp/
★2018年6月8日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 23:25| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オンネリとアンネリのおうち(原題:Onneli ja Anneli)

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監督:サーラ・カンテル
原作:マリヤッタ・クレンニエミ「オンネリとアンネリのおうち」(1985年/福音館書店刊)
脚本:サーラ・カンテル
音楽:アンナ・マリ・カハラ
出演:アーバ・メリカント(オンネリ)、リリャ・レフト(アンネリ)、エイヤ・アフボ(バラの木夫人)、ヤッコ・サアリルアマ(リキネン)、ヨハンナ・アフ・シュルテン(ウメ・ボーシュ)

仲良しのオンネリとアンネリはいつも一緒。オンネリは9人きょうだいで、ちいさな家におしあいへしあいして暮らしている。一人っ子のアンネリは、お父さんとお母さんが離婚して両方の家を行ったりきたり。
ある日、バラ通りで封筒を拾い、警察に届けにいくと、封筒にはたくさんのお金と「正直者にあげます」という手紙が入っていた。2人はそのお金でバラの木夫人から水色のおうちを買うことになった。まるで2人を待っていたかのように、おうちの中には2人にピッタリの洋服やオモチャや家具が揃っていた。

フィンランドで大人気の同名の児童文学作品の映画化。この年頃の子どもたちが、指をくわえて羨ましくなるような夢や憧れがいっぱい詰まったお話です。もう50年以上も読み継がれています。
忙しすぎる大人が、少しも2人を気にせずにいる間に、オンネリとアンネリは2人だけのおうちを手に入れます。この衣装や美術を担当した方々はさぞ楽しかったことでしょう。自分が夢見たものを現実化していくことができるんですもん。私もやりた〜い。
2人の家族は娘たちに無関心でしたが、不思議なバラの木夫人、魔法が使えるお隣のおばさん姉妹に出会います。いいことづくめのような始まりですが、ちゃあんと事件が起きました。でもご近所の協力を得てみごとに解決できました。本国では大ヒットシリーズとなって、サーラ・カンテル監督は今4作目を準備中だそうです。この続きが早く観たいですね。
図書館には「オンネリとアンネリのおうち」(1966年)「オンネリとアンネリのふゆ」(1968年)の2冊がありました。挿絵も可愛いです。(白)


2014年/フィンランド/カラー/ビスタ/80分
配給:アットエンタテインメント
(C)Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.
http://www.onnelianneli.com/
★2018年6月9日(土)よりロードショー
posted by shiraishi at 22:47| Comment(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月03日

ラヤルの三千夜  原題:3000 Nights

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監督:メイ・マスリ
出演:マイサ・アブドゥ・エルハディ、ナディーラ・オムラン、ラキーン・サード

ヨルダン川西岸の町ナーブルスに住むパレスチナ女性の教師ラヤル。たまたま車に乗せた青年がテロの容疑者だったことから逮捕され、懲役8年(3000日)を言い渡される。刑務所ではパレスチナ人の政治犯とイスラエル人の犯罪者たちが混在し、いがみ合っていた。
妊娠していたラヤルは、刑務所内で出産。ヌール(光)と名付けられた男の子は、閉塞感漂う刑務所の中で、皆の希望となった。しかし、2歳になると母親から引き離す規定があり、ヌールは父親のもとに送られる・・・

今年3月に開催された「イスラーム映画祭3」で、オープニング上映されたパレスチナ女性メイ・マスリ監督の作品。
米大使館のエルサレム移転に対するガザでのデモにイスラエル軍が発砲した件に抗議の意を示すとともに、パレスチナに連帯を示すべく、イスラーム映画祭主宰の藤本高之さんがユーロスペースと相談し、1週間限定で緊急公開することになったもの。連日19時から1回のみの上映。

ラヤルは、裁判で、「青年に脅されたから乗せたのか?」と問われます。ラヤルはただただ好意で青年を乗せただけで、彼がテロ容疑者なのかどうかも知らなかったのに、「脅されてない」と答えた為、8年もの懲役刑! このような理不尽な例が数多くあることが伺えます。
そして、やっと刑務所から解放されて家族と一緒に暮らせることになっても、その場所自体がイスラエルに監視された大きな監獄。ユダヤ人の神様が約束した地を取り戻したいという欲望は、いつまで続くのでしょう。ナチスから理不尽な目にあわされたからといって、復讐の矛先をパレスチナに向けていいはずがありません。平和共存の実現する日がますます遠のくのを感じる情勢を憂います。(咲)


◆朝日新聞グローブ 「日本初公開『ラヤルの三千夜』、メイ・マスリ監督に聞く」
http://globe.asahi.com/worldoutlook/2018031200004.html

◆イスラーム映画祭3 3月17日(土)11時からの上映後トーク
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/459740074.html

2015年/パレスチナ=フランス=ヨルダン=レバノン=カタール=UAE/103分/アラビア語、ヘブライ語/DCP
主催:イスラーム映画祭
ユーロスペース公式サイト:http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000274
★2018年6月16日(土)から1週間、 渋谷ユーロスペースにて緊急公開





posted by sakiko at 20:37| Comment(0) | パレスチナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

馬の骨

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監督:桐生コウジ
脚本:桐生コウジ、坂ノ下博樹、杉原憲明
撮影:佐々木靖之
音楽:岡田拓郎
出演:小島藤子(桜本町ユカ)、深澤大河(垣内竜二)、しのへけい子(木田百合子)、信太昌之(室田)、黒田大輔(荻野)、大浦龍宇一(伊賀)、萩原健太(本人役)、石川浩司(本人役)、ベンガル(宮部郁雄)、桐生コウジ(熊田美津夫)

熊田美津夫は若いころイカ天に出場したことがある。バンドメンバーとプロを夢見た時期もあったが、今は土木作業員としてほそぼそと暮らしている。職場を首になり、所持金が残り少なくなったとき格安のシェアハウスを見つけた。
鷹揚な大家が案内した古い家にはキノコ狩りが趣味の宝部、アイドルのユカ、ヲタクな大学生の垣内がいた。職業を尋ねられて、つい見栄を張って「音楽関係」と答えてしまい、翌日から背広姿で現場に向かう羽目になってしまった。アイドルから脱皮したいユカは、音楽関係だという嘘を信じて、熊田に接近してくる。

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細身の桐生コウジ監督 試写会にて

「イカ天」は「三宅裕司のいかすバンド天国」の略。1989年2月から、1990年12月までTBSの深夜番組「平成名物TV」のコーナーの一つでした。ちょうど息子がギターを始めたり、友人の息子が出場したりして、私も何度か見た覚えがあります。BEGIN、たまを輩出した番組です。
桐生コウジ監督は自分の体験をもとに虚実ないまぜの本作を作り上げました。白装束に忌野清志郎風メイクで「六根清浄」を歌い上げています(動画サイトにも当時の動画ひとつ発見!)。アイドル歌手からシンガーソングライターを目指す、ユカ役の小島藤子さんは、役のためにギターを猛特訓。作品中、ライブほんとにやるの?大丈夫かな?と心配になりましたが、撮影と一緒に進歩したようです。過去から抜け切れない中年男子と、将来に夢を抱く女子の世代間のギャップが描かれますが、どこかほっこりするコメディです。
試写で監督にお目にかかったので、虚実の割合を伺ったら半々くらいだそうです。ご自身実際は「馬の骨」の解散後は俳優になり、北野映画などに出演。プロデュースも手がけ、この作品では主演・脚本・監督をこなしています。ライブシーンは老舗ライブハウス「新宿JAM」で行われましたが、2017年に閉館し取り壊されたので、ぎりぎり間に合ったのだそうです。「イカ天」審査員だった萩原健太さん、元たまメンバーだった石川浩司さんもライブシーンに本人役で登場しています。(白)


2017年/日本/カラー/シネスコ/91分
配給:オフィス桐生
(C)2018 オフィス桐生
http://umanohone-movie.com/
★2018年6月2日(土)テアトル新宿にてレイトショー
posted by shiraishi at 16:10| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする