監督:中田秀夫
原作:内館牧子
脚本:根本ノンジ
撮影:斉藤幸一
音楽:海田庄吾
出演:舘ひろし(田代壮介)、黒木瞳(田代千草)、広末涼子(浜田久里)、臼田あさ美(山崎道子)、今井翼(鈴木直人)、ベンガル(工藤元一)、清水ミチコ(山下正美)、温水洋一(山下良夫)、高畑淳子(桜田美雪)、岩崎加根子(田代ミネ)、渡辺哲(川上喜太郎)、田口トモロヲ(青山俊彦)、笹野高史(二宮勇)、野澤しおり(山崎麻衣)
大手銀行に勤め、出世間違いなしと目されていた田代壮介はライバルに負けて、子会社への出向を命じられた。そのまま本社に戻ることはなく、定年を迎えた。娘はすでに結婚し、美容師の妻・千草と2人の生活になったが、毎日仕事に出かける妻と違って、趣味を持たなかった壮介にはやることがない。家事もできず、帰宅した千草に向かって愚痴をこぼす毎日。長く勤め上げたことに感謝していた千草も、ついに耳を傾けてくれなくなってしまった。再就職先を探すも、高学歴と職歴が邪魔をしてなかなか決まらない。それでも、試しに行ってみたカルチャースクールで、受付をしている浜田久里と知り合ったことで明るい光がさす。スポーツジムで知り合ったIT企業家の鈴木直人には、仕事の話を持ちかけられて人生が再び輝くかと思われた。
ホラー映画の監督として知られる中田秀夫監督が原作にほれ込み、自ら企画して映画化した作品。素材は違うものの、映画の構成や俳優の生かし方など、そう変わりはないのかもしれません。舘ひろしさんがどんなにしょぼくれて見せても、カッコ良すぎる片鱗は残り、黒木瞳さんは娘と姉妹に見えるほど若々しく美しすぎます。だからといって、リアルそのままの夫婦などお金払ってまで見たくありません(それは鏡の中に)。そんな「わがままな映画ファン」にも、定年後をシミュレーションしてくれたことで、納得していただけるのではないでしょうか。
ちょうど何十年ぶりかの修学旅行(クラスの有志)の企画が持ち上がっていたところだったので、壮介の旧友たちのいろいろな生き方に自分たちの来し方・行く末を重ね合わせました。定年前に亡くなった知人も、うんと若くして無念の死を迎えた級友もいます。「定年は生前葬」と思えるまで生き延びたことを幸いと思って、この先の日々を大事にしましょう。一日もムダにできませんよ〜(と脅かす)。(白)
2018年/日本/カラー/シネスコ/125分
配給:東映
(C)2018「終わった人」製作委員会
http://www.owattahito.jp/
★2018年6月9日(土)ロードショー