2018年06月30日

映画チーズ・イン・ザ・トラップ   原題:Cheese in the Trap

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監督:キム・ジェヨン
出演:パク・ヘジン、オ・ヨンソ、パク・ギウン、ユ・イニョン、パク・サンダラ

バイトしながら大学に通う真面目で地味な女子大生ホン・ソル。そんな彼女が金持ちの息子でクールな美男子のユ・ジョン先輩と一緒に課題に取り組むことに。課題のために映画を観にいったり、食事をしたりするうち、「ソル、僕と付き合う?」というユ・ジョン先輩。
完璧すぎる彼が、なぜ私と? 何をたくらんでいるの?と、彼の本心がわからないソル。
一方、親を亡くし、姉イナと共にユ・ジョンの家で育ったイノという年下の男子もソルに近づいてくる・・・

韓国で累計再生回数11億ビューを記録した大人気ウェブ漫画「チーズ・イン・ザ・トラップ」。2016年に放映されたテレビドラマに続いて、映画化されました。
16回続いたドラマが、約2時間の映画に。 いろいろなエピソードは削られているし、結末も違うけれど、なかなかうまくまとまっていて、物語としてはどちらも好き♪
一番の違いは配役。ドラマと映画、どちらもユ・ジョン先輩を演じたのはパク・ヘジンですが、彼以外は演じた俳優さんが違います。
ドラマでホン・ソルを演じたキム・ゴウンは、目が一重で、ほんとに真面目な女子大生という雰囲気。どうして、こんなに地味な女の子が、素敵なユ・ジョン先輩と?と思わずにいられませんでした。その意外な組み合わせは、平凡な女の子に夢を持たせてあげるためかなとも思いました。
それに対して、映画でホン・ソルを演じたオ・ヨンソは、それなりに可愛くて綺麗。でも、あまり勉強が出来そうには見えない!(ヨンソさん、ごめんなさい!)  原作のウェブ漫画のホン・ソルは、映画版のオ・ヨンソの方がルックス的には近いです。
ユ・ジョンの家で育ったイノは、天才ピアニストの誉れが高かったのですが、挫折して、大学にも進学してない、ちょっと屈折した男の子。ドラマ版では、ホン・ソルが図書館で彼に丁寧に勉強を教える場面がよく出てきました。イノを演じたソ・ガンジュンがはまり役で、まさに子犬のようなイメージで可愛かったです。映画版では、イノとのエピソードはかなり削られて、イノの印象も薄いです。
そして、イノと一緒にユ・ジョン先輩の家で育った我が儘いっぱいの強烈な性格の姉イナも、映画版では出番も少なめ。ドラマと比べると、物足りない感じはしますが、映画は、ホン・ソルとユ・ジョン先輩の関係を中心に描いて、すっきりまとまっています。(咲)


テレビと映画の両方で、謎めいたクールなユ・ジョン先輩を演じたパク・ヘジンが公開を前に来日。プレミア上映で、舞台挨拶に登壇しました。
『映画チーズ・イン・ザ・トラップ』 主演パク・ヘジン舞台挨拶
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/459913547.html

2018年/韓国/116分 .
配給:クロックワークス
公式サイト:http://klockworx-asia.com/cheese/
★2018年7月14日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋にてロードショー




posted by sakiko at 17:48| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クレアのカメラ   英題:Claire's Camera

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監督・脚本:ホン・サンス
出演:キム・ミニ、イザベル・ユペール、チャン・ミヒ

映画会社に入社して5年、マニ(キム・ミニ)はカンヌ国際映画祭に出張中だ。まだ会期も終わってないのに、女社長(チャン・ミヒ)から突然解雇されてしまう。帰国便を変更することもできず、ゲストハウスで過ごすことにする。
カンヌ映画祭に初めてやってきた音楽教師のフランス人クレア(イザベル・ユペール)。趣味はカメラ。自分が撮った相手は別人になるという自説を持っている。
クレアは韓国のソ監督(チョン・ジニョン)と知り合い、映画会社の女社長と3人で食事する。クレアは二人を写真に収める。クレアが先に店を出ていくと、ソ監督は、女社長に男女の関係を精算したいと告げる。実は、女社長は、ソ監督にマニとの関係を責めたいのをぐっと我慢していたのだ。
一方、クレアと知り合ったマニは、クレアの撮った写真の中にソ監督と女社長のツーショットを見つけ、解雇の理由に思い当たる・・・

本作は、2016年のカンヌ映画祭開催中に撮影されたもの。イザベル・ユペールはポール・ヴァーホーヴェン監督作『エル ELLE』、キム・ミニはパク・チャヌク監督作『お嬢さん』がコンペティション部門に出品され、カンヌに来ていて、その機会を利用してわずか数日で撮影。
カンヌ映画祭開催中の映画人や映画ファンで賑わうカンヌの町の雰囲気が伝わってくる作品。ホン・サンス監督お気に入りの役者たちが揃ったのを、ちゃっかり利用しての撮影。
町を徘徊したり、男女の会話で物語が進むホン・サンスのスタイル。
カンヌ映画祭に集う人たちが、映画上映や映画祭イベント以外の場で、どんな風に過ごしているのかも垣間見せてくれて楽しい。(咲)


第70回カンヌ 国際映画祭 アウト・オブコンペティショ出品

2017年/韓国/69分/ビスタ/5.1ch/カラー
配給:クレストインターナショナル
公式サイト:http://crest-inter.co.jp/sorekara/crea/
★2018年7月14 日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次ロードショー





posted by sakiko at 17:26| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月28日

名前

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監督:戸田彬弘
原案:道尾秀介
脚本:守口悠介
撮影:根岸憲一
音楽:茂野雅道
出演:津田寛治(中村正男)、駒井蓮(葉山笑子)、勧修寺保都(榎本翔矢)、松本穂香(小幡理帆)、内田理央(高野結衣)、池田良(門孝一)、木嶋のりこ(亜未)、金澤美穂(河西遥香)、波岡一喜(森本)、川瀬陽太(野口)、田村泰二郎(槙田)、西山繭子(葉山眞由美)、筒井真理子(香苗)

中村正男は経営していた会社が倒産し、妻とも離婚。茨城のある街に移って来た。本名を隠し、周囲には偽名と嘘の経歴をでっちあげ、何の目的もない自堕落な暮らしを送っている。ある日勤め先で嘘がばれそうになったとき、正男を「お父さん」と呼ぶ女子高生が現われてことなきを得る。笑子と名乗るその女子高生は正男の家を煩雑に訪れ、いつしか正男もこの生活に心休まるものを感じ始めていた。笑子が正男を実の父だと思っていることに気づいた正男は、嘘だらけの自分の人生に向き合うことになる。

津田寛治さんは、小劇場の役者から北野武監督『ソナチネ』(1993)で映画初出演。以来数多くの作品に登場してきた、どんな役柄もはまる俳優さんです。この作品では、相手によっていろいろな名前と顔を使い分けている正体不明の男。演技について戸田彬弘監督に尋ねたところ、「演じないでください」との返答だったというのが面白いです。様々なシチュエーションでの相手役に反応していったということでしょうか。
ベテランの津田さんとW主演をつとめたのが、孤独な女子高生・笑子役の駒井蓮さん。まっすぐな眼差しが印象的で、自堕落に暮らしていた正男の部屋をてきぱきと片付け、こういう子が娘だったら父親は嬉しいだろうな、という雰囲気があります。笑子は父を知らずに育っていて、正男と出会ってから学校生活も少し変わります。たぶん少しだけ欠けていた心のどこかが埋まったのでは、と想像しました。
名前は自分を認証してもらうための記号であり、入れ物でもあります。東京ならまだしも、地方の小さな街で複数の名前を持つことに不安はなかったのかな、というのが少し疑問でした。主題歌「光」を歌うDENは、原案の道尾秀介さんと谷本腎一郎さんのユニットです。(白)


2018年/日本/カラー/ビスタ/114分
配給:アルゴ・ピクチャーズ
(C)2018 映画「名前」製作委員会
https://namae-movie.com/
★2018年6月30日(土)新宿シネマ・カリテほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 22:11| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アメリカン・アサシン

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監督:マイケル・クエスタ
原作:ヴィンス・フリン
脚本:スティーヴン・シフ
撮影:エンリケ・シャディアック、マイケル・フィンチ
音楽:スティーヴン・プライス
出演:ディラン・オブライエン(ミッチ・ラップ)、マイケル・キートン(スタン・ハーリー)、サナ・レイサン(アイリーン・ケネディ)、デヴィッド・スーシェ(スタンスフィールド)、テイラー・キッチュ(ゴースト)

スペインのイビサ島でバカンスを過ごしているミッチ・ラップ、恋人のカトリーナにプロポーズを受けてもらったばかりで幸せの絶頂にあった。飲み物を取りに彼女から離れたとき、武装した集団が観光客を無差別に銃撃する。カトリーナも銃弾を受け、かけつけたミッチの腕の中で絶命する。復讐に燃えたミッチは、無差別テロの首謀者に近づくためにアラビア語を学び、銃撃や格闘技の訓練をしていた。長い時間をかけて過激派の組織に潜入しようとしたミッチは、同時に自分もCIAの監視下にあったことを知る。ミッチの才能を見込んだCIAは、極秘ミッションを遂行するチームに取り込もうとする。ミッチは元ネイビーシールズの鬼教官スタン・ハーリーが指導する工作員の養成プログラムの特訓を受けることになった。

本作はヴィンス・フリンのベストセラー“ミッチ・ラップシリーズ”のうち、後半に書かれていますが、時系列では最初の部分。ミッチ・ラップが暗殺者になったきっかけを描いています。私怨から過激派組織を狙ううちに、CIAにスカウトされるという、男子大好きそうなストーリー。それも『メイズ・ランナー』3作に主演し(第3弾公開中)、ハリウッドで認められた若手ディラン・オブライエンと初代バードマンのマイケル・キートンが、危ないくらい熱い青年役と冷徹な教官役で火花を散らします。ストーリーはミッチの復讐に留まらず、あれあれというまに大きく拡がっていくのですが、身体を張ったスタントとめまぐるしいアクションに見ほれているうち、突っ込むのも忘れました。さすがにあの爆発だけでことが済むとは思えませんが。ディランが終始髭面なのがちょっと残念。原作者は惜しくも40代で亡くなられましたが、シリーズはまだまだあるので、この先も期待しています。(白)

2017年/アメリカ/カラー/シネスコ/112分
配給:キノフィルムズ
(c)2018 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.
http://american-assassin.jp/
★2018年6月29日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 12:35| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月26日

MANDALAY STAR -ミャンマー民族音楽への旅-

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監督・音楽・プロデューサー:川端 潤
取材・撮影:万琳はるえ
翻訳:井上さゆり 他
字幕:皆川 秀

ミャンマーはインドシナ半島西部にあるバングラデッシュ、インド、中国、ラオス、タイの5カ国に囲まれた多民族国家。
主要な民族は8つあり、少数民族も入れると135部族にもなり、そのうちビルマ族が70%を占める。国土は日本の約1,8倍、人口は半分ほど。
第1作『Beauty of Tradition ミャンマー民族音楽への旅』(2015/ドキュメンタリー)で手に入らなかったサインワインの外枠を求めて、ヤンゴンから北上したミャンマー第2の都市マンダレーへ向かう。装飾を施した外枠を作る工房を訪ね歩くうち、サインワイン楽団の一家に巡り会う。ピューという女の子が中心になり、年間200日ほどあちらこちらへと旅をする旅回りの一座だった。彼らは伝統楽器に現代の楽器を取り入れ、伝統的な音楽に加えポップスやロックなども幅広く演奏している。川端監督は一座に密着して撮影を続けることにした。
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川端潤監督は写真家、作曲家、映画プロデューサーでもあります。2015年に発表した前作では、ヤンゴン芸術文化大学の先生達を中心に正統派の伝統音楽を録音。11グループから100曲をレコーディングしています。演奏の中心となるサインワインは、大きな木枠の中に音階のあるタイコが21個ぶらさがるミャンマー特有の楽器です。演奏者は中央に座って両手で叩きます。
前作で初めてこの楽器を知り、その不思議な形と音色に魅了されました。続編となる本作は一座に伴って、各地の寄進祭などで演奏する彼らの暮らしを撮影しています。村人がテントに集まり、演奏や歌、コメディアンによるコントなどを楽しむようすが一昔前の日本のようです。ピューさんは可愛らしいだけでなく、父親から受け継いだ歌と一座を守り、率いていく気概と芯の強さも持ち合わせていました。

ミャンマーと聞いて、思い起こすのは旧国名のビルマ、アウンサンスーチー女史が軟禁から解放、ロヒンギャ問題でしょうか。最近では、4月に公開されたスピルバーグ監督の新作『レディ・プレイヤー1』の日本人トシロウ役に抜擢された森崎ウィンさんがミャンマー出身で、一躍「ミャンマー」が注目されたのではと思います。6月30日(土)、7月1日(日)は東京・芝の増上寺でミャンマー祭りが開催予定。(白)


2018年/日本/カラー/92分
製作・配給・宣伝:株式会社プロジェクトラム / エアプレーンレーベル
(C)株式会社プロジェクトラム
http://www.airplanelabel.com/mandalaystar/index.html
★2018年6月30日(土)〜7月13日(金)ポレポレ東中野にてレイトショー
posted by shiraishi at 23:47| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする