2018年05月13日

いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち  原題:Smetto quando voglio - Masterclass

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監督・原案・脚本けシドニー・シビリア
出演:エドアルド・レオ(『おとなの事情』)、ルイジ・ロ・カーショ(『夜よ、こんにちは』、『人間の値打ち』)、ステファノ・フレージ、グレタ・スカラーノ、ヴァレリア・ソラリーノ

神経生物学者のピエトロ・ズィンニ(エドアルド・レオ)は、研究者仲間と合法ドラッグを製造してひと儲けしようとするも逮捕され収監されていた。一方、新型ドラッグが蔓延して、摘発に苦慮していたパオラ・コレッティ警部(グレタ・スカラノ)は、研究者たちに犯罪履歴を帳消しにする代わりに、捜査に協力してほしいと持ちかける。
ピエトロは合法ドラッグの研究者仲間を再結集。さらに、国外に頭脳流出していた研究者3人を呼び寄せ、総勢10人で30種類のスマートドラッグ撲滅に向けて奔走する・・・

本作は、『いつだってやめられる 7 人の危ない教授たち』(2014年)の続編。
2009年にギリシャで始まった欧州危機がイタリアにもおよび、大学研究者たちも収入をカットされたり、職を失ったりする者が続出。前作は、研究者たちが結集して、その才能を活かして合法ドラッグを開発するも逮捕されてしまったという物語。
続編である本作は、収監されている場面から始まります。
監督は、最初から『いつだってやめられる』3部作を考えていたとのことで、この10人は完結編では何をしでかしてくれるのでしょう・

それにしても、これがイタリアらしい風刺コメディ? 笑いのツボが、日本人とはどうも違うような気がします。
マグレブ人は騒がしい、アラブ人は数字に強い、アルバニア人と騒ぎを起こせば、また収監される・・・などなど、イタリアの刑務所も国際色豊かなのが垣間見られます。
研究者仲間を集結させるのにあたって、あいつはトルコとシリア国境での紛争鎮圧に参加しているに違いないなんて言葉も。社会問題も、ちらりと盛り込んでます。(咲)


イタリア映画祭2017出品作品

2017年/イタリア/イタリア語/119分/シネスコ/カラー
配給:シンカ
公式サイト:http://www.synca.jp/itsudatte/
★2018年5月26日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー








posted by sakiko at 21:57| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『29歳問題』  原題『29+1』(香港)

2018年5月19日(土)、ロードショー! YEBISU GARDEN CINEMA他.

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(c) 2017 China 3D Digital Entertainment Limited

監督・脚本 彭秀慧(キーレン・パン)
撮影ジェイソン・クワン
音楽アラン・ウォン、ジャネット・ユン
挿入歌:レスリー・チャン、レオン・ライ、ビヨンドほか
出演 
クリスティ役   周秀娜(クリッシー・チャウ)
ウォン・ティンロ 鄭欣宜(ジョイス・チェン) 
チョン・ホンミン  蔡瀚億(ベビージョン・チョイ)
ヨン・チーホウ   楊尚斌(ベン・ヨン)
エレイン   金燕玲 (エレイン・チン) 
家主   林海峰 (ジャン・ラム)
タクシー運転手  葛民輝 (エリック・コット)
レコード店店主 鄭丹瑞 (ローレンス・チェン)

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(c) 2017 China 3D Digital Entertainment Limited
 
1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える女性の心の葛藤がテーマ。
1975年生まれのクリスティ(クリッシー・チャウ)は、おしゃれな一人暮らしを楽しんでいるように見えるけど、30歳の大台に乗ったら女は終わりと焦っていた。しかし、仕事は順調。突然の抜擢で責任ある仕事を任され、ストレスが増大する。長年付き合っていた彼とは、忙しさの中、歯車が噛み合わなくなってしまい別れてしまった。先行き不安な時に認知症の父親が急逝。更に会社を結局やめることに。そして、雨漏りのひどいアパートで文句を言ったら、突然アパートを追い出されるはめに。
さんざんな目にあったけど、大家の甥の友人であるティンロ(ジョイス・チェン)がパリ旅行で不在の間、彼女の家に1ヶ月住まわせてもらうことに。ティンロがパリに1ヶ月旅行する間「部屋代が旅行費の足しになれば」と貸してもらったのだ。彼女の部屋は、壁にエッフェル塔を形どりたくさんの写真を貼り、80年代のレコードがたくさんあった。レコード店に勤めるティンロが収集したものだった。この部屋で「自伝」と称された彼女の日記をみつけ読み始める。そして、ティンロが偶然、自分と同じ誕生日だとわかり、自分と彼女を重ね合わせていく。クリスティは短気で怒りんぼう。なんでもせかせかしないと気がすまない。ティンロはふんわかしたのんびり屋でマイペースな人柄。正反対な性格なのに、日記を読んで、彼女の思いに共鳴する。

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(c) 2017 China 3D Digital Entertainment Limited

監督のキーレン・パンは舞台女優で、脚本や演技指導までこなす。初脚本はパン・ホーチョン監督の『イサベラ』。
本作はもともとキーレン・パン監督が演じていた芝居。主人公をキーレン・パン監督自身が一人二役で演じていた一人芝居を自身の手により映画化したもの。映画版では2人の役者が演じた。時代は10年くらい前を設定。
クリスティを演じるのは、香港の若手人気No.1のクリッシー・チャウ。ティンロを演じるのは香港芸能界のサラブレッド、ジョイス・チェン(沈殿霞/リディア・サムと鄭少秋/アダム・チェンの娘)。舞台演劇的な作りと、映画だからこそできる映像のミックスを楽しめる。
去年(2017)3月に開催された「大阪アジアン映画祭」で観客賞を受賞。
2018年4月15日に行われた第37回香港電影金像獎で、最優秀新人監督賞を受賞。

1980年代から90年代の香港芸能界の出来事や、主人公のティンロがTVで放映されたレスリーの「日落巴黎(夕暮れのパリ?)」で夢見たパリへ行ったり、そして最後、エッフェル塔の下でクリスティとティンロが二人で歩いていくシーン(夢?)には、レスリー・チャンの「由零開始(0から始めよう)」がフルバージョンで流れる。また、亡くなった香港歌手へのオマージュがあったり(張国栄、陳百強、黄家駒の話題)と、香港芸能にハマっている人にとっては親しい話題が含まれていたのでシンパシーを感じると思います。地下鉄のシーンではBYONDの黄家駒が歌う「早班火車」が流れ、日本のTVのバラエティ番組内での事故で亡くなった彼をそっと偲びました。
友人の誕生日に送られた『花様年華』のポスターネタも伏線だったし、二人が知らぬ間に出会っていたというのがだんだんにわかってくるシーンの作りもうまいと思いました。
 レスリーの話題が多かったので、監督はレスリーのファンかと思ったのですが、大家さん(林海峰/ジャン・ラム)とタクシー運転手(葛民輝/エリック・コット)を演じていたラップコンビ軟硬天師のファンだそうです。エッフェル塔のシーンで「由零開始」がフルバージョンで流れるので、レスリーファンは感涙もの。また、監督は香港の映画界も、ミュージックシーンも一番輝いていた時代に育ったんだなと思います。 そういうところが香港芸能ファンには嬉しいところではありますが、30歳を目前にした女性の揺れる心というのは万国共通。それがうまく表現されていました。最近、日本でもTV(NHK「デイジー・ラック」)や映画(『見栄を張る』)で、30歳を目前にした女性たちの真情を描いた作品がありました(暁)。

5月11日に発行されたシネマジャーナル101号にキーレン・パン監督インタビュー記事が掲載されています。
またシネマジャーナルHPでもキーレン・パン監督インタビュー記事を見ることができます。
http://www.cinemajournal.net/special/2017/aichi/index03.html

●『29+1』キーレン・パン監督.jpg
キーレン・パン監督(大阪アジアン映画祭2017にて)
公式HP:29saimondai.com
2017年/香港/広東語/111分/字幕翻訳:鈴木真理子
配給 ザジフィルムズ、ポリゴンマジック
posted by akemi at 20:43| Comment(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

海を駆ける

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監督・脚本・編集:深田晃司(『淵に立つ』)
出演者:ディーン・フジオカ、太賀、阿部純子、アディパティ・ドルケン、セカール・サリ、鶴田真由

インドネシア、一番西の端の町バンダ・アチェ。
海から男がやってきて、波打ち際に倒れる。
その日、NPO法人で災害復興の仕事をしている貴子は、息子タカシの同級生クリスと、その幼馴染でジャーナリスト志望のイルマから取材を受けていた。身元不明の日本人らしき男が海辺で発見されたので、至急来て欲しいと連絡が入る。折りしも、日本からやって来る親戚のサチコは、息子のタカシたちに空港に迎えに行かせる。
貴子は、記憶を失っている男の身元捜しをする間、家で預ることになる。海辺で発見された男に、インドネシア語で海という意味の「ラウ」と名付ける。いつも静かに微笑んでいるラウ。イルマは、ラウが起こした不可思議なマジックのような現象を動画に撮り、スクープとして取り上げて貰おうとする・・・

2004年12月26日に起こったインド洋津波。アチェ州では17万3000人が犠牲になった。アチェ州では、30年にわたってインドネシア政府からの独立を目指して内戦状態が続いていたが、津波をきっかけに独立運動は終結。内戦と津波の二つの災いからの復興の道を歩んでいる。
深田監督は、2011年12月、京都大学とアチェのシアクアラ大学が共同で開催した津波と防災のシンポジウムの撮影を依頼され、バンダ・アチェを訪れる。インドネシア自体が始めての訪問だった。津波で家族が亡くなったのも神様が望んだことという運転手。日本の津波被災者とは違う捉え方に、価値観の違いをずっしり感じたという。帰路には、アチェで映画を撮りたいと思い始めていたところ、縁あってアチェで映画を撮ることになり、脚本を執筆。全編、アチェで撮影している。

ジャーナリスト志望の女性イルマは、元々裕福な家庭で育ったが、津波で家を流され、津波で足を悪くした父親と共に復興住宅で暮らしている。大学に行くのも諦め、自力でジャーナリストとなるべく頑張っているという設定。ラウという男の起こす摩訶不思議な現象を映像に捉えて、スクープとして発信しようとしたのに、まんまとプロのジャーナリストに横取りされてしまいます。イルマは、髪の毛もきっちり隠したムスリマ。幼馴染で大好きなクリスから告白されたのに、宗教の違いから振ったという過去がある。そのクリスは、日本から来たサチコに惚れて、タカシから日本語での殺し文句を教えてもらうのですが撃沈・・・ という場面も。
青春群像劇が繰り広げられる中、ディーン・フジオカが、言葉少ない謎の男を存在感たっぷりに演じている。

先日、深田監督のお話を伺う機会があり、その中で印象的だったのが、インドネシア特有のスタッフの話。撮影費用が膨れ上がったので、なんとか減らせないかと、目をつけたのが、rain stopper。ところが、インドネシア側からは、これは外せないと進言されたそうだ。確かに、雨が降りそうな空模様の時に、彼が祈祷すると撮影中に雨は降らなかったとか。
エンドロールに、ちゃんと二人、お名前が載っているのを確認! (咲)


2018年/日本・フランス・インドネシア/107分/5.1ch/ヨーロピアンビスタ/カラー/デジタル
配給:日活 東京テアトル
公式サイト:http://umikake.jp
★2018年5月26日(土)テアトル新宿、有楽町スバル座ほか全国ロードショー






posted by sakiko at 19:12| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ランペイジ 巨獣大乱闘(原題:Rampage)

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監督:ブラッド・ペイトン
脚本:ライアン・イングル
撮影:ジャロン・プレサント
音楽:アンドリュー・ロッキングトン
出演:ドウェイン・ジョンソン(デイヴィス・オコイエ)、ナオミ・ハリス(キト・コードウェル博士)、ジェフリー・ディーン・モーガン(ラッセル捜査官)、マリン・アッカーマン、ジェイク・レイシー、ジョー・マンガニエロ

霊長類学者デイヴィスが親代わりとなって育てた白いゴリラ、ジョージに異変が起こった。具合が悪そうにしていたかと思うと、みるみるうちに巨大化し、心優しかったジョージが凶暴な顔を見せたのだった。檻を破って脱走したジョージはどこかへ向かっている。そして、森の中、水中と別の生きものが巨大化していた。陸海空を統べる軍隊が制圧に乗り出したが、巨大化とともに能力も増大している猛獣には歯が立たない。遺伝子を研究していたキト・コードウェル博士が、その原因をディヴィスに告げる。破壊の限りを尽くす巨大化した猛獣を止めるすべはあるのか?

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』でロック様ことドウェイン・ジョンソンを観たばかりですが、本作では制作総指揮もかねています。でかくなった動物が暴れまわるパニック映画? え〜(ちょっとイヤ)! だけどロック様が出るんなら観に行こうっと(実はファン)、と出かけた試写会。不覚にも涙しましたよ。はい。白ゴリラのジョージの表情とそのキャラがものすごく良いのです。デイヴィス博士との手話で会話できるほどの知能もあります。これを観たら、手話を覚えたくなりました。この人間とゴリラの間に流れる愛情に泣けます。女子もぜひ。
ブラッド・ペイトン監督は『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』(2012)、『カリフォルニア・ダウン』(2015)につぎ、ドウェイン・ジョンソンとの3度目のコラボレーションを果たしました。これも大ヒットの予感。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/107分/2D、3D
配給:ワーナー・ブラザース
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
http://wwws.warnerbros.co.jp/rampagemovie/
★2018年5月18日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 17:09| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ピーターラビット(原題:Peter Rabbit)

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監督:ウィル・グラック『ANNIE/アニー』
原作:ビアトリクス・ポター
脚本:ロブ・ライバー、ウィル・グラック
撮影:ピーター・メンジース・Jr.
音楽:ドミニク・ルイス
出演:ローズ・バーン(ビア、声:あひるのジマイマ、パドルダック)
ドーナル・グリーソン(トーマス・マクレガー、声:かえるのジェレミー・フィッシャーどん)
サム・ニール(マクレガーおじさん)
デイジー・リドリー(カトンテール声)
エリザベス・デビッキ(モブシー声)
マーゴット・ロビー(フロプシー声)
ジェームズ・コーデン(ピーターラビット声)

ウサギのピーターはたくさんの仲間と楽しく暮らしている。両親はなくなってしまったけれど、大親友の画家ビアがいる。けれどもマグレガーおじさんの後にロンドンからやってきた若いマクレガーは、動物嫌いで潔癖症。畑に入ったピーターはさっそく追い掛け回された。おまけにマクレガーはピーターの大事なビアが気になるらしい。あんなヤツにビアを取られたくないっ!これまでの幸せを守るために、ピーターは立ち上がった。小さくても動物でもできることはある!ってね。

ビアトリクス・ポターが子どものために描いた小さな絵本「ピーターラビット」シリーズは日本でも福音館書店から発行されて、我が家にも5,6冊あります。本作は実写と3DCGアニメの融合作品で、ふわふわモフモフの動物の毛も再現されています。どうやって作っているのでしょう。メイキングが見たいものです。舞台は原作者のポターが愛してやまなかった湖水地方。目の前に広がる絵本の世界にひたり、ビアの住居の可愛らしい調度品や描きあげられた絵にもご注目ください。
レニー・ゼルウィガーがポターを演じた伝記映画『ミス・ポター』(2006年)も未見の方はぜひどうぞ。(白)


2018年/オーストラリア、アメリカ、イギリス合作/カラー/シネスコ/95分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
http://www.peterrabbit-movie.jp/

★2018年5月18日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 16:36| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする