2018年04月08日

女は二度決断する    原題, Aus dem Nichts.  英題:IN THE FADE

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監督:ファティ・アキン(『そして、私たちは愛に帰る』『消えた声が、その名を呼ぶ』『50年後のボクたちは』)
出演:ダイアン・クルーガー 、デニス・モシットー、ヨハネス・クリシュ、ヌーマン・エイカー、ウルリッヒ・トゥクール

ドイツ、ハンブルク。カティヤは麻薬売買で収監されていた恋人でトルコ系移民のヌーリの出所を迎えに行く。足を洗い真面目に働くと誓ったヌーリと結婚し、息子ロッコも生まれ、幸せな日々を送っていた。ある日、ヌーリに息子を預けるため事務所に立ち寄ったとき、店の前で新しい自転車に鍵もかけずにとめて立ち去ろうとする女性がいて、カティヤは思わず声をかける。が、気にせず立ち去る若い女。その日、店の前で爆弾が爆発し、ヌーリとロッコが犠牲になる。警察の捜査で、人種差別主義のドイツ人によるテロであることが判明する。容疑者が逮捕され裁判が始まる。カティヤが見かけた女性も一味だ。しかし、裁判では被害者である夫ヌーリが、移民二世であることや前科があることから、なかなか思うように進まない。あげく、証拠不十分で容疑者は無罪放免になってしまう。
真新しい自転車の上に置かれた荷物は爆弾だったと確信するカティヤ。愛する者を奪われ、絶望に暮れる彼女は、思い切った決断をくだす・・・

ファティ・アキン監督は、トルコ移民2世だが、ベルリン、カンヌ、ヴェネチア、世界三大国際映画祭すべてで主要賞受賞した、今やドイツを代表する名匠。
今回は移民ではなく、ドイツ女性をヒロインに据え、しかもそれをハリウッドで活躍するドイツ人女優ダイアン・クルーガーに演じさせている。
アキン監督は、ドイツ警察の戦後最大の失態と言われるネオナチによる連続テロ事件から本作を発想したという。初動捜査の見込み誤りから、10年以上も逮捕が遅れ、その間、犯人は殺人やテロ、強盗を繰り返したのだ。
戦後、多くの移民を受け入れてきたドイツだが、昨今の移民難民排斥の動きはドイツにも押し寄せている。そんな中で、これからも起こりかねないテロ事件。その犠牲になるのは、平穏に暮らしをしていた庶民。幸せを崩され、いつカティヤのような行動に出ることになるかわからない世の中。ファティ・アキン監督の憂いをずっしり感じた一作。(咲)


★第75回ゴールデングローブ賞 外国語映画賞ノミネート
★第90回アカデミー賞 外国語映画賞 ショートリスト
★第70回カンヌ国際映画祭 主演女優賞受賞!!

2017年/ドイツ/106分/ビターズ・エンド/DCP
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/ketsudan
★2018年4月14日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開



posted by sakiko at 10:32| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ラッカは静かに虐殺されている   原題:City of Ghosts

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監督・製作・撮影・編集:マシュー・ハイネマン(『カルテル・ランド』)
製作総指揮:アレックス・ギブニー(アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞『闇へ』監督)

様々な勢力が台頭し混迷を極めるシリア情勢。そんな中で、2014年6月、過激派「イスラム国」(IS ※注)がシリア北部の町ラッカを制圧し、首都と定める。女性たちは布ですっぽり身体を隠すよう強要され、厳しい解釈でのイスラームの規範のもと公開処刑が行われているらしいことが漏れ聴こえてくる。メディアが町に入ることもシャットアウトされ、ラッカで何が起こっているのか闇の中だ。死の恐怖と隣り合わせの惨状を国際社会に伝えようと、市民ジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)が秘密裡に結成される。スマホで撮った動画をSNSに投稿し、ラッカで何が起こっているかを発信、その惨状に世界は騒然となる。RBSSの活動に脅威を感じたISは、直ちにメンバーを割り出し、暗殺を実行していく。魔の手は、ドイツに逃れたメンバーにも忍び寄る・・・

※イスラム国の表記について (公式サイトより)
本編字幕における「イスラム国」の呼称に関して、シリア人が発言している部分は、初出の「ダーイシュ」にISとルビを振り、 以降はISとしています。これは、アラビア語圏ではISに敵対する立場から、アラビア語での組織名(Islamic State in Iraq and al-Sham)の頭字語をとった(ダーイシュ)という呼び名が定着しているためです。ダーイシュは、(ダーイス=踏みにじる者)や(ダーヒス=裏切り者)といった否定的な ニュアンスのある語に近い発音や綴りを有しています。また、 「イスラム国」自身の発言部分については、そのまま「イスラム国」としています。

そこで何が起こっているか、外部メディアが入れない場合、現地からの発信がない限り、ほんとうのことはわかりません。まさに命がけで実態を伝えようとするラッカの人たちの勇気に涙が出ました。人々の手に町が戻っても、町がかつての姿を取り戻すことは不可能なくらい破壊し尽されたことにも胸が痛みます。

実はラッカを訪れたことがあり、まさかこんなことでラッカの名前を聞くことになるとは思いもよりませんでした。私がラッカの町を訪れたのは、昭和63年9月。旅行中に昭和天皇が病に倒れられたので、訪れた時期を忘れることのないシリアの旅でのことです。どこの旅行会社のツアーにするか(といっても、3社位しか選択肢はなかったのですが)決め手になったのは、ラッカに泊まるからでした。古くはアッバース朝の宮殿があったところで、町の散策を楽しみにしていたのですが、宿泊はラッカではなく、デリゾールという別の町になり、がっかり。それでも、昼食を取りにラッカに寄ったので、町並みに興味津々。“かつて「ユーフラテス川の花嫁」と呼ばれるほど美しかった街”と、プレス資料にありますが、私の印象は、ただただ乾いた町。気温が50度近くありました。昼食後、ほんの少しレストランの周りを散策しましたが、これといった記憶が残念ながらありません。
ツアーは、ヨルダンに先に入り、その後陸路でシリアに入るという旅程だったのですが、ヨルダンの人々が明るかったのに比べ、シリアの人々は全般に暗いという印象を受けました。思えば、すでにその頃から独裁政治が人々の性格にも影を落としていたのかもしれません。シリアの人たちが平和に暮らせる日の早く来ることを切に願うばかりです。(咲)


2017年/アメリカ/92分/英語・アラビア語/1:2.35/5.1ch/DCP
配給:アップリンク
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/raqqa/
★2018年4月14日(土)よりアップリンク渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開






posted by sakiko at 09:29| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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