2018年04月22日

アンロック 陰謀のコード(Unlocked)

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監督:マイケル・アプテッド
脚本:ピーター・オブライエン
撮影:ジョージ・リッチモンド
音楽:スティーヴン・バートン
出演:ノオミ・ラパス(アリス・ラシーン)、オーランド・ブルーム(ジャック・オルコット)、マイケル・ダグラス(エリック・ラッシュ)、トニ・コレット(エミリー・ノウルズ)、ジョン・マルコビッチ(ボブ・ハンター)

ロンドンの地区センターの職員として働くアリス・ラシーン、実はCIAのエージェント。有能な女性審問官だったが、パリのテロ事件を阻止できず犠牲者を出してしまった。このことに責任を感じ、第一線から身を引いていたが、バイオテロ計画の容疑者の審問のために復帰せよと命じられる。重要な供述を得る寸前に、この任務が罠だったことが判明する。容疑者は殺され、アリスは英国とアメリカ両政府から犯人として追われるはめになってしまった。

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)のリスベット・サランデル役が強烈な印象を残したノオミ・ラパス。その後もアクション、サスペンスと姿を見てきましたが、本作は両方が楽しめるアクション&ミステリー。CIAの内部の裏切り者に陥れられ、自分の身を守りつつ、真犯人を探していきます。芸達者な俳優達が揃って、誰もがあやしく見えてしまいます。
オーランド・ブルームが妙な出会いから相棒となるジャック。『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(2001〜2003)からはや15年、いつまでも金髪のレゴラスではないのでした。98分という短い時間で刻々と変わる状況をスピーディに混乱なく伝えて、緊張感を失わせずラストへなだれ込みます。え、もう終わったの?!ですよ。(白)


2017年/イギリス/カラー/シネスコ/98分
配給:キノフィルムズ
(c)2017 UNLOCKED DISTRIBUTION LIMITED
http://unlock-movie.jp/
★2018年4月20日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 20:04| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月21日

君の名前で僕を呼んで   英題:CALL ME BY YOUR NAME

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監督:ルカ・グァダニーノ (『ミラノ、愛に生きる』)
脚色:ジェームズ・アイヴォリー(『日の名残り』)
挿入曲:「ミステリー・オブ・ラヴ」スフィアン・スティーヴンスほか
出演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール

1983年夏。17歳のエリオは、北イタリアにある母が相続した17世紀に建てられたヴィラで家族と共に過ごしている。アメリカの大学でギリシャ・ローマの美術史を教えている父のもとに、博士課程に在学中の24歳のオリヴァーがやって来る。父は研究を手伝ってくれるインターンを毎夏ヴィラに呼ぶのだ。「今年の彼は素敵ね」と、さっそく女性たちが品定めしている。エリオとオリヴァーは、共用バスで繋がった部屋で過ごすことになる。エリオはオリヴァーの「後で」という口癖が横柄に思えて、ちょっと意地悪をするが、自転車で一緒に町に出かけたりしているうちに、お互い惹かれあうようになる・・・

男どうしの恋というより、人が人に自然に惹かれていく様子が描かれていて、さっぱりとした後味。ティモシー・シャラメ演じるエリオが実に初々しくて、オリヴァーが恋するのもわかります。(可愛かったティモシーも、『レディ・バード』では、女の子を軽くあしらう、ちょっと生意気な男の子)
アーミー・ハマーは、本作ではちょっと大味な感じ。いかにもアメリカの青年! 最初に登場した時の胸元にダビデの星が光っていて、おっユダヤ人!と思ったら、実はエリオの家族もユダヤ系。「クリスマスも祝うよと」いうエリオですが、映画の後半では、ユダヤ教の祭ハヌカを祝う言葉が出てきます。やっぱりユダヤの伝統を守る家族なのでした。
あと、もう一つ、私の心に響いたのが、オリヴァーが到着した時に、父である教授が、ある言葉の語源を彼に確認する場面。アラビア語が語源と言いかけて、その前の、ギリシャからアラビア語経由と言い直すのです。(たぶん、そうだったと! このあたり、ちょっと記憶があいまいです) いずれにしても、教授が引っかけ問題として出したもの。オリヴァーは見事正解して、教授の信頼を得ます。
皆そろっての食卓では、英語(米語)の合間に、イタリア語やフランス語など、いろんな言語が飛び交って、語学オタクには楽しい作品。(咲)


2017年/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ/132分
配給ファントム・フィルム
公式サイト:http://cmbyn-movie.jp
★2018年4月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー




posted by sakiko at 22:05| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月15日

さすらいのレコード・コレクター 10セントの宝物 原題 Desperate Man Blues

劇場公開日 2018年4月21日 〜新宿K's cinemanにてロードショー 全国順次公開

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(C)Cube Media 2003

監督 エドワード・ギラン
製作 エドワード・ギラン
撮影 レイ・アーガル
音楽 ロバート・ジョンソン、チャーリー・パットン、サン・ハウス
カーター・ファミリー、ジミー・ロジャーズ
字幕:寺尾次郎 監修:ピーター・バラカン

キャスト
ジョー・バザード
スザンナ・アンダーソン
エディ・ディーン
バーバラ・ブラウン
ジョン・クーパー

さぁ、今日もゴキゲンな音楽を聞きながらレコード・ハンティングに出かけよう!

アメリカ、メリーランド州に暮らすレコード・コレクター、ジョー・バザード。自宅地下室に降りると、そこには壁一面に25000枚の78回転のSPレコードが。発売当時たった10セントで売られていたブルース、カントリー、ブルーグラスなどの貴重なレコードを集め、大事そうに一枚一枚プレイヤーにかけ聴いている。20世紀初頭、ラジオと並んで音楽が人々の手元で聴くことができるきっかけになったのはSPレコードの普及から。
P・P・M、ジョーン・バエズ、ボブ・ディランなどアメリカンフォークソングが世界中に広がっていった1960年代。その前の世代から活躍したウディ・ガスリーやピート・シーガー、ウィーバーズなども、トラディショナルなブルース、カントリー、ブルーグラスから歌を取り入れていった。
ジョー・バザードがハマっているのは、そんな原点の曲である「本物のアメリカン・ミュージック」のレコードを探し、救うことだった! そんなお宝を探して何十年。アメリカ中を捜し歩いてためたレコードコレクション。ロックもヒップホップも大嫌いなガンコなレコード・コレクターのもうひとつのアメリカン・ヒストリー。

監督は、『さすらいのレコードコレクター 10セントの宝物』で私が目指したのは「アメリカが生み出した最も重要な産物だと多くの人がみなしているもの」、そしてアメリカ音楽の源泉に対する関心の高まり、忘れ去られたこの音楽を救い出した一個人、それらについて観客に関心を持ってもらうことですと語っている。
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(C)Cube Media 2003

昔、よく聴いた古いアメリカのブルース、カントリー、ブルーグラスの曲がたくさん流れとても懐かしかった。そして聞き覚えのある人たちの名前もたくさん。映像を観ながら胸が高鳴った。
実は高校時代(1968年頃)フォークソングをやっていて、あの頃流行っていたアメリカンフォークの原点の音楽を探り、その集めた曲を自分たちで歌ったレコードを作りたいと活動していた。その活動は途中で挫折してしまったけど、その頃聴いたような曲がいっぱい流れていて、そんな曲のレコードを集めているコレクターがいるんだと嬉しくなった。でも「ロックやヒップホップは大嫌い」というのが気になった。かなり保守的な人なのかも。今のアメリカの音楽の原点は、彼が集めている音楽たちなのにと思った。(暁)

公式HP
原題 Desperate Man Blues
製作年 2003年
製作国 オーストラリア
配給 スリーピン
上映時間52分



posted by akemi at 20:53| Comment(0) | オーストラリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

タクシー運転手 約束は海を越えて    原題, A Taxi Driver

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監督:チャン・フン(『映画は映画だ』、『義兄弟〜SECRET REUNION』)
出演:ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジン、リュ・ジュンヨル

1980年5月、日本特派員として仕事をしていたドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターは、韓国・光州で事件が起こったことを知る。戒厳令下の厳しい言論統制で 何が起きているのか一切ニュースが入ってこない。ヒンツペーターは、躊躇なく韓国に飛ぶ。

ソウル。タクシー運転手のマンソプは、男手一つで子育てをしていて、滞っている家賃に頭を抱えていた。「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という話に飛びつき、英語もできないのにドイツ人記者を乗せて光州に向かう。
検問を切り抜けて、時間ぎりぎりに光州にたどり着く。マンソプは、早くお金を受け取りたいと、ソウルに戻ろうと促すが、取材する決意のかたいヒンツペーター。英語のできる大学生のジェシクや、地元光州のタクシー運転手ファンに道案内してもらうことになる。民主化運動に立ち上がった光州の市民が当局に弾圧されている様子を必死でカメラに収めるヒンツペーター。なんとかこのフィルムを世界に発信しなくてはならない。マンソプは地元のタクシー運転手たちと連携して、検問を潜り抜け、ソウルへと急ぐ・・・

韓国の誇る名優ソン・ガンホや、ユ・ヘジンの確かな演技に、重くなりがちな話題を軽やかに受け止めることのできた137分でした。
このヒンツペーターの取材で、世界は光州で何が起こっているかを知ることができました。
ヒンツペーターは、光州に自分を運んでくれた勇気あるタクシー運転手マンソプにお礼がしたいと、別れるときに貰った電話番号に連絡しますが繋がりませんでした。
映画の最後に、ヒンツペーター氏ご本人が、その後も見つけることのできなかった彼と会いたいと語る場面が出てきます。この映画がきっかけで再会できるといいなと思いましたが、ヒンツペーター氏は亡くなられてしまいました。

光州事件と聞いて思い出すのが、映画『光州5・18』(監督:キム・ジフン/2007年)です。
果敢に立ち向かう市民の姿が思い出されます。あらためて、内容を確認してみたら、光州のタクシー運転手カン・ミヌ(キム・サンギョン)が主人公でした。
「ミヌが働くタクシー会社の社長パク・フンス(アン・ソンギ)は、かつては空挺特別部隊予備役大佐であった。彼は、道庁の地下倉庫に保管されている大量の武器を手に、ミヌらと市民軍を編成、光州を死守することを誓いあう」とあらすじにありました。
『タクシー運転手 約束は海を越えて』では、ユ・ヘジンたちが演じている光州のタクシー運転手たちの活躍が描かれていたのだと、あらためて気が付きました。
勇気ある人たちによって、社会は変えられる。そして、そのことを身の危険も顧みず発信する人がいて、世界は真実を知ることができる。
今、混迷を極めるシリアの内情も、多くの勇気ある人たちによって、何が起こっているかが発信されていることに思いが至ります。(咲)


2017年/韓国/137分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:クロックワークス
公式サイト:http://klockworx-asia.com/taxi-driver/
★2018年4月21日(土)シネマート新宿ほか全国ロードショー




posted by sakiko at 10:48| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月14日

カーキ色の記憶   英題:A Memory in Khaki

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監督・シナリオ・編集:アルフォーズ・タンジュール

シリアの悲劇は2011年に始まったわけではない。
1980年代にアサド体制に反対した多くの若者が当局に追われ、国を去らざるを得なかった。監督の個人的な物語が、他の4人の語り手の物語と重なり合う。くすんだ軍服に象徴される沈黙や恐怖、戦慄の記憶。赤い風船に託されたと自由と抵抗。何故シリア社会が爆発し、革命が始まったのか、その背景に迫る。
過去を語りながら、未来を見すえるシリア人の物語。(公式サイトより)

国を出ざるを得なかったシリアの知識人、短編小説家、画家、通訳者、映画監督を通じて、1980年代以来、アサド独裁政権下のシリアで何が起こったかを検証した作品。
美しい映像と裏腹に、シリアの人たちの抱えている憂いはあまりにも深いと胸が痛みました。
『ラッカは静かに虐殺されている』の感想にも書きましたが、昭和63年(1988年)にツアーで、ヨルダンから陸路でシリアに入ったときに、ヨルダンの人々が明るかったのに比べ、シリアの人々は全般に暗いという印象を受けました。当時は考えがおよびませんでしたが、国の支配者の違いが人々の暮らしにも影を落とすのだと思い当たりました。
さらに混迷を極めるシリア。人々が平穏に幸せな暮らしを営める日の来ることを切に願います。

山形国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀賞を受賞した直後、10月13日に早稲田大学で開かれた上映会で監督のお話も伺いました。レポートを書きたいと思いながら、さぼってしまいました。この上映会後のトークで、聞き手を務められた岡崎弘樹氏(アラブ政治思想)が奔走して、公開が実現したとのことです。
岡崎氏より、「タルコフスキーに負けずとも劣らない素晴らしいものなので、是非多くの方に見ていただきたいと願っております」とのメッセージもいただいております。
ほんとに素晴らしい映像です。
また、字幕は山形で上映された版とは違い、アラビア語から訳し直した新字幕です。
ぜひ足をお運びください。(咲)


★シリア映画割¥900 (『ラッカは静かに虐殺されている』または『ラジオ・コバニ』の全国共通鑑賞券ご提示)

シネマジャーナル 山形国際ドキュメンタリー映画祭 報告
http://www.cinemajournal.net/special/2017/yamagata/index.html

カーキ色の記憶アルフォーズ・タンジュール.JPG
アルフォーズ・タンジュール監督 (撮影:宮崎暁美)

2016年/カタール/108分/アラビア語/BD
配給:アップリンク
公式サイト:http://www.memory-khaki.com/
★2018年4月14日(土)〜20日(金)アップリンク渋谷 
★2018年5月19日(土)〜 横浜シネマリン にて公開




posted by sakiko at 10:36| Comment(0) | 中東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする