2018年03月18日

ニワトリ★スター

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監督:かなた狼
原作:たなか雄一狼
脚本:いながききよたか、かなた狼
音楽:かなた狼
出演:井浦新(雨屋草太)、成田凌(星野楽人)、紗羅マリー(知花月海)、阿部亮平(爬部井学)、LiLiCo(管理人)、津田寛治(八田清)

2008年、東京の片隅の奇妙なアパートでだらだらと毎日を暮らす草太と楽人。30代半ばの草太は東京に出てきたときの気持ちなどはるか遠くへ行ってしまい、今や1階のバーのアルバイトと大麻の売り上げがたよりだ。20代の楽人(らくと)は真っ赤な髪に身体にはタトゥー、名前のとおり天真爛漫。草太を兄のように慕い、覚せい剤中毒のシングルマザー月海に恋している。風変わりな隣人たちとの毎日はそれなりに楽しかったが、ある日大麻の元締めである“組の方”に目を付けられてしまった。暴力思わぬ事件に巻き込まれる草太と楽人…。

一体何が起きるのだろうと目が丸くなる導入部。いまや現実がフィクションを越えてしまっているというかなた狼監督が、映画のコンプライアンスなど振り切って作りあげた初監督作品。過激な暴力場面はアニメに落とし込まれています。アニメーション監督は『ベルヴィル・ランデヴー』を手がけたアレクシー・ネチタイロ。
かなた監督とは10年前くらいに音楽を通じて知り合った井浦新さん、それ以来作品が出来上がるまでの過程をずっと観てきたそうです。そして約束どおりに草太として主演。
「この役は僕にしかできません!」と監督に猛アピールしたという成田凌さんは、奔放だけれど純粋な楽人を渾身で演じています。それがすごく可愛くてファンならずとも心わしづかみされるでしょう。この2人が様々な体験を経ていく道のりにいつか感情移入してしまいました。アパートの管理人役のLiLiCoさん、怖いヤクザの津田寛治さんに熱演賞。
生きているといろいろあるけれど、人間に大事なものはいつもシンプルで変わらない、とメッセージが伝わります。熱量MAXのこの作品、ジャンルはバイオレンス・ラブ・ファンタジー?!(白)


2017年/日本/カラー/シネスコ/135分
配給:マジックアワー
(C)映画「ニワトリ★スター」製作委員会
http://niwatoristar.com/
★2018年3月17日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 17:08| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神さまの轍 check point of the life

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監督:脚本:作道雄
撮影:橋ヶ谷典生
音楽:宮内優里
主題歌:フレデリック「たりないeye」
出演:荒井敦史(佐々岡勇利)、岡山天音(小川洋介)、望月歩(佐々岡勇利・中学時代)、吉沢太陽(小川洋介・中学時代)、川村亮介(橋本康平)、津田寛治(中坊栄一)、六角精児(自転車おじさん)、阿部進之介(吉岡正)

京都・井手町の中学生、勇利と洋介はひょんなことからロードバイクに魅せられる。2人で遠出するのを楽しみに学校生活を送っていた。
数年後勇利はプロのロードレーサーになる夢に近づき、会社勤めとなってバイクから遠ざかっていた洋介には勇利がまぶしい。しかしその後再会した裕介は見る影もなく落ち込んでいた。所属していたチームが解散したため、レーサーへと順調に走っていたはずの道がみえなくなってしまったのだ。洋介は再びロードバイクに乗り、井手町を舞台に開催されるロードレース大会を目指して練習を開始する。

幼馴染の男の子が自転車を通じて絆を深め、成長する青春ムービー。荒井敦史さん、岡山天音さん、2人の演じる近づいたり離れたり、挫折しては立ち直ったりの青春「あるある」エピソードに共感するはず。どんな役者さんになっていくのか楽しみな若手さんたちです。岡山天音さんは『愛の病』での、女性に手玉に取られる役もよかったです。
舞台となった京都府井手町の協力を得て全体の9割ほどを撮影しているようです。井手町のHPにロケ地マップがありました。
町内を独り言を言いながら走り回る自転車おじさん、六角精児さんの「来年は何してるやろな」という声がいつまでも残ります。主役より目立ちます(笑)。京都・神戸では2月末から先行上映していました。ご紹介遅れてすみません。(白)


2018年/日本/カラー/シネスコ/86分
配給:エレファントハウス
(C)2018 映画「神さまの轍」製作委員会
http://kamisamanowadachi.com/
★2018年3月16日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 16:52| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月11日

馬を放つ   原題:Centaur

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監督・脚本:アクタン・アリム・クバト(『あの娘と自転車に乗って』『明りを灯す人』)
出演:アクタン・アリム・クバト、ヌラリー・トゥルサンコジョフ、ザレマ・アサナリヴァ

中央アジア、キルギス草原の小さな村。真夜中、厩舎から一頭の馬を連れ出し、馬上で両手を広げ天を仰ぐ男。その後、馬をそっと荒野に放つ。翌朝、馬主カラバイは高値で買った競走馬がいなくなったと大騒ぎ。サディルという盗みを繰り返す男に疑いをかけるが、馬を逃したのは、実はケンタウロスと呼ばれている純朴な男。口の聞けない若い妻と5歳の息子と暮らしている。妻は、なかなかしゃべろうとしない息子のために、夫に話しかけるよう手話で促す。ケンタウロスは、息子にキルギスに古くから伝わる馬と音楽の守護聖者カムバルアタの伝説を聞かせる。
やがて逃げた馬が草原で見つかる。盗みの疑いをかけられたサディルは真犯人を捕まえようと、ある馬主がすごい競走馬を買ったとの噂を流し、厩舎で見張る。真夜中、馬を連れ出したケンタウロスを取り押さえる・・・

馬を連れ出した理由を聞かれたケンタウロスの答えに、はっとさせられます。
富や権力のために、自然や伝統をないがしろにしてきた人間への戒めとも思える言葉。
変わり者のケンタウロスを演じているのは、アクタン・アリム・クバト監督ご本人。
馬の上で両手をあげるという軽業ができるのは、やはり騎馬民族キルギスの血でしょうか。
ケンタウロスは、かつて映写技師だったという人物。かつて映画館だった場所が、ソ連崩壊後、モスクとなっている姿が映し出されます。宗教回帰の一方で、何かが失われているようにも感じました。(咲)


◆暁さんの「第18回(2017)東京フィルメックスを振り返って」のうち『馬を放つ』部分を転載します。
http://cinemajournal.seesaa.net/article/455763071.html

キルギスの草原地帯の村。祖先が騎馬遊牧民だったキルギスの民は、自然豊かな大地を馬で駆け抜け、馬と共に生きてきた。アクタン・アリム・クバト監督がメガホンをとり、自ら主演を務め、馬に対する信念を秘めた人物に扮し、失われそうなキルギスに伝わる伝説や文化への思いを込めた。
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村人から「ケンタウロス」と呼ばれる寡黙な男は、妻と息子の3人で慎ましい暮らしをしていたが、古くからの伝説を信じ、夜な夜な馬を盗んでは野に放つ。ある日、買ったばかりの競争馬を盗まれた権力者が、犯人を捕まえようと罠を仕掛けたが、なんと捕まえたのは親戚筋(甥?)のケンタロウスだった。そして、ケンタウロスは(叔父)にキルギスの民が失なってしまった馬への思いを語る。(叔父)も馬への思いに気づき、(甥)の気持ちを汲み、罪を免除し、自分の厩舎で働かすことにしたのだが、それでは終わらなかった。

監督は上映が終わってからのトークで「キルギスの民は深く遊牧に関わっていたので<馬は人間の翼>であるという諺もあります。<翼>だからこそ自由でなければいけないと馬を解き放ったわけです」と語っていた。監督が住んでいた場所での実話を元にして、ストーリーを組み立てたという。
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ケンタロウスは、元は映写技師をやっていた。以前は映画館だった場所が、今はモスクとして使われていて、そこでケンタロウスやイスラム教徒が礼拝をしている時、ケンタロウスが映写室に行き、映画の上映を始めたシーンが印象的だった。以前は映画館だったのに、モスクになってしまっていたんだと思った。Q&Aでも「映画館が現在はイスラム教の礼拝所になっていましたが、キルギスではイスラム教徒が映画を排斥したのでしょうか?」という質問が出て、監督は「そうです。旧ソビエト時代には、いろいろな村に映画を上映する場所がありましたが、ソビエト時代が終わると、映画は大きな街の映画館でしか上映されなくなりました。これは私の村で実際に起こったことで、映画を上映していた場所がモスクになったんです。私の村だけでなくあちこちでそういうことがありました。もう一つはイスラム教徒の人々は文化をこんな風に扱っているというのを示すために描いたのです」と監督は語っていたけど、監督の映画への思いも込められていたと思った。
監督は「本作は何々に反対という映画ではありません。反イスラム教の映画ではないんです」と言っていたけど、ところどころにイスラム教の押し付けに対する抵抗的なことがあったと思う。シャーマン的な存在も出てきたし、女性が何か意見を言った時に、イスラム教の導師のような人が「女が意見を言うな」と言ったら、そこにいた男の人が「キルギスでは自治を得る戦いで女性も戦った。(*注) 意見を言う権利がある」というようなことを言うシーンがあった。これは、とても大きな抵抗の意志だと思った。そして最後に「キルギスの女性はヘジャブを強制されることはありません。女性議員もいます」と語っていた。

*注:2014年のアジアフォーカス福岡国際映画祭で上映されたえ『山嶺(さんれい)の女王 クルマンジャン』(2014年/キルギス 監督:サディック・シェル・ニヤーズ)では、19世紀初頭、キルギスの部族長(ダトカ)に嫁ぎ、夫亡き後、部族長としてキルギスの各部族をまとめ、人々に慕われた実在の女性クルマンジャンの生涯が描かれている。(咲)

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You Tube 『馬を放つ』アクタン・アリム・クバト監督Q&A
https://www.youtube.com/watch?v=MkjYr1iyi7g

2017年/キルギス・フランス・ドイツ・オランダ・日本/89分/カラー/シネスコ/DCP/5.1ch
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/uma_hanatsu/
★2018年3月17日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
posted by sakiko at 17:52| Comment(0) | 多数 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

リメンバー・ミー(原題:Coco)

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監督・原案:リー・アンクリッチ
共同監督:エイドリアン・モリーナ
脚本:エイドリアン・モリーナ、マシュー・オルドリッチ
音楽:マイケル・ジアッキノ
声の出演:アンソニー・ゴンサレス/石橋陽彩(ミゲル)、ガエル・ガルシア・ベルナル/藤木直人(ヘクター)、ベンジャミン・ブラット/橋本さとし(エルネスト・デラクルス)、アランナ・ウバック/松雪泰子(イメルダ)

ミゲルはミュージシャンを夢見ているギターの天才少年。けれどもミゲルの一族では過去の出来事が原因で、音楽は禁止されていた。いつも見つからないようにこっそり手作りのギターを弾いている。知っているのは犬のダンテだけ。「死者の日」に憧れの伝説的ミュージシャン、デラクルスの霊廟に飾られていたギターを手にすると・・・目の前にカラフルな光景が拡がった!そこは「死者の国」。生きているミゲルが入り込んではいけないところだった。知り合った陽気なガイコツ、へクターの協力でガイコツメイクを施したミゲルは“ひいひいおじいちゃん”に会って元の世界に戻ろうと大奮闘。

メキシコの祝日「死者の日」は日本のお盆にあたるようです。ご先祖様の写真やお墓に、たくさんのろうそくやお花、好物を供えて帰りを待ちます。日本ではナスやキュウリの馬に乗って帰ってくるようですが、メキシコではマリーゴールドの花びらを敷き詰めた橋を渡って帰って来ます。死者の国の遠景は、『DESTINY 鎌倉ものがたり』の“黄泉の国”をもっと派手に明るくしたテーマパークのようです。わびさびの日本とはずいぶん違った賑やかさ!
住民はみなガイコツさんで亡くなったときのまま、20歳に戻ったりはしないようです。髪の毛と目はあり、洋服を着ています。骨は脆くて衝撃で外れやすいですがすぐ元通り。イベントやパーティもあって楽しそうな代わり、“生きている国”(現世)で忘れられると“死者の国”からも消えてしまうという厳しさもあります。思いがけない冒険をするはめになったミゲルが、ようやく人(?)前で歌う場面はこちらも嬉しくなります。たっぷり聞かせてくれる音楽と目くるめくようなビジュアルに酔ってください。見終わったあとは家族をいっそう大切に思うはず。
さきごろ発表になった第90回アカデミー賞では長編アニメーション賞&主題歌賞を受賞しました。『アナと雪の女王 家族の思い出』を同時上映。(白)


2017年/アメリカ/カラー/シネスコ/106分
配給: ディズニー
(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
http://www.disney.co.jp/movie/remember-me.html
★2018年3月16日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 01:18| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月10日

北の桜守

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監督:滝田洋二郎
脚本:那須真知子
撮影:浜田毅
音楽:小椋佳
舞台演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:吉永小百合(江蓮てつ)、堺雅人(修二郎)、篠原涼子(江蓮真理)、阿部寛(江連徳次郎)、佐藤浩市(菅原信治)、岸部一徳(山岡和夫)、高島礼子(島田光江)、永島敏行(三田医師)、安田顕(杉本)、野間口徹(木村学)、毎熊克哉(岩木)

1945年5月、南樺太に住む江蓮(えづれ)家の桜が開花した。夫・徳次郎が本土から持ってきた種を妻のてつが丹精し、見守ってきたのだ。近隣の友人達と喜ぶ一家だったが戦火はせまっていた。8月ソ連軍が侵攻して来たため、義勇軍に召集された徳次郎はてつと子どもたちを北海道へ逃がすことにし、戦地に赴く。再会を約して別れた母子は壮絶な逃避行の末、網走にたどり着く。戦後の生活は厳しいものだった。
1971年、アメリカに渡って成功した次男の修二郎は、結婚したばかりの妻と帰国する。札幌でアメリカ企業の支店を作り、ようやく網走のてつを訪ねていく。15年ぶりに再会したてつは年老いて、一人暮らしさせることはもうできなかった。札幌に連れ帰って同居を始めるが、互いを思うあまりにすれ違っていく。

『北の零年』(2005)『北のカナリアたち』(2012)に続く「北の三部作」の最終章。吉永小百合さん120本目の出演作となります。満州からの引揚げの苦労は義母からも聞いていました。幸運にも両親が揃っていたため、6歳を頭に乳飲み子までの4人の子供を連れ帰ることができたそうです。
樺太(サハリン)には40万人ほどの日本人が住んでいたそうで、終戦前後に続々と本土へと引揚げていきます。この映画の江蓮一家の味わう辛苦は史実によったものだそうで、多くの方々が同じような苦労をして引揚げ、戦後を生き抜いてこられたのでしょう。終戦後、樺太から北海道へ向かう3隻の引揚げ船が潜水艦の魚雷攻撃を受け、1700人もの犠牲者が出ていた史実を初めて知りました。

愛情溢れる、しかし凛として強い母親てつの30年近い月日を演じた小百合さん。1945年3月13日生れなのでもうすぐ73歳になりますが、サユリストのみならず多くの後進の俳優にとっても特別な女優であるようです。主役を張れる俳優さんが勢ぞろいした記念作となりました。『ケンとカズ』(2014)で強い印象を残した毎熊克哉さんが佐藤浩市さんの部下役で出演。ベテランの中でさぞ得がたい経験をしたことでしょう(良かったですね)。
物語の重要な転換となるシーンが舞台劇で表現されているのにのれるか否かが分かれ目になりそう。北の三部作にはどれも寒そうなシーンがありますが、この作品は特に身を切られるような寒さを感じました。主題歌作詞・作曲は小椋佳さん。(白)


2018年/日本/カラー/シネスコ/126分
配給:東映
(C)2018「北の桜守」製作委員会
http://www.kitanosakuramori.jp/
★2018年3月10日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 23:22| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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