2018年02月05日

イスラーム映画祭3

islam3.jpg

今回で3回目となるイスラーム映画祭。
西から東まで、多様なイスラーム世界を映画で旅するように楽しみましょう。
待ちに待った上映作品とスケジュールが発表されました!
過去にアラブ映画祭や東京国際映画祭などの映画祭で上映された作品から、日本初公開作品まで、主宰の藤本高之さん選りすぐりの13作品です。

【東 京】
会期 : 2018年3月17日(土)〜23日(金)
会場 : 渋谷ユーロスペース( http://www.eurospace.co.jp/ )
【名古屋】
会期 : 2018年3月31日(土)〜4月6日(金)
会場 : 名古屋シネマテーク( http://cineaste.jp/ )
【神 戸】
会期 : 2018年4月28日(土)〜5月4日(金)
会場 : 神戸・元町映画館( http://www.motoei.com/ )

主催 : イスラーム映画祭

オフィシャルWEBサイト:http://islamicff.com/
Twitter : http://twitter.com/islamicff
Facebook : http://www.facebook.com/islamicff

◆上映作品◆

1、『ラヤルの三千夜』(パレスチナ)日本初公開
イスラエルの刑務所で子どもを産んだパレスチナ女性の実話をモチーフに、
今なお続くパレスチナの理不尽な現実を描いた社会派ドラマです。苛酷な
状況下で我が子を育てる主人公のレジスタンスが未来への希望を語ります。

2.『エクスキューズ・マイ・フレンチ』(エジプト)日本初公開
ムスリムばかりの学校へ転入することになったコプト教徒の少年が主人公
の学園コメディです。見た目は楽しい子ども映画でありながらムスリムと
コプトの関係というエジプト社会のデリケートな問題に切り込んでいます。

3.『アブ、アダムの息子』(インド)日本初公開
マッカへの巡礼ハッジに旅立とうとするムスリムの老夫婦を主人公にした、
信仰についての物語です。夫婦と善意ある人々の交流が宗教を超えた愛と
宥和の精神を謳います。カザン国際ムスリム映画祭グランプリ受賞作です。

4.『熱風』(インド) ※事情により東京・名古屋のみの上映です
1947年の印パ分離独立を題材に、パキスタンに移住せずインドに留ま
ったがゆえに苦境に追いやられるあるムスリム一家を描いた文芸ドラマの
名作です。インドが発狂したと言われるほど当時情勢は混乱を極めました。

5.『イクロ クルアーンと星空』(インドネシア)日本初公開
“イスラームと科学”をテーマにバンドゥン工科大学のサルマン・モスクが
製作した子ども映画です。イクロとはクルアーンをアラビア語で詠む練習
法のことを指します。子どもたちの成長と学びが温かく描かれる作品です。

6.『ボクシング・フォー・フリーダム』(アフガニスタン)
2012年のロンドン五輪を目指し、アフガニスタン初の女子ボクシング
チームに参加した少女が主人公のドキュメンタリーです。礼拝を欠かさず、
アフガン女性の希望となるべく境遇に立ち向かう少女の姿が胸に迫ります。

7.『モーターラマ』(アフガニスタン)
ヘラート、カブール、マザリシャリフ、アフガニスタンの3つの街で女性
たち声を記録した作品です。宗教以前に保守的な社会における女性の困難
が描かれます。モーターラマとは女性の呼称として使われる口語表現です。

8.『トゥルー・ヌーン』(タジキスタン)
ソ連崩壊からの独立後初めて製作されたタジキスタン映画です。トゥルー
・ヌーンとは、太陽が真上に来て影がなくなり、人間と太陽が一つになる
平等な時のことを表します。国境の意味について考えさせられる作品です。

9.『花嫁と角砂糖』(イラン)
五人姉妹の末っ子の結婚準備に集まったある大家族の群像劇です。様々な
人生を背負いながら生きている人々の心の機微が丁寧にすくいとられます。
イランの伝統的家屋や家庭料理など豊かな色彩にもため息が出る逸品です。

10.『遺灰の顔』(クルディスタン=イラク)
イラン・イラク戦争を背景に、ムスリムとクリスチャンの遺体の取り違え
をめぐる騒動を描いたコメディです。イスラームで火葬は禁じられており、
タイトルには人間を一瞬で灰にする戦争への熱い怒りが込められています。

11.『私の舌は回らない』(ドイツ)日本初公開
女優でもある移民二世の作者が、自分たちがトルコ系ではなく実はクルド
だったことを隠していた祖父母の人生を追い自らカメラを回した作品です。
欧州に暮らすある平均的な移民一家の愛の系譜が優しく静かに語られます。

12.『ラジオのリクエスト』(シリア)
緑美しいシリアの山村を舞台にした悲喜劇です。神の名の下に分け隔てな
くにぎやかに暮らす人々の営みが、戦争によって踏みにじられる悲しみに
胸を塞がれます。先の見えないシリア内戦を彷彿とせずにはいられません。

13.『女房の夫を探して』(モロッコ)
もともとは戦争未亡人救済の措置であるイスラームの“一夫多妻”を題材に
したコメディです。ルールにふり回される憐れな男とは対照的に人生を楽
しむ女性の姿を活き活きと描き、90年代にモロッコで大ヒットしました。


【イスラーム映画祭3東京トークイベント情報】
@3月17日(土)11時『ラヤルの三千夜』上映後
《ぼくの村は壁で囲まれた〜パレスチナの70年〜》
ゲスト:高橋真樹さん(ノンフィクションライター)

A3月17日(土)14時『エクスキューズ・マイ・フレンチ』上映後
《ラー・ムアーハザ〜エジプト映画のなかの学校と宗教》
ゲスト:勝畑冬実さん(東京外国語大学)

B3月17日(土)16時30分『遺灰の顔』上映後
《イラク北部・クルド自治区のスレイマニヤ映画祭》
ゲスト:綿井健陽さん(映像ジャーナリスト・映画監督)

C3月18日(日)13時『アブ、アダムの息子』上映後
《サリーム・アフマド監督を迎えて》
初来日される監督をお迎えしてのQ&A。通訳は松下由美さんです!
(来日は中止となる場合があります)

D3月19日(月)13時『イクロ クルアーンと星空』上映後
《“イクロ”とインドネシアのイスラーム》
ゲスト:野中葉さん(慶應義塾大学)
『インドネシアのムスリムファッション』の著者、

E3月20日(火)11時『モーターラマ』『ボクシング・フォー・フリーダム』上映後
《アフガニスタンに生きる女性たち》
ゲスト:古居みずえさん(ジャーナリスト・映画監督)

F3月20日(火)14時30分『女房の夫を探して』上映後
《イスラームと婚姻制度》
ゲスト:後藤絵美さん(東京大学)
『神のためにまとうヴェール』の著者、

G3月21日(水)13時30分『ラジオのリクエスト』上映後
《今この時にも、シリアの病院で起きていること》
ゲスト:白川優子さん(国境なき医師団)

H3月21日(水)16時15分『私の舌は回らない』上映後
《移民二世監督が捉える新しいドイツとグローバルな映画の形》
ゲスト:渋谷哲也さん(東京国際大学)

I3月22日(木)13時30分『熱風』上映後
《ギーターにもコーランにも誰も耳を貸さなかった、印パの分離独立》
ゲスト:麻田豊さん(インド・イスラーム文化研究者)

J3月23日(金)13時30分『私の舌は回らない』上映後
《映画から読みとくドイツ移民社会の変遷》
ゲスト:渋谷哲也さん



posted by sakiko at 22:08| Comment(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

願いと揺らぎ

チラシ2.jpg

監督:我妻和樹 プロデューサー:佐藤裕美
撮影:我妻和樹 編集:我妻和樹

a1.jpg

震災後、被災地の各地で地域の伝統行事が復活し、それらの多くは復興を加速させる吉報として取り上げられた。しかしその過程にあった地域の人びとの混乱や葛藤を具体的に知る機会は非常に少ない。本作は、宮城県三陸町の小さな漁村「波伝谷(はでんや)」に生きる人びとにとって最も大切な行事である「お獅子さま」復活の過程を、さまざまな立場の人に密着しながら追いかけたドキュメンタリー。津波によって集落が壊滅しコミュニティが分断されてしまった波伝谷では、ある若者の一声からお獅子さま復活の機運が高まる。それは唯一自分たちの本来の姿を象徴する存在として、先行きの見えない生活の中で人びとの心を結びつける大きな希望となるはずだった。
しかし波伝谷を離れて暮らしている人、家族を津波で失った人、さまざまな人がお獅子さま復活に想いを寄せる一方で、集落の高台移転、漁業の共同化など、多くの課題に直面して一向に足並みの揃わない波伝谷の人びと。震災によって生じたひずみは大きく、動けば動くほど想いはすれ違い、何が正解なのかも分からぬまま、多くの摩擦や衝突を重ねて最終的に「お獅子さま」は復活する。そして時が流れ、仮設住宅から高台へと移り、波伝谷で生きて行くことを決意した主人公は、改めて当時の地域の混乱と葛藤を振り返ることになる。
震災から6 年、かつての姿は二度と同じ形では取り戻せないという現実の中で迷い、もがきながら、それでも復興に向けて歩み続けた被災地の“願いと揺らぎ”を鮮烈に映す−−

a2.jpg


本作が公開2本目となる我妻和樹監督。大学生時代に民俗学のフィールドワークとして波伝谷に入り、以来、密度の濃い交流を続けて来た。震災を機にドキュメンタリー映画作家としてキャリアを積み上げて行くことになるその経緯そのものが、何か大きなものに導かれているような、希有な作家だと思った。映画それ自体が、監督を通して何かを表現したがっているような不思議な感じがある。これは、土地の人々に、そして「映画を撮る」「作品を創る」ということに、誠心誠意、心をこめて向き合おうとする我妻監督の素直で誠実な性格があればこそのことではないだろうか。だから、波伝谷の人々が監督を信頼し受け入れたように、作品に触れるわたしたちも、「信頼できる誠実な映画」に出会ったと思う。人間は「願い」の中でみんな「揺れて」いる。人間の深い所に刻み込まれているのに、今では忘れ去られてしまったような何か。あたりまえだったはずなのに、見失ってしまったかもしれない、とてつもなく大切な何か。この作品には、それが映っているかもしれない。我妻監督の映画にはこれからも注目し、応援したいと思った。 (せ)
山形国際ドキュメンタリー映画祭でのレポート
http://www.cinemajournal.net/special/2017/yamagata/index.html

*追記:2/23UP 我妻監督インタビュー
 http://www.cinemajournal.net/special/2018/negaitoyuragi/index.html

a3.jpg
C)ピーストゥリー・プロダクツ
2017年/日本/配給:ピーストゥリー・プロダクツ
公式 https://negaitoyuragi.wixsite.com/peacetree
★2018年2月24日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開



posted by chie at 00:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする